『人民の星』 5863号1面 2014年2月15日付
消費税上がる前に悪化する人民生活 収入へり出費は増
四月からの消費税率引上げを前に勤労人民の生活がますます困窮している。他方で銀行、証券、大企業はひきつづきかつてない増収増益になっている。貧富の格差は「アベノミクス」によってどんどんすすめられているのである。そのこともふくめ、安倍政府の貧困と戦争の政治を全国の力で阻止し、平和で独立した日本をつくろうと、沖縄はじめ各地でまきおこり、人民決起がはじまっている。
退職後に二つの仕事でしのぐ
六〇歳で退職し、ひきつづいて嘱託として、おなじ企業で営業・案内の仕事をしているという山口県の男性は、給料が六割ほどにさがった。小さな会社であるためそのままでは生活できず、会社の了解のもとに短時間のアルバイトをしている。アルバイト料は三万円から四万円だ。公営住宅に住み夫婦共働きだが、生活はきびしい。老後のことを考えると目一杯はたらきたいが、そうなると収入におうじて家賃があがる。
いちばんの問題はいろいろな病気がでてきて、医療費がかさむことだ。正月はどこへもいかず、家でじっとしていた、という。
七八歳で年金生活の婦人は「年金から介護保険などの料金が全部天引きされ、もらう額がじわじわとさがっていく」といい、つぎのように生活の窮状を語っている。
今年の冬は灯油代があがってこまった。電話をかけて家までもってきてもらうが、一回二缶で五〇〇〇円がすぐになくなる。朝からストーブをつければ、一週間で二缶ぐらいはあっという間になくなる。だから去年以上に家のなかで厚着をして暖房の節約をしている。以前は週に二回ぐらいは買い物にいっていたが、いまは週一回で、なんとかもてるだけ買いだめしている。
商売人も経営は苦しく、ある精肉店の店主は「店に買いにくる客はガックリへっている。アベノミクスとかいっているが、ステーキ用の牛肉を買うお客はめったにいない。みんな豚かトリだ。冬場だからたまにすき焼き用の牛を買っていく人がいるが、ひところにくらべたらへっている」といっている。
その精肉店は飲食店などに配達しているから経営が維持できているようなものだ、北九州の卸業者が去年にくらべたら小売店に卸す肉類が三割方へっているとなげいていたという。小売りも卸もみな不景気で、テレビで宣伝している「景気のいい話」はほんとうのことなのかと疑いたくなる、とはなしている。
お好み焼き店の店長は「この間、小麦粉が何度もあがってきたから値上げのチャンスをねらっていたが、客足がいっこうによくならないから、値上げの機会をうしなってしまった。四月の消費税引上げのときにあげようかと思っているが、値上げの反動がこわい。新聞でも消費税増税の自衛策として外食をへらすというのがでていた。サラリーマンの給料がボンボンあがれば消費税ぐらい心配しなくていいはずだが、いわれているほどあがらないから“自衛策”の方ばかり宣伝するのだろう」と語っている。
企業の海外進出が問題 零細工場主
町工場によれば、消費税の前に経費がじわじわあがって、単価(工賃)がすえおきだから、いまでもやりくりがたいへんである。ボール盤でつかう油は量も少なく単価も安いが、フライス盤やNCマシーンの油代などはばかにならない。
電気代も大きい。月に一二、三万円はとられる。おなじ規模の工場にくらべるとその町工場はまだ安い方だが、消費税対策など考える余裕もない。四月にあがってからどうするか考えるとしかいえないという。
町工場の主人は、「以前、NHKのテレビで缶づめ一個をおかずに食事をしている商売人のことをやっていたが、小さな町工場はみなおなじようなものだ。“日本全体が沈没していく”というのはそのとおりだと思う。企業が海外にでていきすぎなのが問題だ」と訴えている。
総務省が発表している労働力調査では、失業者は平均して二六五万人もいる。二〇一三年の平均で、パート、アルバイト、派遣労働、契約社員、嘱託などの非正規労働者・従業員が一九〇六万人と激増している。正規労働者・従業員はへって三三〇二万人である。
全体として賃金水準がひきさげられ、年金生活者の場合には、政府は支給額の減額措置をとっている。このようにして、労働者・勤労者の生活水準が大きくひきさげられ、総務省の昨年一二月の家計調査では、調査した世帯の実収入は前年同月より一・七%減少し、三カ月連続の減少で、可処分所得になると二・一%の減で、五カ月連続の減少となっている。
かりに月三三万円余りで生活している世帯をとった場合でも、税金をはじめ非消費支出が約半分の一五万一五一五円もあり、名目では二・七%も増加している。税金などですいあげられているのである。
こうして人民の経済生活は困窮の度を増している。格差社会が進行するなかで、社会や政治にむける労働者、勤労人民の意識はするどいものとなり、「日本が戦争にいくことだけはゆるしてはいけない」という声となって強まっているのである。