『人民の星』 5932号1面 2014年10月18日付


大型郵便局の実態 人手不足を応援で回す アルバイトが主力

 日本郵政は、郵便事業の収益をのばすため郵便・物流の「合理化」をすすめている。その目玉として全国二〇カ所にあらたな大型郵便局を設置し広域の区分業務を一手に請けおい、輸送時間とコスト削減をはかるとしている。郵政当局は民営化をすすめるなかで、独占資本としての性格をあらわにし、郵便・物流をになう労働者を低賃金と労働強化にしばりつけ、巨額の利潤をあげようとやっきになっている。
 すでに東京には新東京郵便局(東京都江東区)という大型郵便局が稼働している。新東京郵便局は、首都圏の郵便網の中核をになっていた東京中央郵便局、晴海通常郵便集中局、東京輸送郵便局の三局を統合するかたちで、首都高速湾岸線の「新木場インターチェンジ」近くにつくられた。

新東京は職員の倍のバイト
 新東京郵便局は、全国からあつまってくる郵便物を都内二三区にある五九の集配局むけに区分する業務、また二三区からあつめた郵便物を全国の中継局に輸送する業務をおこなっている。この業務をささえているのは、約七〇〇人の職員とそれを上まわる一四〇〇人のアルバイト(ゆうメイト)である。
 あつかう郵便物のうち、ゆうパックの最大重量は一個三〇`である。こうした重いものをはこぶのは屈強な者でも、注意しないと腰をやられる。婦人のパート労働者が重い荷物をパレットの上段からおろす作業がおこなわれており、労働者から改善の声がでている。
 新東京郵便局は常時アルバイトを募集しており、やめていくものがあとをたたない。アマゾンの「当日配達」の取り扱いをはじめるときも一一人の要員が必要だったが、五人しか確保できず、他の部署から応援をまわしてやっとしのいだ。要員不足で、連日、応援でまわしている状況となっている。

月収は13万円生活できない
 ゆうパックの「仕分け・運搬」のアルバイトの時給は、九五〇〜一〇二〇円となっている。勤務時間帯は六種類あるが、日勤の場合みな実質六時間勤務である。たとえば午前九時〜午後三時四五分で一勤務五七〇〇円となっている。週五日勤務であるから月に二三日勤務でも一三万一一〇〇円である。物価の高い首都圏で、他に収入や援助があるもの以外、これではとてもやっていけない。そのためか婦人労働者がたくさんはたらいている。
 そこで夜勤になると午後一〇時から翌朝五時四五分の実質七時間で、夜勤手当がついて一万一四八円となる。この勤務だと月額で二三万円になる。これなら経済的になんとかやっていけるかもしれないが、肉体的な疲労はそうとうなものになり、長期にはたらきつづけるのはむずかしいだろう。
 日本の郵便・物流の重要な部門をになっている巨大郵便局は、このようなきわめて低い賃金で命をけずるような労働によってなりたっている。

ヤマトや佐川ら激烈な競争

 通販市場が拡大するなかで通販業者間の競争、それと連動して郵便やヤマト運輸、佐川急便などの物流業者間の競争も激化している。この競争にかちぬくために「当日配達」なるものがうちだされ、午前中に注文すればその日のうちに品物がとどくというのを“売り”にしている。そのために、より高速の区分機を導入し、より効率の高い作業が労働者に要求される。こうした「合理化」はヤマトや佐川もやっており、はてしなくつづくのである。
 民間の職場では、パート・アルバイト、派遣などの非正規労働者が主力になっているが、その労働条件の劣悪さのためにやめていくものがあとをたたない。その欠員を残業や休日出勤でうめているのが正社員である。したがって安全装置として一定の正社員が必要である。そこで郵便では正社員のなかに「新一般職」という、賃金の低い正社員制度を導入した。こうして正社員からもしぼりとり、巨大な利益をあげて株主に貢ごうとしている。