『人民の星』 
  6057号1面 2016年1月16日
宜野湾市長選 米国は基地を持って帰れ
全県民の団結で斗い起こそう

 米軍辺野古新基地建設をめぐって、アメリカ帝国主義・日本反動派と沖縄県民・日本人民とのあいだの矛盾が激突している状況のなかで、普天間基地をかかえる宜野湾市の市長選が一七日告示、二四日投開票される。佐喜間淳・現宜野湾市長は、沖縄県民を裏切った前知事・仲井眞を支持した首長の一人である。市長選は安倍政府が支援する現職とオール沖縄の支援をうけ辺野古移設に反対する立場を明確にする志村慶一郎氏(元県幹部)が立候補を表明している。
 普天間基地は、米海兵隊の航空基地であり、現在はオスプレイ部隊が配備されている。基地は宜野湾市の中心部を占拠し、市民は日夜、猛烈な騒音と墜落の危険性に悩まされており、一日もはやく基地を撤去し、返還してほしいという思いは市民共通のものである。しかし、米日反動派は、沖縄県内に普天間基地の代替基地をつくることを条件に返還をうちだすことで、かえって基地機能の強化をはかるとともに、沖縄県民の分断をはかっている。
 もともと普天間基地の返還は、一九九五年の米海兵隊員による少女暴行事件を契機に爆発した、沖縄県民の米軍基地にたいする怒りを沈静化するために、米日政府がつくった沖縄特別行動委員会(SACO)によってうちだされたものである。県民のたたかいの発展が主要米軍基地の「返還」を浮上させたのである。
 しかし、それには代替基地の建設が必要という条件をつけたため、どこも受け入れに反対し、二〇年近くがすぎた。追いつめられた米日政府は名護市辺野古地区に新米軍基地を建設することをきめたが、地元名護市をはじめ全県的な反対世論が沸騰して現在にいたっている。
 二〇一四年の前県知事選挙では、宜野湾市においても翁長候補の票数が仲井眞候補の票数をうわまわり、宜野湾市民のなかでも焦点となっている辺野古新基地に反対する世論がひろがっていることをしめした。
 米日反動派は、宜野湾市長選で現職を維持することで、辺野古での新米軍基地建設の道筋をなんとかひらこうと画策しており、安倍政府はテコ入れを強め、別働隊の幸福実現党や右翼集団までくりだして浸透作戦と脅しを強めている。

アメリカの狡猾な支配
 アメリカの沖縄支配の手口は狡猾(こうかつ)巧妙で、沖縄戦であれだけ県民を虐殺し、米軍の「銃剣とブルドーザー」によって問答無用に土地をとりあげ、戦後七〇年にわたって米軍基地によって県民を抑圧しておきながら、沖縄県民の怒りがストレートにアメリカにむかわないようにしてきた。今回の普天間基地代替問題でも、日本の内政問題であるかのような態度をとり、日本政府を前面にたてることで、すべての怒りは日本政府にむかわせ、アメリカにはむかないようにしてきた。
 また、中国脅威論をあおり、米軍の駐留はしかたないと思わせ、米軍基地撤去といいにくい状況をつくりだしてきた。
 普天間基地の周囲で生活する宜野湾市民にとって普天間基地返還はただちに実現してもらいたい要求となっている。そこで米日反動派は、この思いを実現するかのような態度をしめしながら、辺野古をみとめれば、普天間を返還するといって条件をつけ、辺野古と普天間を対立させ、県民のあいだにくさびをうちこんで分断を策動してきた。
 県民はもとより、本土をふくむすべての人民が団結するためには、「アメリカは基地をもって帰れ」という方向にたつことが必要である。それは、外国の軍隊が常駐するという植民地的状態を脱却し、日本人民みずからの力で独立と平和を達成するということである。

米軍は日本を守らない
 米軍は日本をまもるためにいるのではない。広島・長崎に原爆をおとし、沖縄県民を艦砲で虐殺しつくし、さらに日本全国に空襲をおこなって焼きつくした米軍が日本人民をまもるわけがない。アメリカは日本に基地をおくことによって、日本を支配し搾取・収奪するとともに、日本を足場にしてアジアの侵略支配を拡大するためにいる。
 アメリカがアジアにおいてもっとも重視しているのは、世界最大の市場となりつつある中国を支配下におくことである。東中国海、南中国海の制海権・制空権をうばって経済封鎖をおこない、この経済封鎖をテコにして中国国内の争乱をひきおこし、親米政府を樹立するというものである。尖閣問題や南沙諸島問題を利用して中国への排外主義をあおり、日本や東南アジア諸国をも動員して封じ込めを強める作戦はすでにはじまっている。
 中国が経済封鎖に反撃をした場合、米軍は制空権・制海権を得るための戦争をおこす構えである。しかし、強化された中国の軍事力によって、沖縄をはじめとする在日米軍基地も空母機動部隊も安全ではなくなった。そこで本格戦斗にはいる場合、空母と主力航空機部隊はいったん中国のミサイルの到達圏外に退避する方針をかためている。
 そして在日米軍基地や自衛隊基地の防衛や戦斗はもっぱら自衛隊にやらせる。中国がミサイルをうちつくしたころをみはからってアメリカは反撃にでる。当然、日本は戦場になって戦渦にまきこまれるが、アメリカ本土は無傷である。日本を犠牲にしてアメリカは制海権、制空権を掌握し、中国政府がたおれるまで経済封鎖と戦争をおこなうのである。

人民の斗争で戦争阻止
 経済封鎖は、第二次大戦においても日本にたいしておこなっており、その後も中東のイランやシリアにたいして、またアジアでは北朝鮮にたいしておこなっている。戦争と一体のアメリカの常套手段であるが、さいきんの経済封鎖は成功しておらず、中国にたいしてもうまくいくかどうかはわからない。
 こうした米軍の作戦は、日本が戦禍をこうむることだけがたしかな、まったくゆるしがたいものとなっている。あらたな恐慌の接近のもとでアメリカ独占資本・金融資本は危機におちいっており、国家財政も破たんしており、戦争によって権益を拡大することにますます活路を見いだしている。
 対中国戦争準備の一環として在日米軍基地の再編がうちだされており、辺野古新基地の建設も策動されている。アメリカは日本の使えるすべての空港、港湾を軍事基地化する方向であり、対中国戦争を勝利させるための不可欠の条件としている。
 しかし、それは日本人民の動員なしにはできない。一九五〇年の朝鮮戦争勃発の情勢のもとで、広島で非合法の原水爆禁止・朝鮮侵略戦争反対斗争がおこり、それが全世界的な運動へと発展するなかで、アメリカは朝鮮戦争で原爆を使うことができなくなった。また沖縄においても、米軍基地のミルクプラントではたらく日本人労働者がストライキにたちあがったとき、米軍はそれだけで海兵隊の演習を中止せざるを得なくなったことがある。
 日本人民が斗争にたちあがれば、基地機能をマヒさせ、アメリカの戦争を阻止できるし、米軍基地を日本からたたきだすこともできる。辺野古新基地建設反対、普天間即時返還、すべての米軍基地はアメリカにもって帰れ、の方向で団結することが重要である。