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(設問ア)
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1.当社の業務とデータウェアハウスの導入
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1.1.当社の業務の概要
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 私は愛媛県N市で清酒を製造している会社の役員であ
る。日本人の食生活の変化による清酒消費量の減少や、
大手メーカーを中心とした乱売合戦の影響により、当社
では暫く清酒の製造を中止していた。地元の酒販店や料
飲店への販路が縮小し、収益性が低下したためである。
 当社では本年より製造を再開し、新しい販売戦略を取
ることにした。まず高級酒を中心に酒質を多様化させ、
包装形態の変化と合わせて数十アイテムを品揃えし、市
況に応じて適宜改廃することにした。また、既存の販路
に加えて、蔵に併設した売店での販売と、インターネッ
トを利用した通信販売を行うことにしたのである。

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1.2.意志決定のためのデータウェアハウス導入
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 上記の新しい経営戦略を取る上で最も重要なのは、販
売チャネル別に売れ筋商品を把握することである。それ
も単にどこでどの商品がどれだけ売れたかということだ
けでは不十分である。季節や時間帯、あるいは顧客属性
(年齢・性別・購入総額等)による違いについて、ある
いは新製品の発売やホームページの内容変更時の販売状
況についてなども的確に把握しなければならない。
 以上のことから、当社では販売・会計システムに連動
させて、データウェアハウスを構築することにした。し
かし新戦略による販売再開後まだ間もないので、必要な
分析の視点や、そのために蓄積しておくべきデータがは
っきりしない部分も現状では少くない。近年、幸いにも
ハードウェアの大容量・高速化と低価格化が進んだため、
当社の現状では数十年分のデータを蓄積できる容量のハ
ードディスクを確保した。そこに考え得る限りのデータ
を保存し、それをもとに適宜必要な視点で分析した結果
をデータウェアハウスに蓄えて行くことにした。
(775字ライン)

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(設問イ)
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2.データウェアハウスに想定されるリスクとリスク低減
 のためのコントロール
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2.1.データウェアハウスの有効性
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 有効性の観点から想定されるリスクとしては、まず費
用対効果が不十分となることが考えられる。また、デー
タウェアハウスの導入経費が予算内で済んだ場合でも、
運用段階で予想外に費用がかさみ、予定通りの利益が上
がらない場合も考えられる。しかし最も懸念されること
は、データウェアハウスは予定通りの費用で、ある程度
の有用な判断材料を提供したとしても、市況などの要因
から十分な収益を上げることが不可能となり、再び製造
中止に追い込まれることである。
 以上のようなリスクを低減させるため、次に挙げるコ
ントロールが必要となる。

1)企画段階における有効性の検証
 データウェアハウスの導入の是非も含め、当該システ
ムが有効であることを十分検証した上で企画作業に入る
ことが必要である。また、企画段階でシステムの定量的
及び定性的効果を評価し、必要となる費用と比較するこ
とも重要である。そして何よりもこのデータウェアハウ
スが新しい経営戦略を支援し成功させるに足るものであ
るかを十分に検証しなければならない。

2)運用段階における有効性の評価
 日常の業務に連動してデータウェアハウスを運用して
行く際、これが正しく稼動し、有効に利用されているこ
とを評価する。当然問題点も出てくるが、それを保守作
業のために有効に活用しなければならない。

3)保守段階における有効性の評価
 運用段階での評価の結果、設定の変更では対応し切れ
ずに、システムに変更を加える必要が生ずる場合が考え
られる。この場合にも、企画段階で行ったのと同程度に
有効性を検証し評価することが必要である。

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2.2.データウェアハウスの可用性・保全性
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 可溶性の観点から懸念されるリスクは、データウェア
ハウスが必要な時に利用できなくなることである。シス
テムがダウンしたり、障害や不正なアクセスによってデ
ータが消失したり改ざんされたりすると利用できなくな
るので、ここではむしろ信頼性・保全性の観点からのコ
ントロールが必要となる。
 したがってシステムの信頼性確保とデータの保全のた
めに、それぞれ管理ルールを定め遵守することと、障害
発生時の復旧ルールなどのコントロールが必要である。

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2.3.データウェアハウスの機密性
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 機密性の観点から懸念されるリスクは、当該システム
がインターネットに間接的に接続されているため、外部
から不正なアクセスを受け情報を盗まれることが考えら
れる。また、社内で権限のない者が端末を操作して情報
にアクセスすることは、現状では(家族経営のため)考
えられないが、将来何人かの従業員を雇用するようにな
れば、当然リスクとして想定しなければならない。
 前者のリスクに対する対策としてはファイアウォール
を設け、アクセスログを取って管理することが必要であ
る。校舎のリスクについての対策が必要になった場合、
ID・パスワードによる管理と、やはりアクセスログの
管理が必要とされる。

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(設問ウ)
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3.データウェアハウスの有効性の監査
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3.1.企画段階における監査
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 データウェアハウスが当社の新しい経営戦略に合致し
ていて、十分に有効性の検討がなされていることを確認
することが必要である。そのための監査手続としては、
以下の項目が上げられる。

1)情報戦略は新しい経営戦略に準拠して策定され、目的
 及び目標が定められ、社長が承認しているかについて、
 必要な書類の収集やヒアリングを行う。

2)情報システムの定量的・定性的評価を行っているかを
 検証するため、評価項目の策定や実際の評価に関わる
 書類の収集やヒアリングを行う。

3)データウェアハウス導入のための費用が適切であるこ
 とを検証しているか確認するため、相見積や実現可能
 な代替案の検討を行っていることを確認する。そのた
 めに必要な書類の収集やヒアリングを行う。

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3.2.運用段階における監査
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 データウェアハウスの運用段階において正しく評価が
行われているかを検証することが必要となる。そのため
稼動実績データを収集し、性能評価の指標を明確にして
いるかについて、必要な書類及びディジタルデータの収
集、あるいはヒアリングを行う。

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3.3.保守段階における監査
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 データウェアハウスの保守を行う再にも有効性に対し
て十分な配慮がなされていることを検証するため、以下
の監査手続が必要となる。

1)保守計画の策定に当たり、新しい経営戦略を踏まえた
 検証がなされ、社長がこれを承認しているか確認する
 ため、必要な書類の収集及びヒアリングを行う。

2)保守が保守計画に基づいて正しく行われ、十分にテス
 トされているかについて確認するため、必要な書類や
 ディジタルデータの収集、あるいはヒアリングを行う。
(2175字ライン)





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