『人民の星』 
  6029号2面 2015年10月3日
マイナンバー制 個人情報流出に留まらず
バイト発覚でも辞職

 マイナンバー制度が実施されると、個人情報の流出の危険性にとどまらず、二つ以上の仕事をしている労働者がアルバイトなどができなくなる例や、小規模事業者が事業を継続できなくなるなどの問題も浮上してきている。
 たとえば生活の必要から定職のほかに夜間のアルバイトなどをしている労働者も少なくない。これまではアルバイトについては、税務署に申告をしなくともすんでいたが、今度はマイナンバーができたため、アルバイト先の事業所でだれがアルバイトをして、いくらの所得があったのかがわかるようになる。そこで、アルバイトの分の所得税を支払うということになるが、それだけでなく、たとえば定職の事業所がアルバイトを禁止していれば、やめなければならなくなることもおこる。
 また、会社や家族に知られたくないような職業についている場合も、やはりやめなければならなくなることがおこる。

理容業界などで赤字転落も
 小規模法人で従業員を雇っているが、厚生年金などの社会保険に加入させていないところも少なくない。社会保険に加入するためには、従業員の給料の二八%に相当する保険料の半額を事業者が払わなければならない。
 そのため、理容業界などでは平均経常利益率は四%程度であり、社会保険に強制加入させられた場合、赤字に転落するところもでてくるという。
 これを回避するためには、法人をやめて個人事業主となるしかないが、そうなると今度は銀行からの融資がうけにくくなるという。
 こうした問題はすべて労働者の賃金が低いことから発生している。労働者の賃金が適正なものであるなら、アルバイトをする必要もなく、零細事業者の売上もふえて従業員を社会保険に加入させることができる。
 しかし、現在のように非正規労働がまん延するような方向へすすんでいるなかでは、賃金はふだんに引きさげられている。
 そこにマイナンバー制度が導入されることにより、国の方は所得実態を正確に把握して、税金のとりもらしをふせいで、税収をあげることができるが、その裏であらたな犠牲を労働者や小規模事業者がおしつけられていくのである。
 マイナンバー制度は、労働者、勤労人民を抑圧する制度以外のなにものでもなく、ただちに撤廃すべきである。