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□ 請負契約に関わる協力会社の作業管理について
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1.プロジェクトの概要
(設問ア)
 A社はビールのアルミ缶など工業二次製品を製造する
中規模メーカである。現在A社では、販売、経理、受発
注業務など基幹業務は運用開始後20年近くを経過した
オフコンで動作しており、時勢に合わないシステム全体
をダウンサイジングする要望が各部から出てきている。
A社ではこのニーズに対して全社の情報化計画を策定し
、その中で現行システムの1つである「受発注システム
」の再構築を行うこととなった。
 システムの内容は、ビール缶やレストランなどで使用
される業務用調理器材などのアルミ製品の受発注システ
ムであり、受注、入庫、検品、出荷業務の各サブシステ
ムと、事業部別の生産性実績等を統計処理の対象データ
として算出・格納する機能を持つ。
 私はプロジェクトマネージャーとして参画し、自分の
属するシステム開発会社の要員数と納期の兼ね合いから
、受注したシステムの一部を協力会社に委託することに
した。
 上記のうち、受注管理サブシステムにはX社に、サー
バーで行う統計用データ算出処理のサブシステムをY社
に委託するマルチベンダ開発プロジェクトとした。X社
は当社とは初めての取引きであったが業界では比較的評
判が良く、Y社は以前に取引きの実績が有る中堅ソフト
開発会社である。委託内容は詳細設計からプログラム作
成、内部結合テストまでの業務であるが、受注管理サブ
システムはデータの投入を行う部分、統計データ算出処
理は最終的アウトプットの核心にあたるデータを処理す
る部分であり、両サブシステムの品質不良はシステム全
体に多大な影響を及ぼすため、協力会社管理は特に慎重
に実行する必要が有った。
                         (←この行で800字ライン)
2.納期および品質の把握方法と必要な対処の実施
(設問イ)
2−1 納期および品質の把握方法について
 本プロジェクトで実施した納期および品質の把握方法
は以下の通りである。
(1)スケジュールと成果物の明確化
 両社への業務委託時に委託するサブシステムの作業行
程ごとに区切られたガントチャートを提示した。作業行
程終了時のアウトプットとして成果物を明確化し、当社
内部の品質判定基準を明示した。
(2)マイルストーンの設定
 ガントチャートの工程内で数箇所にマイルストーンを
設定し、工程終了時のアウトプットのレビューを実施し
、当社の品質判定基準と照らし合わせることで途中での
品質判定を実施した。
(3)定例会の実施
 両社のプロジェクトリーダと個別に1週間の1回の定
例会をもち、進捗状況の報告や、ユーザからの仕様変更
の連絡、新たに発生した課題の検討を行った。
2−2 必要な対処方法の実施
(1)納期面について
 内部結合テストに入ってしばらくした頃、X社の担当
する受注システムの進捗が遅れ始めた。定例会でX社の
リーダに確認したところ以下の問題点を把握した。
a.詳細設計以降にユーザの仕様変更が多発したため、詳
細設計時の見積もり規模から2割近く増大し、テスト項
目が不足している。
b.仕様変更のなかにはY社担当システムとのインターフ
ェースに係わる部分の変更が含まれている可能性が有る
にもかかわらず、定例会ですべて報告している訳ではな
い。
 インターフェースに変更が発生する可能性が有るにも(←この行で1600字ライン)
かかわらずその影響が考慮されていないとすれば、次の
フェーズであるシステム結合テストが無意味になり、予
定の納期、工数でプロジェクトを完遂することは困難に
なる。そう考えた私は、早急な対応策の検討のため、X
社のリーダとY社合同のレビューを設け、同様の事態が
社内でも起こっていないかを最初に確認し、Y社内部で
そのようなことはないことを把握した。X社に対しては
テスト項目の追加と要員の追加投入を要請した。その際
、スキルの無い人材の投入は結果的に足手纏いになる恐
れもあるため、協力会社の責任の下で質の高い人材を割
り当てるよう打診した。
 また、インターフェースに係わる仕様変更の影響度を
計るため、X社担当者、Y社担当者それぞれに調査を依
頼し、納期遵守のためのスケジュール調整に努めた。
(2)品質面について
 X社に委託した受注システムはデータの最初の入り口
である重要部分である。この部分に対して以下のような
品質面の問題が現れた。
a.設計書、ソース、テスト項目票の不一致
b.変更記録の無いにも係わらず外部仕様が設計書と異な
る。
 これらの問題に対して、私はX社のリーダおよびその
直属の上司と話し合いもち、これら現象の根底にあるの
は、X社内部での変更管理が未遵守の部分が有ること、
当社からの品質基準の真意が伝わっていないこと、であ
ることを突き止めた。これに関しては当社で行っている
変更管理基準を提示し、X社内の変更管理の遵守を徹底
してもらうよう要請した。
 また、今までの定例会の議事録から納期、品質への影
響が潜在的に存在しそうな部分を徹底して洗い出し、X
、Y両社への事前の対応を要請した。
                                                  (←この行で2400字ライン)
3.協力会社の作業管理に対する評価と今後の改善
(設問ウ)
3−1 協力会社の作業管理に対する評価
 委託契約により協力会社の責任のもとで、開発管理や
開発作業の効率化、品質の向上に積極的に取り組んだこ
とは評価するが次のような問題が有った。
a.協力会社X社のリーダが他業務も担当しており、かつ
プロジェクト管理のノウハウにも乏しく、X社内部での
事態把握、調整が後手に回りがちであった。
b.当社から提示した品質判定基準に誤解を受けるような
記述が数箇所有り、当社との取引きをしたことがない者
にとっては認識し難い記述があることが判明した。
c.マルチベンダ開発について不慣れな部分が有りチーム
間連携が上手く行かず、問題の把握に余分な時間がかか
った。
d.当社の定例会のやり方で変更に関する報告を行うよう
な手続きが不足しており、やや硬直的な会議体となって
いる。そのためX社でも自社内部で解決しようして結果
的に報告、相談が遅れたという経緯が有った。
3−2 今後の改善
a.協力会社に委託する場合、協力会社がより主体性を持
ちプロジェクトを推進できるようにプロジェクト管理体
制の強化を要請し、プロジェクト管理ノウハウの指導を
行う。
b.当社の品質判定基準の一部見直しを行い、初めて協力
要請を行う場合でも意志の疎通が誤解なく出来るように
し、今後の委託要請増加のトレンドに備える。
c.マルチベンダ開発の際でも、頻繁に全員参加を前提と
する全体会議を開催し、プロジェクト全体の整合性を確
認する体制を整える。
d.仕様変更に対応する際に、変更に関する手順を決めて
、その手順にそっての会議での報告の遵守を義務づける(←この行で3200字ライン)
など、変更管理の管理手続きを強化し、定例会の雰囲気
、進行方法などで感情面に良好に働く会議体となるよう
な改善を行う。
 今回蓄積した問題点とその対処方法をノウハウとして
自分なりに整理し、定量的、定性的両面に配慮しながら
、協力会社管理を進めていきたいと考える。   以上(←この行で3350字ライン)





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