『人民の星』 5857号1面 2014年1月25日付

名護市長選圧勝の声 心を一つにすれば勝てる 今から日本は変わる

 辺野古に新米軍基地をつくるかどうかをめぐってたたかわれた名護市長選は、四一五五票の大差で米軍基地建設断固阻止をかかげた稲嶺候補が圧勝した。全国の人人は「いまから日本は変わる」と深い感動をもって、時代の転換を語っている。第二次大戦と戦後の米軍支配とたたかってきた沖縄県民は「県民が一丸となったから勝てた。植民地扱いは許さない」と語り、安倍政府が沖縄県民の意思をあなどり、「淡淡と公有水面埋立の手続きをすすめる」とでたらめな政治をすすめていることにたいして、斗志を燃やし、ますます一丸とならなければならないといっている。全国の人人は「アメリカは基地を持って帰れ」の全国的なたたかいで、対米従属の安倍政府の戦争政治をうちくだこうと語っている。人民決起による勝利で今年の幕があけた。沖縄の本土復帰いらいの基地撤去、戦争阻止の斗争が沖縄と本土の団結のもとで、全国規模ではじまろうとしている(二面関連)。

基地で活性化というのは“狂気の沙汰”だ 名護市 辺野古住民
 沖縄の将来を考える時期にきている。権力が自由までうばうのかと。おばーたちは「戦争にはいるまえの形ににてきている」とはなされる。地域の区長になれるような人たちが「六〇年我慢したが、もういわないといけない」と今度の選挙では前にでて動いた。これを見て、若い人たちが気づいてくれたらと思う。自分たちも、はたらいて将来を見つめてほしい。あぶく銭にたよっていては、仕事もできない人間になることに気づいてほしい。
 県知事・仲井真らは基地を誘致すれば経済振興になるといい、開きなおっているのはゆるせない。基地で活性化するというのは、狂気の沙汰だ。
 ベトナム戦争当時は(このキャンプ・シュワブで訓練をうけ、ベトナムにおくりこまれた)米兵たちは「死ににいくまえに、わたしの最後を見とどけてよろしく」ということで、バーにきた。かれらは死ぬ間際にはなんでもする。婦女暴行がふえるだけでいっこうに減らない。子どもたちには一〇kコインやガムなどをばらまいたりした。だから子どもは「マネー、マネー」と手をさしだすへんなことを覚えてしまった。
 米兵は人間としてはいいところもあるだろうが、戦争は国の方針で、米兵は弱い者に手をだす最低のことをやる。ベトナム戦争も日本のやった戦争も、生きていればノーベル賞をもらうような人たちや財産をうばった。その命令をだす人らは命もなにもうばわれることはないのだ。
 今回の選挙は、千載一遇のチャンスをのがしたらだめだとがんばった。稲嶺市長が地域の力をのばしてくれたら名護も沖縄もかわる。名護市内の二見地域はなにがいい、久志地域はなにがいいとそれぞれの地域にあった町おこしをやってきている。仮に基地工事をやっても建設関係に一時的にカネがはいるだけだ。目先だけを見ていてはだめだ。
 容認派の人たちは「辺野古の八割の人は容認だ」などといって、知事も末松候補も「辺野古のために(新基地建設を)してあげる」とあつかましいことをいうが、まったくのでたらめだということを全国の人に伝えてほしい。
 今回の選挙は名護市民だけの問題ではなかった。嘉手納町や読谷村などから戦争体験者らが、また戦争の苦労をさせてはだめだとチラシ配りなど応援にかけつけてくださった。
 辺野古は、中南部から漁業や軍関係の仕事をもとめて生活している人も多いし、親戚同士という関係も強く、ふだんは親しくしている。しかし、そういうしがらみを「あれとこれは別だ」と心からあらたな基地はいらないという意志をしめしたことは誇らしく思う。
 新基地は、軍港がありV字型の滑走路だと報道されているが、アメリカはオスプレイだけでなく、戦斗機も使うような計画をかくしているのではないか。アメリカは「日米地位協定」もそうだが、信用できない。
 「黙れ、国の命令に逆らうのか」というような国にしてはだめだ。沖縄は日本の危機の縮図だ。

生きてる間に基地撤去さす 宜野湾市・婦人
 名護市長選は大差で勝ったことに大喜びして、ひとりでバンザイ! とさけんだよ。今朝からひじょうにうれしい。それにしても、仲井真知事が裏切ったときは、もうがまんができなくなって、新聞にのった知事の顔写真に×をつけたんだよ。あんな知事ははやくやめさせないといけない。
 辺野古の海を埋め立てて基地をつくることに本土の人も、アメリカ人も反対しているのに、県知事たるものがなんだ、とみんなおこっている。戦争体験した人がだんだん少なくなっていく。
 わたしは五歳のとき、一歳にならない妹をおぶって川をわたり米軍の攻撃からのがれるために必死の思いをした。子どもや孫たちにわたしの体験をはなして、聞かせている。わたしたちが生きている間に基地は全部撤去させないといけない。

仮病知事は早くやめさせよ 沖縄市・婦人
 辺野古基地反対とみんなが心を一つにしてたたかったから選挙に勝てた。沖縄を売り物にしてはならない。沖縄の自然は、海も空も陸も傷つけてはならない。世界の人人も注目している。
 名護市長選で負けたから、知事は背を丸くしてブツブツはなしていたが、東京で車椅子にのっていたのは仮病でしょう。こんな知事ははやくやめさせないとまた悪いことをする。
 辺野古の人人もおなじ人間だから普天間を返還して辺野古に基地をつくるというのはまちがっている。日米同盟が重要といって、この沖縄を小さな島だと見てバカにして、植民地扱いにしている。こんなにバカにされてはたまらない。政府は、名護市長選で基地反対の民意がでたにもかかわらず、基地建設をすすめるといっている。ますます県民は、心を一つにしてがんばらなくてはならない。

市民の意思をふみにじる安倍政府を許さない 山口・タクシー労働者
 安倍政府は名護市長選挙で基地推進の候補が大差でまけたのだから、民意を聞いて、計画を見直すべきだ。ところが安倍政府の態度はなっていない。新基地反対の声が強くても「たんたんと建設をすすめます」とぬけぬけといっている。それに腹がたつ。市民の意思をふみにじるものであり、あんなことをゆるしていたら、選挙をする意味がないということだ。そんな横暴な論理はない。
 「安倍政治の終わりの始まり」と書いているが、このとおりだ。いつまでも安倍のいいようにはさせないというのが、全国の声だし、基地が集中する沖縄の深い思いだ。「基地をアメリカに持って帰れ」という線で運動していかないとだめだ。小泉が登場したとき、「戦争知らない世代が、なにをかってなことをいっているのだ」とアメリカべったりを批判する声が強かった。しかし、安倍にたいしては小泉以上に批判がつよい。
 憲法までかえるといいだしているから、(親米も)そうとうなものだ。ほんとうは名護市長選だけでなく、総選挙で安倍をひきずりおろさないといけないのだ。
 切実な問題としては、消費税の問題があるし、年金や医療費負担などの問題がある。こういうこともひっくるめて国民がもっともっと強く声をあげていくことが大切だということをしめしたのではないか。名護市だけの問題じゃない。

市民の力を突きつけた勝利 山口・労働者
 米軍基地に反対する沖縄(名護市)の市民が勝利したというのはいいことだ。安倍のお膝元の人間からすると市民の声や力を見くびったらいけないぞというのを突きつけたことに痛快感をおぼえる。地元のものにさえいいことをせず、一部の大企業だけを優遇する政策をとってきた安倍にみんな腹をたてていた。すっきりしたという思いだ。
 だいたい安倍のやっていることを見ていると、戦争の悲惨さをまったく知らないぼんぼんが、アメリカの言いなりになって中国や朝鮮を相手に戦争をしようというあぶなっかしいことばかりやっているという思いがしていた。秘密(保護)法にしてもそうだし、武器の輸出も自由にするとか、集団的自衛権とか、とにかくいい気になっていた。
 その安倍にしっぺ返しをしたのが今度の名護市長選挙だ。票差がひらいたと聞いたが、いいことだ。沖縄の人たちは、本土のもの以上にがまんにがまんをかさねてきていたと思う。基地犯罪でも一つもへらない。わるくなるばかりだ。これが新基地ができれば、もっと治安も悪化するだろうし、むしろ基地はひろがるのじゃないか。(普天間は)返還するとかいっているが、真にうけたら痛い目にあう。だから、名護の市民がはっきり新基地はいらないと意思表示したことはとてもだいじなことだ。

基地は米本土へ持って行け 大阪・航空関係者
 名護市長選挙の結果は痛快だと思う。安倍政府に一矢報いたという気分だ。
 しかし、選挙がおわったばかりだというのに、どんな結果であるにしろ工事はすすめると平気でいう政府の態度はゆるせない。民主主義もへったくれもないという態度だ。しかも五年で辺野古に新基地をつくるなどといっている。そんなものできるわけがない。埋立地に滑走路をつくるのだ、陸地を整備するのとわけがちがう。五年でできるかできないかということではなく、安倍政府としてはなにがなんでもごり押しするという態度だ。それがゆるせない。
 いわれているように新基地問題は、これからが正念場だ。米軍は沖縄のもっともいい土地を基地にしている。中国との緊張も激化しており、政府は本気で戦争の準備をしようとしている。集団的自衛権うんぬんといっているころから、あぶないなと思っていた。そんな物騒な基地は、アメリカ本土にもっていくべきだ。
 滋賀県の今津ではオスプレイの訓練が抜き打ちみたいにやられた。反対の世論が強まる前に強行するというやり方だ。それだけ安倍政府は、反対世論をおそれているということだ。
 市長選がおわったばかりなのに新基地建設の入札をやるぞといっているのも、ほんとうは反対派の力がひろがるのをおそれて、おどしをかけているようなものだ。たえず市民が声をあげていくことがだいじだ。

全国問題として考えるべき 岡山・大学教員
 基地反対派が勝ったことはよいことだ。さらにこの秋に沖縄県知事選があるが、そこでどうでるかだ。全県民的な意志と運動なら、強権的にできないし、排除することなどできない。全国的となれば政府はお手上げだ。
 自民党幹事長の石破が勝てば五〇〇億円だすといったが、カネでは買えない時代になったのだ。沖縄県民としては、バカにするのはもうやめてくれ、魂を売る気はないということだろう。安倍や石破など大物政治家が大ぜい沖縄にいったのは逆効果だ。
 これからは本土の人間がどう考えるかだ。全国の問題としてどう考えるかだ。そのような問題だ。

沖縄の人たちの斗いは日本が変わる第一歩だ 熊本県・酪農家
 快挙だ。沖縄の人たちは、もうおカネではないと人間の尊厳を見せてくれた。経済ばかりいっていれば国民はだまっていると思っているのだろうが、そうではないよという怒りがうずまいている。いまから日本はかわる。その第一歩だ。
 世論の操作なんかいくらでもできる。アベノミクスで経済がよくなったとかいうが、一部の企業がよくなっただけで、圧倒的な中小企業や農民は苦しくなっている。それを数字のマジックで、ますますよくなっているなんて、ウソつけということだ。
 日本はアメリカにもはっきりとものをいわなければならない。日本にいろいろいうなといわなければならない。
 沖縄の人たちは、日本の良心をしめしてくれた。それなのに自民党は、粛粛とやっていくなどといっている。最後は戦車でひき殺すつもりか。体をはるのだから、「安保」斗争とおなじようになる。
 いままでで最低の人間が首相になった。じいさんの七光りだし、アメリカにはべったりだ。積極的平和主義なんていって、よその国に銃弾をおくったりしている。あんなことをやれば恨みをかわれて、日本も(テロなどに)やられるようになる。
 カネではない。自然を糧として生業をたてている人たちはちゃんと生きていける。こうした人たちが強いことを今度の選挙はしめした。いま人人をつなぐ接着剤になるようなものを見つけないといけない。いまから日本はかわっていく。

勝ってほんとうによかった 富山・農民
 期日前投票が三三%とかいうから関心の高いのは想像ついたが、どうなるのかと心配もあった。勝ったというのがわかってほんとうによかったというのが正直なところだ。
 安倍政府は沖縄の国会議員や仲井真知事をおさえつけ、毎年三〇〇〇億円とかのカネをやるからとごり押しした。そんなやり方に対する反発もあっただろうし、秘密保護法などの強行への怒りもあったと思う。
 みなが反対していることがはっきりしたのに、政府は基地建設の手続きをやると居直っている。いよいよ激突するところにきたのだと思う。わたしらもはげまされた。がんばらなければ。