『人民の星』 5856号3面 2014年1月22日付
我が物顔の自衛艦 追越で漁船に衝突 広島大竹沖での死亡事故
広島県大竹市の阿多田島沖で一五日朝、海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」が釣り船「とびうお」に衝突し、「とびうお」が転覆し、船長と釣り客の二人が死亡した事故で、助かった二人の釣り客から衝突当時の状況があきらかにされている。
釣り客によれば、釣り船は遅い速度で航行していた「おおすみ」を速度をあげて右側から追いこしたあとすこし減速した。そのとき、進行方向で右から左へ貨物船が横切った。釣り船の左後方にいた「おおすみ」は右に旋回した。貨物船がさった後、「おおすみ」は加速して釣り船に接近し、五bぐらいに近づいたときに警笛がなったが「おおすみ」の左側面が「とびうお」の右側面に衝突したという。
「おおすみ」の当時の航路については、インターネット上で「おおすみ」が搭載している船舶自動識別装置の記録が公開されている。それによると、「おおすみ」は七時四三分、宮島と能美島の間を南西向きに時速約二一`で通過し、その後、ひらけた海域で時速三二`前後に加速、そのままの速度でやや左に進路を転じ、午前七時五五分から五八分の間は真南に直進した。だが、衝突時間と見られる午前八時一分には時速約一二`に急減し、その後は時速六`で右に旋回した。ほぼ釣り人の証言を裏づける内容である。
同海域近くの大竹市玖波で牡蠣(かき)養殖をおこなっている婦人は、「自衛艦が衝突したというから、あのあたりでは海上自衛隊が演習をすると聞いていたので最初は演習かと思ったが、小型釣り船との衝突だった。あそこは、自衛艦や大型貨物船などがよく通るので、わたしたちも牡蠣のイカダを見にいったり、イカダを動かすときなどは船の動きには気をつかう。とくに大型船が通るときには危ないので近づかないようにしている。最近、自衛艦はあちこちで事故をおこしている。演習も増えており、関係していると思う。今後が心配だ」と語っていた。
六〇代の大竹市民は、「あそこは広島や呉に出入りする船の航路になっている。呉からでる自衛艦もほとんどあそこを通るのではないか。朝で、視界もよかったのになぜ衝突事故になったのか。ニュースでは釣り船にのっていて助かった人の話で、釣り船がいったん“おおすみ”を追いこしたが、スピードをあげてきた“おおすみ”が進路をふさぐようなかたちで左旋回し、ぶつかったというような話だった。“おおすみ”には見張りを配置しているというが、釣り船が見えなかったのだろうか。最近、自衛艦による事故がめだつ。そのときいつも見張りが問題になるが、事故がおこるのは見張りが機能していないということだろう。自衛艦が通れば他の船はよけてくれるという慢心があるのではないか」とのべていた。
若い漁民は「あそこは航路になっているから、自衛艦や貨物船などがよく通る。“おおすみ”は長さが一七八bもあるというので釣り船は豆粒みたいなものだろう。大型船の近くでは波で吸いよせられて危険だから漁船などは近づかないようにしている」といっていた。
米戦略に従いつよまる演習
自衛艦の事故がめだっているが、その背景には、アメリカの戦争戦略にそった軍事演習の強まりがある。しょっちゅう各地で演習をやり自衛艦の往来もはげしくなっている。そのために、わがもの顔に航行して、衝突事故や漁網切断などをひきおこしている。
今回衝突事故をおこした「おおすみ」は輸送艦というが、エアクッション型上陸用舟艇を搭載した揚陸艦である。安倍政府は、新「防衛大綱」で、アメリカの戦争計画にそって陸上自衛隊の海兵隊化をうちだしており、オスプレイを搭載し日本版海兵隊と水陸両用戦斗車両を輸送するために「おおすみ」型輸送艦の大改修を計画している。