『人民の星』 5986号1面 2015年5月2日付

米日反動の戦争陰謀をうち砕こう! 世界侵略企んだ日米首脳会談

 オバマと安倍晋三は四月二八日、いわゆる「日米首脳会談」で、アメリカ帝国主義と日本独占ブルジョア階級の、日本と世界にたいするかれらのあらたな犯罪の段取りについて会談し、「共同ビジョン」なるものを披瀝した。かれらはまた、二七日に日米防衛・外務閣僚会議(2プラス2)をひらき、あらたな軍事侵略の計画である日米防衛ガイドラインの再改定をうちあげた。それは、アメリカ帝国主義が、日本独占ブルジョア階級を前面にたて、日本人民抑圧と中国、北朝鮮をはじめとする世界にたいする侵略と戦争の政策を露骨にすすめていく野望をむきだしにしたものであり、日本の売国反動派が、アメリカ帝国主義の侵略と戦争の政策の先兵となって戦争にのりだすことを誓約したものである。日本の労働者階級と人民は、かれらの売国・反動・貧困、侵略と戦争の策動を断固として粉砕するだろう。

異様な安倍「厚遇」 戦争へ忠誠を誓わせる
 オバマらは今回の安倍晋三の訪米にたいして、「国賓待遇」とし、ハーバード大学での講演やケネディ図書館、リンカーン記念堂の訪問を配置し、国務長官ケリー私邸での夕食会、アメリカ上下両院での演説など歯の浮くような安倍「厚遇」を演出し、日本が侵略と戦争の先兵になることへの「期待感」を露骨なまでにあらわした。
 そのなかで中心となった日米会談でオバマは、「日本は地域的問題でも、世界的問題でも、ひじょうにいいパートナーだ」ともちあげ、安倍晋三は「日米同盟が、アジア・太平洋や世界の平和と繁栄の主導的な役割をはたしていくとの力強いメッセージを内外にむけて発信したい」と地球規模の侵略と戦争の道にアメリカの手代としてふみだすことを約束した。
 こうして安倍は「安全保障法制(戦争法制)の整備について精力的に作業している」とオバマに報告し、オバマは「日本の取組を支持する」と督励した。
 安倍はまた会談で、「(米軍の)辺野古移設が唯一の解決策との立場はゆるぎない」とオバマに約束し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)についても、「アメリカ議会での大統領貿易促進権限(TPA)の審議を歓迎し、TPPをめぐる日米閣僚協議で前進があったことを歓迎する」と推進を約束した。
 会談でオバマは「米国の“日米安保条約”の約束は絶対であり、条約第五条は尖閣諸島をふくめ、日本の施政下にあるすべての領域が対象となる」として安倍を中国にむけて露骨にけしかけた。
 こうした会談をへて、かれらは「日米共同ビジョン」で、米日反動派による日本人民にたいする抑圧と搾取をいっそう強化すること、日本人民をアメリカ帝国主義の侵略と戦争の戦略にいっそうかたくしばりつけ、日本をアメリカ帝国主義の、中国、北朝鮮をはじめとする世界への侵略戦争計画に先兵として総動員しようとすることをきめたのである。
 かれらはそれを「日本の“積極的平和主義”と米国のリバランス(アジア・太平洋重視)戦略をつうじ、世界の平和で繁栄した将来をたしかなものにするために緊密に連携する」(共同ビジョン)などといった。

日本が尖兵役担う 武力行使とTPP約束
 安倍は前日二七日のハーバード大学での演説で、「日本が強くて頼りがいのある国になると、アジア重視政策をすすめる米国にとっても利益だ」といい、アメリカ帝国主義を日本が積極的奴隷的にささえ、日本がアメリカ帝国主義の先兵となってアジアと世界で戦争をひきおこす火付け人としての役割を積極的にになうことを表明したが、「共同ビジョン」でもかれらは、安倍のいう軍事的侵略主義的な「積極的平和主義」をアメリカ帝国主義の戦略のなかで発揮することを確認した。
 かれらはこうして、中国や世界にたいする戦争を意図して、「日本が地域およびグローバルな安全への貢献を拡大することを可能にする」「新日米防衛ガイドライン」とTPP推進を確認した。
 安倍晋三らはこの間、アメリカ帝国主義防衛のために自衛隊の軍事力を発動する集団的自衛権の行使と地球上どこでも米軍とともに自衛隊が武力行動を展開するという、あらたな企みをねりあげ、中国、北朝鮮および世界への侵略と戦争の計画を具体化し、安保法制(戦争法制)を成立させようとしている。
 さらに安倍晋三らは、TPPにかんする日米協議で、はてしもなくアメリカ独占資本の要求に屈服し、TPPの先どりとして、農協と農業の破壊、社会保障の切り捨て、消費税率引上げや軽自動車税引上げなどの増税、派遣・パート・アルバイトなど非正規労働の拡大や外国人労働力の拡大などを画策し、中小零細なぎ倒しなど、あらゆる犠牲を転嫁してきた。
 それらはみな、アメリカ帝国主義の侵略と戦争の政策の具体化として安倍晋三らが手先になって推進しているものである。そして、オバマと安倍は今回、日米会談をやり、アメリカ帝国主義と日本売国独占ブルジョア階級のあらたな役割分担による、日本人民抑圧と世界への侵略戦争政策のあらたな段階をすすむことを約束した。それは「アジア人同士をたたかわせる」というアメリカのかつてのニクソン・ドクトリンをさらに拡大したものであり、世界中で日本に戦争をさせるという犯罪的なものである。

孤立の道進む米日 世界で人民がたたかう
 このことはかれらの強さをあらわすものではなく、反対に、かれらの弱さをあらわすものである。アメリカ帝国主義は、自国人民をふくむ全世界人民の反抗によっていたるところで打撃をうけ、歴史的な力の衰退をどうすることもできない。アメリカ帝国主義にたいするアメリカ人民の斗争は、戦争反対、TPP阻止をはじめ、黒人弾圧への激烈な反抗となってもえひろがっている。中国主導のアジアインフラ投資銀行の設立の動きは、米日をとりのこして進行しており、ドルを基軸としたアメリカ帝国主義のIMF・世界銀行による世界金融支配をゆるがしている。
 日米同盟はもはや世界の孤児となっており、アメリカ帝国主義は、こうした孤立と世界支配の崩壊の危機のなかで、いっさいの危機を日本に転嫁しつつ、日本を中国との戦争や世界侵略にひきだすことで打開しようともくろんでいるのである。日本売国反動派は、アメリカ帝国主義のボロボロの侵略と戦争の計画を必死にささえ、いっそう忠実にいっそう奴隷的にこれにしがみつき、日本人民抑圧と世界侵略の野望をふくらましている。
 だがこれらのもくろみは絶対に成功することはできない。
 日本人民は、アメリカ帝国主義と日本売国反動派の、売国、貧困、侵略と戦争の政策に断固として反対し、大きなうねりをつくりだしている。
 「原爆と戦争展」・原水禁運動は幾千万人民の第二次大戦の経験と戦後の経験にたち、「敵はだれか友はだれか」をあきらかにし、広範な人民を激励している。原爆と戦争の体験者が原水爆戦争阻止のために体験を語り、労働者、青年、婦人、教師、子どもたちが、原爆と戦争の経験をひきついで、米日反動派の戦争策動をうちやぶろうとたちあがっている。
 沖縄、岩国をはじめ全国的に「安保条約」・米軍をつかったアメリカ帝国主義による日本支配に反対する機運はますますつよまっており、「アメリカは米軍基地を持って帰れ」という世論が渦巻いている。
 安保法制(戦争法制)に反対する世論と行動、原発再稼働や原発輸出、原発新設の企みに反対する行動、TPPに反対する行動がかさなりあってたたかわれている。
 労働者階級のなかで、全人民の利益のためにたたかうという機運が強まり、これまで労働運動をむしばんできた自分の目前の利益のみを追いもとめる経済主義・改良主義・組合主義を克服して、全人民を解放してのちみずからを解放するという労働者階級の歴史的使命にたった運動の追求がはじまっている。米日反動派と人民の矛盾は、職場・生産点においてきわめてするどくなっており、米日独占ブルジョア階級の二重の搾取のもとにおかれている下層労働者の憤激はおさえきれないほど高まっている。
 米日反動派による農業破壊、中小零細なぎ倒しにたいする憤激などあらゆる階級階層のなかで怒りは高まり、一握りの米日反動派にたいして、労働者階級を先頭に農民、中小零細業者、青年、婦人、教師、知識人・文化人など圧倒的多数の人民が団結し、統一戦線を形成し、たたかうという機運がつよまっている。
 それはアメリカ帝国主義の戦争策動やTPP、TTIP(環大西洋貿易投資連携協定)、緊縮財政政策に反対する国際的な労働者、人民の斗争と呼応し、国際的連帯性をもってたたかわれているのである。
 アメリカ帝国主義と日本売国独占ブルジョア階級の抑圧と戦争に反対する日本人民の斗争の発展はだれもおしとどめることはできない。福田路線を堅持し、あらゆる戦線・分野での下からの斗争を堅持し、人民に奉仕する思想と大衆路線の原則をつらぬき、確固としたプロレタリア階級の階級政策を堅持すれば、米日反動派に痛烈な打撃をくわえることができるのである。