『人民の星』 
  6059号1面 2016年1月23日
年初から世界同時株安 再びバブル崩壊へ
独占資本の時代は終わり

 年初から世界同時の株安になっている。しかも下落がとまらない。エコノミスト(ブルジョア経済専門家)は「株があがりそうなニュースが見あたらない」といっている。世界同時株安は、世界で必要な量をはるかにこえて生産がおこなわれ、売れない商品の在庫がつみあがる過剰生産を背景にしている。二〇〇八年の世界恐慌につづくあらたな恐慌が近づいており、帝国主義の支配は末期症状となっている。目の前の私的な利益を追いもとめることがすべてで、「後は野となれ山となれ」の帝国主義ブルジョアジーには、社会を発展させる力はない。これにかわるのは、社会全体の利益のためにはたらいている労働者と勤労人民である。

労働者階級が社会になうべき
 二〇日に日経平均株価は引続き下落し、年初から二〇三四円(一一%)もさがった。株価の年初からの下落は、アメリカが六・七%(ダウ平均)、ドイツが七・二%、イギリスが三・五%、中国が一二%、ブラジルが八・五%などとなっている。

新興国が生産過剰 頼みの中国がとくに深刻
 今回の株価下落にあらわれている世界経済の第一の特徴は、リーマン・ショックによる二〇〇八年恐慌後、経済回復の牽引車となってきたBRICS(ブリックス―中国、ブラジルなどの新興国)が生産過剰となり、生産活動が急激に縮小していることである。
 なかでも中国の下落がはげしい。中国は株価の暴落をふせぐため七%以上下落した場合、取引を停止するサーキットブレーカー制度を導入した。初日の四日は二度にわたってサーキット・ブレーカーが発動され、七日にもまた発動された。株取引ができなくなるというので同制度はお蔵入りとなった。四日から七日までの四日間で、時価にして六・六兆元(約一三〇兆円)に相当する部分がふきとんだ。
 世界の生産基地となって「高度成長」をつづけてきた中国は、過剰生産も途方もないものとなっている。生産をとめれば、ぼう大な失業者がうまれるため、国家資金を投入して生産をつづけてきたが、それも限界にきている。電子機器、セメント、アルミ、石炭などの工場や鉱山で、生産の停止や減産、賃金の急減・遅配、リストラがおこなわれ、争議もおこっている。
 鉄鋼などは、製造コスト以下の低価格で輸出し、輸出量も一五年には日本の年間粗鋼生産量に匹敵する一億㌧をこえた。過剰な鉄鋼製品はダンピング輸出ではきだされ、世界の鉄鋼業界もしわよせをうけている。
 中国政府自身の負債もふえ、二〇一三年末時点の負債は五六・五兆元(約一一三〇兆円)となっている。ほぼGDP(国内総生産)と同額である。また、中国政府による信用貸し付けの残高は二八兆㌦(約三三〇四兆円)にのぼり、それがちゃんと返済されてくるかどうかがあらたな問題となっている。

アメリカが引き金 世界的にだぶつく原油
 世界経済の第二の特徴は、アメリカが引き金である原油の世界的な過剰生産である。
 アメリカは、中東への原油依存をへらし、輸出国になることと、原油産出国であるロシアやベネズエラに打撃をくわえることをねらって、オバマ政府が発足とともに、シェール・オイルの開発に力をいれはじめた。
 そしてアメリカは、〇八年に日量五〇〇万程度だった石油生産を、一四年には一一六四万と六〇〇万も拡大し、世界最大の産油国におどりでた。昨年は、原油の輸出を解禁する措置をとった。原油価格がさがっているものの、サウジアラビアを筆頭とする石油輸出国機構(OPEC)も減産しない。そして今年は、経済封鎖を解除させたイランが石油輸出をはじめるので世界的な石油のだぶつきはさらに強まる。
 原油の供給過剰は今年もつづき、当然原油価格もさらにさがるとみられている。米エネルギー情報局(EIA)は一二日、みずからつくりだしている原油過剰を棚にあげ、世界的な原油過剰は二〇一七年半ばまでつづくという見通しをあきらかにした。
 ニューヨーク市場の原油の先物相場は、かつて一=一〇〇㌦のときもあったが、現在では三〇㌦台におち、二〇㌦台にまでなると見られている。そのため、アメリカのシェール石油企業は売上をふやさなければならない時期に、減産を余儀なくされ、倒産もふえている。米石油業界ではすでに約二五万人が職をうしなっている。
 昨年六月時点で、シェール企業六二社のうち、二七社で売上の一〇%以上を利払いにあてている。一年前は一二社だった。シェール企業全体の債務(借金)は、過去一年間で一六%も増加し、二三五〇億㌦(約二八兆円)までふくらんでいる。シェール企業は、利子の高い債券を発行して資金をあつめシェールオイルを採掘、開発してきたが、いまその高い利子を恒常的にはらわねばならないためにシェール企業がのきなみ危機になっている。
 シェール企業の経営が破たんすれば、そこに資金を貸し付けている金融機関が危機になり、また、シェール企業が発行した債券(ハイイールド債=ジャンク債)が不良債権になれば、ハイイールド債をくみこんだ金融商品が暴落し、金融危機になる危険性をはらんでいる。

米日欧の生産後退 鉱工業生産がマイナス
 第三の特徴は、中国などの「高成長」を頼みの綱として生産の回復をはかってきた米日欧の帝国主義・独占資本主義諸国の全産業で、中国経済の急後退とアメリカ発の原油過剰生産をきっかけに、過剰生産が表面化していることである。
 アメリカの鉱工業生産指数は、二〇一五年九月からマイナスに転じている。製造業の設備稼働率も下落傾向にある。
 EUもユーロ圏(一九カ国)の鉱工業生産指数が昨年八、九月がマイナスになっている。とくに中心のドイツが昨年六月以降ずっとマイナスとなっていることが特徴である。ドイツの最大企業であるフォルクス・ワーゲンの「排ガス規制違反」問題もあり、停滞はさらにつづくと見られる。
 日本経済も、昨年の第2(四~六月)、第3四半期(七~九月)の鉱工業生産指数がマイナスになっている。二〇一五年の中国向け工作機械の受注実績は一四年とくらべて一七・七%も減少しており、そのなかでもスマートフォンなど電気・精密機械の受注は前年とくらべて三五・一%と、リーマン・ショック並みの受注減となっている。
 中国のスマートフォンメーカーにリチウム電池など部品を供給している化学メーカーも今後の受注減を予測し、海運でも中国向けの鉄鉱石や石炭などの輸送がへっているため、輸送船の過剰が表面化している。
 副首相兼財務相の麻生太郎は、株価下落にたいして、「日本経済の基礎はしっかりしているからあわてる必要はない」といっているが、過剰生産恐慌は確実にせまっている。とくに日本では、消費税率引上げや各種税金のとりたて、窓口負担の強化、賃金の引き下げ、年金削減などで国内購買力の縮小がすすんでおり、国内生産に大きな影響がではじめている。
 一五年の新車販売台数は、一四年とくらべて九・三%減の五〇四万六五一一台で四年ぶりに前年割れとなっている。消費税率を八%にひきあげたうえ、軽自動車税をひきあげたため国内消費購買力が縮小しているのである。軽自動車は前年比で一六・六%もの大幅な減少である。

資本主義は限界に 生産手段の独占が問題
 世界の独占資本は〇八年に未曾有の恐慌をひきおこしたばかりだが、七年たってまた恐慌をひきよせている。
 生産は世界的な規模で社会化されているが、巨大独占体が機械、建物、土地、原材料を独占的に所有している。そのため、一方で生産を拡大しようとしても、他方では私的利潤のため巨大独占体が労働者、人民をしぼりあげ購買力を疲弊させるため、買えない商品が国内外であふれ、けっきょく、生産を強制的に破壊したり、縮小する恐慌になる。
 米投資銀行(証券会社)のリーマン・ブラザーズは、倒産前は総資産六九一〇億㌦(約八三兆円)、従業員二万八〇〇〇人を有し、二〇〇五年にはゴールドマン・サックスやメリルリンチをおさえアメリカ最大手の投資銀行となっていた。
 ところがリーマン・ショックといわれるように、金融・経済恐慌の過程で、あっけなく倒産し、富は泡と消え、従業員は、はきつぶした靴のように街頭にほうりすてられた。これまでの過程でも、家電製品の「世界標準」をつくりだした電機大手のRCAやGEとならぶ総合電機のWH(ウエスチングハウス、のこっているのは原子力部門のみ)は完全消滅した。
 恐慌で一部の巨大資本まで倒産するなか、労働者、人民を犠牲にして肥え太るのは、もっと巨大化した資本である。それはさいきんでは、株主第一主義といって株の配当を懐にし、高利回りの金融商品を売りさばいて搾取・収奪する。住宅のサブプライムローンがだめなら、ハイイールド債や自動車でのサブプライムローンとやむことがない。それはもっとおおきな貧困をつくりだす。購買力がなくなればまた金融恐慌をふくむ過剰生産恐慌である。巨大独占体は生産を破壊するしかなくなっているのである。
 巨大独占体にとってかわるのは労働者階級である。労働者階級は、社会の生産力を代表している。現在は帝国主義の時代だが、労働者階級が帝国主義・資本主義をうちやぶって、新社会をつくりだす時代でもある。機械や建物、土地、原材料などの生産手段を巨大資本が私的に所有する制度でなく、公のものにすることで、資本主義を終わりにし、あたらしい時代を始めるのである。そうして「みんなのために」という思想で団結した社会をつくりだす。そのような大きな力が労働者階級のなかにある。この力を発揮して資本主義よりもっと発展し、進歩する社会のために奮斗することが労働者階級の任務である。