『人民の星』 
  6089号1面 2016年5月7日
全世界でメーデー斗う 労働者階級の力示す
帝国主義に反対し未来開く

 五月一日は世界の労働者が国際的な団結と連帯の斗争決意をしめすメーデーだった。アメリカをはじめとする帝国主義・資本主義の腐朽と衰退があらわとなり、あらたな過剰生産恐慌がせまるなかで、今年のメーデーは帝国主義、反動勢力の新自由主義と戦争政策をむかえうち、未来を切りひらこうとする世界各国の労働者のたたかいの発展をしめすものとなった。

アメリカ 大統領選挙の真只中で
 アメリカのメーデーは米大統領選挙の候補者選びの真っただ中でたたかわれた。首都ワシントンやシカゴ市、デトロイト市、シアトル市、ロサンゼルス市など主要都市で各界各層の人民が、時給一五㌦への最低賃金の引き上げ、人民生活関連予算の削減や民営化をもりこんだ緊縮財政政策の撤回、すべての労働者と移民の基本的権利を守ることを要求し、アメリカ帝国主義の世界的範囲での戦争挑発政策に反対し、集会やデモをおこなった。
 カリフォルニア州ロサンゼルス市での集会・デモには労働組合や移民団体や学生組織など、八〇カ国もの出身者が参加した。参加者は米大統領選挙のなかでふりまかれてきた人種差別的で排外主義的な移民政策(アメリカとメキシコとの国境への分離壁の建設など)を非難し、すべての移民に合法的地位をあたえること、全住民に雇用と教育と医療を保障することを要求しデモ行進した。
 メーデー発祥の地であるシカゴでは午前中にヘイマーケット殉教者の行事がおこなわれ、午後から中心街をデモ行進した。
 サンフランシスコでは市中のデモ行進とともに、海岸部では港湾労働者をはじめとする一〇〇〇人が労働者や移民の権利を訴えるとともに、あいつぐ警察による黒人射殺に抗議した。ニューヨークでは五月一日連合のよびかけで中心街のユニオンスクウェアにあつまり、マンハッタンをデモ行進した。これに参加したフィリピン人は、フィリピンでつづくアメリカ帝国主義の干渉を糾弾した。
 また大手電気通信会社ベライゾンの労働者四万人は、年金削減や外部委託拡大をたくらむ労働協約改悪に反対し四月一三日から全国数百カ所の事業所・施設でストに突入しているが、今年のメーデーをスト現場でむかえた。
 移民、ファストフードなど肌の色の違いをこえた下層労働者の団結した斗争の発展は、米大統領選挙をゆるがしている。
 民主党クリントンが金融資本と公然とむすびついていること、戦争をたくらんでいることが暴露されている。

米国のクーデター策動糾弾 ブラジル
 ブラジルの今年のメーデーは、ルセフ大統領を弾劾・失職させ親米野党の政府にとってかえようとするアメリカを黒幕とするクーデター策動に抗議し、人民斗争によってかちとった成果を防衛する決意しめす場としてとりくまれた。三月末には労働組合や学生団体、婦人団体など二〇あまりの人民団体は三月末に共同で斗争宣言をだし、メーデーを一大抗議行動の場とするようよびかけた。
 ブラジルの最大都市サンパウロでひらかれたCUT(ブラジル中央統一労組)主催のメーデー集会には一〇万人が参加した。メーデー集会に参加した大統領は「このクーデターは民主的に選出された政府にむけられているだけでなく、労働者がかちとった成果にむけられたものだ」と「不正会計」追及をかかげた弾劾策動を批判し、貧困の改善など改革政策を継続する決意をしめし、クーデター阻止を訴えた。サンパウロをはじめ各地のメーデーに参加した労働者は「大統領弾劾をゆるさない」とさけび、デモ行進した。
 キューバの首都ハバナのメーデーには五〇万人が参加したが、アルゼンチンの労働者は、政府の緊縮政策を非難し、ブラジルの労働者はルセフ政府への攻撃を非難した。
 メーデー集会のなかでキューバの労組代表は、ブラジル、ボリビア、ベネズエラでの例をあげ、人民斗争によってかちとられた政府と人民生活改善の成果をくつがえそうとするアメリカの一連の「不安定化」工作を糾弾した。

過酷な緊縮財政政策と対決 欧州各国
 欧州諸国では経済危機の犠牲をおしつけようとする政府の緊縮財政政策に反対する労働者のストライキ攻勢が強まっているなかでメーデーがたたかわれた。
 フランスでは社会党主導のオランド政府が、一〇%もの失業率を引きさげると称して、五月はじめに国会で解雇規制の緩和や労働条件の悪化をもたらす労働法改悪案の審議を開始しようとしている。各界各層の人民は労働法改悪案に反対し、三月九日いらい四回の全国ストをたたかった。
 また高校生や大学生も、低賃金や長時間労働および雇用の不安定化に道をひらく労働法改悪案に反対し、労働者のたたかいにくわわっている。フランスの失業者数は昨年末に二八六万人となり、一五~二四歳の失業率は二四%におよぶ。
 メーデーでは、労働総同盟(CGT)や労働者の力(FO)など七つの全国労働組合センター、全国学生連合、全国高校生連合の呼びかけにこたえて、官民労働者、医療従事者、教師、高校生や大学生が過酷な緊縮財政政策と労働法改悪案の撤回を要求し、首都パリやルアーブル市、リヨン市、レンヌ市、ナント市、マルセイユ市、トゥールーズ市など各地で集会やデモをくりひろげた。メーデーは労働者だけではなく青年学生をはじめとする全人民的な示威行動となっている。
 スペインのメーデーは全土の八〇カ所以上でたたかわれた。首都マドリードのメーデーには労働総同盟(UGT)と労働者委員会(CCOO)によってひらかれ数万人が参加した。参加した労働者は緊縮財政政策による社会的な貧困と低賃金、失業に反対し、就業と労働者の権利をまもるよう訴えた。
 スペインは二〇〇八年の金融・経済恐慌のなかで深刻な経済危機におちいり、資本による犠牲のおしつけによって失業率は二〇%をこえ欧州最悪を記録した。このなかで政府は欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)の指示にもとづき二〇一二年に緊縮財政政策の計画の強行にふみきり、人民関連支出の徹底した削減によって人民に犠牲をおしつけてきた。スペインの労働者はゼネストをくりかえし、真正面からたたかってきた。
 スペインでは昨年一二月に総選挙が実施されたが、連立交渉が難航し六月に再選挙となる。連立交渉が難航したのは、人民斗争を背景に緊縮財政政策に反対する政党が議席をのばし、連立によっても与党が過半数を確保できないからである。スペインの労働者はストライキ斗争を武器に政府を追撃している。

労働市場改悪法とたたかう 「韓国」
 「韓国」のメーデーでは、二大労働組合センターである全国民主労働組合総連盟(民主労総)と韓国労働組合総連盟(韓国労総)に所属する労働者が、労働者の解雇を容易にし非正規労働者の増大に道を開く労働市場構造改悪案の廃案、公務員年金制度改悪の撤回、全労働者への労働基準法の適用、ストライキ権をふくむ基本的権利の保障を要求し、集会やデモをおこなった。
 「韓国」の労働者、勤労人民は四月一三日の総選挙で朴政府の与党セヌリ党を惨敗させ、大打撃をあたえた。メーデーにさいし「韓国」の労働者は労働市場構造改悪案の廃案とともに、労働長官の辞任、朴政府退陣を要求し、追撃している。朴政府の労働市場構造改悪案は、派遣労働者や期間制労働者の契約期間を最大四年に延長すること、派遣労働者の受け入れ対象を製造業や専門職などに拡大することがふくまれる。
 メーデーにさいし民主労総は、仁川、大田、光州、全羅南道、釜山、済州など一五地域でいっせいにメーデー集会をひらいた。首都ソウルのマロニエ公園では官民労働者、教師、学生など約二万人がメーデー集会に参加した。
 民主労総の代表は、「構造調整と大量の整理解雇は経済危機をまねいた政府と大企業を救済し、労働者に犠牲を転嫁するものだ」と非難し、全労働者の雇用と生活をおびやかす労働市場構造改悪案の撤回、食糧主権をふみにじるTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加反対、小・中・高校の歴史教科書国定化の撤回、アメリカの高高度弾道弾迎撃ミサイルの「韓国」への配備撤回、最低賃金の現在の時給六〇三〇ウォン(約六〇〇円)から時給一万ウォン(約一〇〇〇円)への引上げ、朴政府の退陣を要求した。
 首都のソウル広場では、韓国労総傘下の労働者約三万人が、「労働法改悪を阻止しよう」のスローガンのもとに全国労働者大会をひらいた。韓国労総の代表は、成果の低い労働者を容易に解雇できるようにする一般解雇制度の導入、および労働組合の同意なしに賃金や労働条件を改悪できるようにする就業規則変更要件の緩和をもりこんだ行政指針の撤回を要求した。また「経営難の犠牲を労働者に転嫁する企業経営者の無責任と政府の怠慢が、韓国の造船産業の発展を阻害している」と非難し、造船産業の構造調整の中止、中小造船所の連鎖倒産防止と雇用安定化のための税制支援および船舶金融の拡大、社内下請けをふくむ雇用の保障を朴政府に要求した。
 バングラデシュでは繊維をはじめとする労働者のたたかいによってメーデーの法定休日化がかちとられ、さまざまな労働組合や民主団体が記念式典をとりくみ、生活できる賃金や労働条件の改善および雇用の安定化を要求している。
 衣料品産業労働組合連合は首都ダッカのテホン工業団地など各地でメーデー集会をひらき、二〇一三年に人為的に引きおこされた商業ビル「ラナプラザ」倒壊事故の犠牲者(死者約一三〇人、負傷者約二五〇〇人)の正義を守ること、職場の安全衛生対策を強化すること、最低賃金を大幅に引きあげること、団体交渉権を認めること、有給出産休暇を保障すること、労働者にたいする肉体的精神的虐待や強制時間外労働などの不当労働行為に終止符をうつことをハシナ政府に要求した。
 バングラデシュは伝統的に繊維産業がさかんで高い縫製技術をもつ労働者が大量に存在し、賃金水準は中国の三分の一ほどである。これに目をつけ米日欧の独占資本がバングラデシュに進出し、低賃金、劣悪な労働条件をおしつけ、しぼりあげてきた。繊維産業をはじめとする労働者のたたかいは、米日欧の新植民地主義の搾取・抑圧の体制をゆるがしている。