『人民の星』 
  6076号1面 2016年3月23日
有明海漁協 県の調査要請も拒否
佐賀空港は自衛隊に使わせない

 自衛隊が新規導入するオスプレイ部隊の佐賀空港配備問題をめぐって、一八日に佐賀県当局が有明海漁協に防衛省の現地調査をみとめるよう要請したが、漁協側はそれを拒否した。
 この日、県の総括政策監らが漁協をたずね、有明海漁協の徳永重昭組合長らに現地調査を容認する県の考え方などについて説明し、新基地用地の地権者が所属する漁協に調査容認をもとめた。それにたいして漁協の運営委員長や支所長からは、現地調査や配備計画への反対意見があいついだ。
 諫早湾干拓など過去の国による大型事業などをひきあいに「一度つくれば元に戻れない」「日本一の漁場の環境が変われば、後世に汚点をのこす」など反対意見が続出した。とくに空港開港のさいに県と漁協が結んだ「空港を自衛隊と共用させない」とする公害防止協定をたてて、自衛隊基地の建設に反対する意見が圧倒した。現地調査についても「既成事実をつくらせない」として明確に拒否した。
 県は公害防止協定について「事前協議をみとめる可能性を排除したものではない」といっているが、それについても徳永組合長は「“共用しないやろうもん”と漁業者は感じている」と自衛隊使用拒否が漁業者の意見だと強調した。
 県の総括政策監は「調査の必要性を説明したが、それによって現地調査をみとめるという結論にはならず、反対の意見が強かった」とみとめざるをえなかった。
 地元のノリ漁民は、つぎのように語っている。
 「漁民は戦後ずっと、諫早干拓や筑後大堰など国から痛めつけられてきた。これ以上生活の場である有明海を壊させはしないと、漁協としてはっきりだめだといった。配備計画をはっきりと拒否するものでうれしい。みんなこれまでの経験から、国のやり方に強い不信をもっている。国の防衛とか地域振興とかいっても通用しない。
 とりわけ生命の安全を脅かしてはならない。戦争につながるような施設はもってこさせないということだ。
 県や県議会が推進で動こうとしているが、漁民や住民がはっきりと拒否の意思表示をすることが大事だ。反対の声をあげていることが、政府側への打撃になっていると感じる。今度の二七日の絶対反対決起集会は一人でも多く参加して、成功させなければならない」