『人民の星』 
  6045号1面 2015年11月28日
安倍政府 武器売買を奨励
米日軍需産業肥え太り 国民生活やせ細る

 安倍政府は、九月一九日に安保法を強行成立させ、一〇月一日には「防衛装備庁」が発足した。防衛装備庁は、武器、弾薬、通信機器、燃料、食糧などの「防衛装備品」を調達するとともに、武器の研究・開発、輸出などもあつかう。また、国内の軍需企業に助言し、各国との交渉窓口にもなる。それらは、アメリカの軍事戦略にそってすすめられ、このもとで日本の軍需産業化が加速されようとしている。国民生活が苦しくなる一方であるのに、産業の軍事化がすすめられている。

防衛装備庁発足 武器調達額は1兆5000億円
 経団連は安保法成立の直前に「武器輸出を国家戦略にせよ」という提言を発表した。昨年四月、安倍政府は「武器輸出三原則」を廃止し、武器輸出を促進する「防衛装備品移転三原則」を閣議決定した。安倍政府は米日の軍需産業のために武器輸出や武器の共同開発に本格的にのりだしている。これらをうけた経団連の提言である。
 首相・安倍や防衛相・中谷らは、各国首脳との会談で武器の生産や共同開発などについて約束し、トップセールスで軍需企業を後押ししている。軍需企業も積極的に国際武器見本市にくわわり、武器の売り込みにはしっている。
 昨年四月の「防衛装備品移転三原則」の閣議決定後、六月にフランス・パリで国際武器見本市「ユーロサトリ」がおこなわれた。ここではじめて日本のブースがもうけられた。武器を出展したのは三菱重工業、川崎重工業、日立、東芝など大手軍需企業一二社である。
 三菱重工業は新型装甲車の模型を展示した。各社も地雷探知機や地雷処理装置、気象レーダー、顔面認証システムなどの実物やパネルを出展した。日本の軍需企業の参加については、防衛省が音頭をとった。この武器見本市には防衛副相・武田良太が視察に訪れた。
 今年五月、横浜で国内初の国際武器見本市「MAST ASIA 2015」がひらかれた。イギスの民間企業MASTが主催する「海洋防衛・安全保障」の総合展示会である。展示会には、アメリカ、イギリス、オーストラリア、スウェーデンなどの海外および国内から一二五の企業・団体が出展した。この見本市は、経産省や防衛省が後押しした。
 さらに九月、イギリス・ロンドンで世界最大級の国際武器見本市DSEIがひらかれた。これにも日本から川崎重工、NEC、三菱電機、東芝、富士重工など八社が出展した。防衛省みずからもはじめてブースをだして、「そうりゅう」型潜水艦の模型を展示した。とくに日本政府はオーストラリアの次期潜水艦の開発をめぐって仏、独と受注をきそっており、防衛省によるブースの設置は、政府が前面にでて是が非でも売りこもうという姿勢がにじみでている。
 日本の軍需産業は、一昨年まで「武器輸出三原則」のため武器輸出は制限されていた。軍需産業は主として防衛省の調達・発注ををひきうけるというものだった。それでも防衛省による一四年度の年間調達額は一兆五七一七億円にもなっている。
 契約実績は、トップが三菱重工業で調達額は二六三二億円。川崎重工業は同一九一三億円、日本電気は同一〇一三億円とつづく。上位二〇社で合計一兆一三八五億円の受注となり、全体の七二・四%をしめている。
 これから兵器市場はもっとふえることになる。
 日本の軍需企業は「一般社団法人日本防衛装備工業会」(会員企業一二四社。一五年六月現在)を組織している。経団連内にも「防衛産業委員会」をもうけ、ことあるごとに政府に、武器輸出の解禁を要求してきた。それは同時に、米政府、米軍需産業の要求でもあった。

自衛隊 主要兵器はアメリカ製
 日本の武器の多くは、F15や今度導入するF35などの主力戦斗機、CH47輸送ヘリやAH1S攻撃ヘリ、E2C早期警戒機など多くがアメリカ製である。また国産機といっているものもエンジンはアメリカ製というものもある。
 艦艇でも戦斗のカナメとなるイージス・システムなどはアメリカ製で、ミサイルのパトリオット(地対空)、シースパロー(艦対空)、ハープーン(艦対艦)、サイドワインダー(空対空)などすべてアメリカ製である。
 水陸機動団(日本版海兵隊)の装備として導入する輸送機オスプレイや水陸両用車、無人偵察機グローバルホークもアメリカ製である。
 アメリカは戦後一貫して、日本を武器市場としており、アメリカ製の武器をおしつけることでぼろ儲けし、自衛隊を従属させてきた。いまは、アメリカ経済が沈滞し市場もせばまるなかで軍需部門を拡大しようとし、日本にも目をつけている。だが、アメリカは日本の軍需企業を下請けにし、主要な技術はぜったいにわたさず、あくまで優位にたって支配しようとねらっている。
 日本政府は次期主力戦斗機にアメリカ製F35ステルス戦斗機をあてることをきめたが、ライセンス生産は拒否されている。日本企業はF35の部品の一部を下請的に生産するだけである。組み立てはアメリカでおこない、F35は日本ばかりでなくイスラエルなど他国にも輸出する。アメリカはF35の修理工場を日本におくことをきめているが、中枢部分の修理はアメリカにもっていかなければならない。
 アメリカによる日米同盟の戦略方向をしめした「第三次アーミテージ・ナイ報告書」(一二年八月)は、「(日米の)防衛産業のより密接な連携が必要」とのべ、日本がもつ武器技術の輸出を解禁し、武器の共同開発を強めることを要求している。
 具体的には「電子、ナノテク、合成、その他の高価値部品」を自由にアメリカに輸出するようにすること、また「洗練した将来の武器と安全システムの共同開発の機会を促進させる」としている。
 つまり、衰退して国家の資金も底をついたアメリカは、日本の最先端技術や資金をとりこんでアメリカの軍需産業に次世代型の戦斗機、軍艦、レーダーなどを開発させようというのである。今年四月に合意した「新日米防衛ガイドライン」もおなじ内容をもりこんでいる。
 アメリカは日本の軍需産業との連携をうたっているが、それはあくまでアメリカ軍需産業の利益を第一にした連携なのである。
 安倍政府は、人民にたいしては消費税増税や各種保険料の引上げ、年金等の切り下げをおこない、国家資金を軍事費や軍需産業の儲けのためにつぎこもうとしている。それはアメリカの戦争政策と深くむすびついている。