『人民の星』 
  6042号1面 2015年11月18日
佐賀空港 陸自最大の航空基地に
防衛省がイメージ図を公表

 佐賀空港への自衛隊オスプレイ機配備をめぐって、防衛省が一〇日、配備のイメージ図を公表した。それから見ると、政府・防衛省は佐賀空港を陸上自衛隊最大規模の航空基地に変えようとしている。アメリカは日本と中国に戦争をさせ、米軍は安全圏に逃げて、日中ともに戦争で疲弊したころを見はからって米軍を侵出させ、支配するという凶悪な作戦をたてている。オスプレイ配備は、佐賀空港をその最前線基地にするためのものである。佐賀、九州、全国をふたたび戦火にさらす佐賀空港の軍事基地化をぜったいにゆるしてはならない。

ミサイル攻撃呼び込む
 防衛省があきらかにした構想は、空港西側の約三〇㌶の長方形の土地に駐機場や格納庫、隊庁舎、燃料タンク、弾薬庫を整備するというものである。二本の誘導路で駐機場と空港の滑走路をむすぶという計画である。
 弾薬庫の周辺には広い安全地帯の設置が必要であり、この敷地でおさまるはずがない。イメージ図を見ても弾薬庫は書かれていない。実際は、この敷地周辺に広大な緩衝地帯をもうける構想である。イメージ図にも敷地周辺一帯が灰色で塗られ、そこも基地用地にすることがしめされている。
 佐賀空港西側には県道四八号線と海岸線にかこまれた南北五〇〇㍍、東西一・五㌔の広大な耕地がひろがっている。それをほぼ丸ごと基地用地としてとりあげるという計画だろう。
 防衛省はこの新基地にアメリカから新規購入するオスプレイ一七機を一九年度に配備するとともに、空港から二〇㌔ほどはなれたところにある陸自目達原基地のヘリコプター(対戦車、戦斗など)約五〇機をすべて移そうとしている。それにともなって佐賀空港の新基地に配備される自衛隊員は七〇〇~八〇〇人にのぼる。防衛省は、新基地のヘリの飛行回数を一日六〇回程度、年間で一万七〇〇〇回程度になる見込みだといっている。さらに夜間も飛ばすといっている。
 自衛隊機七〇機を擁し、年間二万回近くもとぶということ、さらに燃料タンクに弾薬庫までつくるということは、陸上自衛隊では最大の航空基地・木更津基地(千葉県、滑走路一八三〇㍍)以上の巨大な軍事基地が誕生するということである。ちょっとした駐機場をつくるのとはわけがちがう。しかも木更津基地も米軍がいつでも使えることになっている。
 政府・防衛省はなんのために、佐賀空港にこんな軍事基地をつくろうとしているのか。中国との戦争のためである。
 防衛省は七月に「陸上自衛隊の佐賀空港利用について」と題する文書をだしている。
 そのなかで防衛省は、南西諸島の防衛体制を大幅に強化する、島嶼部での戦斗に対処するため約三〇〇〇人規模の水陸機動団を陸上自衛隊相浦基地(長崎県佐世保市)に配備する、その部隊を輸送するためにオスプレイ部隊を設置するとのべたうえで、佐賀空港に配備する理由としてつぎの諸点をあげている。
 ①相浦基地に近く、島嶼部への水陸機動団の迅速・効率的な輸送に適している。②島嶼部への水陸両用作戦にかかわる主要部隊が多く存在する九州北部に所在している。③オスプレイの運用に必要な滑走路を有している。④周辺に市街地がなく、十分な地積の確保が可能である。⑤市街化がすすむ目達原基地からのヘリの移設先として活用しうる。

対中国戦争をにらんだ配置
 佐賀空港は陸自相浦基地から六〇㌔、米軍佐世保基地・自衛隊佐世保基地から五〇㌔、航空自衛隊春日基地から四五㌔の距離にあり、位置的には各基地の結節点にある。滑走路の長さは二〇〇〇㍍あり、目達原基地の滑走路(六六〇㍍)の三倍ある。オスプレイは垂直離着陸が可能だが、プロペラをやや前傾にして離陸滑走する方が搭載量を多くできるため、軍事的に見れば佐賀空港の方が使い勝手がいい。前線への補給物資をはこぶC1、C130、C2などの輸送機も佐賀空港なら離着陸できる。そのうえ目達原基地と違って周辺に人家はなく、防衛省は基地用地として確保しやすい(十分な地積の確保が可能)と見なしている。
 政府・防衛省がねらっているのは、佐賀空港を対中国戦争の最前線基地にするということである。佐賀空港からオスプレイや戦斗ヘリ(現目達原基地)を飛ばして中国と戦争するということだ。
 そのうえ、自衛隊のつぎには米軍をもってこようとしている。アメリカは日本中に米軍が使用できる基地をつくろうとしている。
 当然、報復のミサイルが飛んでくるだろう。空港周辺は、火の海になる。
 アメリカは、「アジア・太平洋戦略」の一環として、自衛隊に中国軍とたたかわせる戦略をとっている。そうなれば全国の米軍基地、自衛隊基地が中国軍のミサイル攻撃の対象となることは必至だ。アメリカは全国の基地を使いながら、ねらわれると思えば米軍主力を安全な地帯に避難させようとしている。そうして中国が手持ちのミサイルをうちつくし、日中両軍とも疲弊したころを見はからってふたたび侵出し、軍事的支配を維持するという狡猾な戦略である。日本を米軍の捨て石にする作戦である。
 地域の人たちは「自衛隊基地は戦争のための基地だ」「自衛隊が来ればかならず米軍が来る」「基地になればミサイルがとんできてあたりは火の海になる」といっている。政府・防衛省は「米軍訓練と自衛隊配備を切りはなす」といって地域の人たちを攪乱し、当座、自衛隊基地化だけはみとめさせようとしている。だがつぎは米軍が来ることは疑いなく、それ自体がミサイルの標的になる。佐賀空港の軍事基地化は阻止あるのみである。