『人民の星』 
  6081号3面 2016年4月9日
セブンイレブン商法 オーナーに借金地獄
資産とられ自殺した人も

 コンビニのセブンイレブンは、全国四六都道府県に一万八二〇〇店を出店し、売上高七八〇〇億円、営業利益二三五〇億円をあげる、セブン&アイ・ホールディングスの稼ぎ頭だ。その利益は、バイト店員からの搾取とオーナー店主からの収奪によってうみだされている。

近隣にもセブン互いに競わせる
 セブンイレブン本部によるオーナー店主収奪の過酷さは悪名高い。自殺者を何人もだしているほどである。確認されているだけでも、埼玉で二人、群馬と宮城では三人のオーナーが自殺に追いこまれている。宮城は、北海道、東京にならぶほど人口あたりのコンビニが多いところで、人口三万人の圏域にセブンだけで五店もある地域もある。本部が二〇〇〇年いらい高密度多店舗(ドミナント)出店方式をとり、狭い地域に多数の店舗を乱立させる戦略を進めているからである。なかでも宮城や東京は、他コンビニとのあいだ以上にセブンイレブン同士の顧客争奪戦がはげしい地域になっている。
 こうしたところでは売上はあがらず、慢性的な赤字経営がつづく。だがコンビニ経営は、売上金の毎日の送金が義務づけられており、現金はごっそり本部にすいあげられる。店に現金がなければ、銀行からの追加融資も受けられない。生活費すら出ない窮迫生活を強いられ、やむなく売上高の一部を生活費にまわすと本部から店舗経営指導員がとんできて監視される。本部社員が数人がかりできて、金庫の鍵をとりあげ、二四時間監視がつづくともいう。
 それでもらちがあかなければ、本部から「契約更新打ち切り」を通告される。オーナーは店舗をとりあげられ、それまでの本部との取引勘定(オープンアカウント)が清算され、巨額の借金だけのこされる。買掛金には普通、利子がつかないのだが、この場合には五~七%の高金利までつけられ、ばくだいな借金にふくれあがるのである。
 宮城県のあるオーナーの場合、もともと酒屋をやっていたが、九〇年ごろセブンイレブン本部からの勧誘をうけ、土地と建物を自前でもつ「Aタイプ店」を開店した。ところが、本部がすぐ近くに同業のセブンイレブン店を開店したため、売上は急減した。家計をささえるためオーナーは他のバイトに出たが、自分の家のセブンイレブン二四時間営業も保証しなければならず、バイトが欠勤すれば自分がかわりにシフトにはいる生活で疲労困憊した。やむなく売上高の一部を生活費にまわしたが、すぐに店舗経営指導員の監視がはじまり、そのあげく「契約更新打ち切り」を通告された。かれは店舗二階の階段で首をつった。
 セブンイレブン本部では「四生五殺」ということもいわれている。「四〇〇〇万円までは借金させても大丈夫。五〇〇〇万円までいくと自殺する」という意味だ。
 本部は、契約のさいにオーナー夫妻の総資産の一覧を提出させるという。預金や不動産、生命保険、各種保険、株・証券、借金、ローンなどすべてだ。けっきょくオーナーの全資産を巻きあげることをねらっているのだ。

保険かけ自殺しても儲ける手口
 しかも本部は強制的に「セブンイレブン加盟店共済制度保険」に加入させる。これは傷害、火災、病気、死亡、所得補償などを網羅したもので、オーナーになにがあっても、債権はすべて本部が回収できる仕組みである。自殺しても本部は儲かる仕組みである。
 セブンイレブンのこうした実態は、マスコミではいっさい報道されない。週刊誌や新聞にとって、いまやコンビニは最大の販売所となっており、とりわけ最大手のセブンイレブンにおいてもらえるかどうかは、死活問題になっているからである。セブン&アイ会長の鈴木敏文は書籍の大手取次会社トーハンの出身者であり、いまもトーハンの取締役である。
 セブンイレブンが伸張するかげには、バイト店員やオーナーの犠牲がある。