『人民の星』 
  6089号2面 2016年5月7日
安倍・閣僚 また血税で大挙外遊
震災の避難住民かえりみず

 熊本地方を震源とした大地震がまだ収束しないなか、首相・安倍晋三をはじめ閣僚、与野党の国会議員どもは人民の血税を使い、外遊三昧である。“自粛”の様相などなにもない。首相・閣僚、国会議員のゴールデン・ウィーク時の外遊はいまや恒例化している。だが、大震災によって多くの人人が家をうしない、いまだ数万人が避難所や車の中で生活をし、また各界各層の人民が支援と協力活動をおこなっているなかで、さらに人民の貧困化が強まっているなかで、それらをまったくかえりみない安倍政府や与野党議員らの外遊三昧は犯罪である。

被災者救済費は出しおしむ
 首相・安倍は一日に出発して、七日までの日程で欧州を訪問している。五月末に日本で開催するG7(先進国首相会議。伊勢志摩サミット)のために、イタリア、フランス、ベルギー、ドイツ、イギリス、ロシアを訪問するという。すぐにサミットで主要国首脳と顔をあわせるのに、なんのために欧州への“挨拶回り”をやるのか。サミットにかこつけた物見遊山、外遊そのものである。
 安倍は、毎年この時期には、一週間から一〇日の日程で夫婦で政府専用機を使って外遊している。一三年はロシア・中東、一四年は欧州、一五年はアメリカ訪問である。首相の外遊にはばく大な費用がいる。一三年二月の安倍訪米では公表された三日間の費用は約一億二五〇〇億円であった。今回の欧州訪問は三億円近くはかかるとみられる。まったく税金の浪費である。
 安倍にみならって政府閣僚どもも、この時期こぞって外遊する。一四年は一五人、一五年は一三人と閣僚の半数以上が外遊した。今年も一三人が予定していたが、震災で関係閣僚の防災相・河野太郎、防衛相・中谷元、厚労相・塩崎恭久、農相・森山裕、国交相・石井啓一、環境相・丸川珠代がとりやめざるをえなかった。とくに原発の安全にかかわる担当相の丸川は、野党の強い申入れでしぶしぶとりやめたという。
 外遊したなかには、副首相である財務相・麻生太郎、原発政策にかかわる経産相・林幹雄がいる。麻生は、ASEAN+三(日・中・「韓」)財務大臣・中央銀行総裁会議やアジア開発銀行の年次総会出席のためとされるが、なぜかASEAN+三財務大臣・中央銀行総裁会議はアジアではなくドイツのフランクフルトでおこなわれる。首相、副首相がともに外遊三昧なのである。
 経産相・林は原発行政のトップであり、地震の震源地に近い鹿児島では川内原発が唯一稼働しており、外遊を中止し待機するのが当然なのに、アフリカ・モロッコでの「日本・アラブ経済フォーラム」への参加を強行した。まったく無責任きわまりない。
 そのほか、外相・岸田文雄は中国、タイ、ミャンマー、ラオス、ベトナムとアメリカのアジア政策の補完に走りまわり、地方創生相・石破茂、安倍の腹心である一億活躍相・加藤勝信らはアメリカ詣でである。

安倍と閣僚の外遊費7億円
 閣僚の外遊費用は一回で、少なくとも五〇〇〇万円はかかるといわれており、七人の閣僚の外遊で約三億五〇〇〇万円、安倍の外遊費用をくわえると、七億円前後になるだろう。
 外遊するのは閣僚ばかりではない。与野党国会議員もおなじである。ここで目立つのは、アメリカと中国への訪問である。自民党の林芳正、小野寺五典(いずれも元防衛相)、民進党の前原誠司、玄葉光一郎(いずれも元外相)らは与野党の訪米団をつくり、米政府要人らと会談し、日米連携の必要性を確認するという。
 他方、中国に関しては、自民党総務会長・二階敏博が中国、「韓国」を訪問したほか、超党派の国会議員でつくる日中友好議員連盟(会長=自民党副総裁・高村正彦)、自民・民進党議員による山崎拓北京天津訪問団が訪中する。議員の外遊費も税金でまかなわれる。
 安倍政府や国会議員らは、外遊などで国家財政を食い物にしながら、他方で、人人が地震による困難な生活の打開と復旧のための費用は出しおしみし、さらに消費税率引上げをはじめ、重税、医療・介護の負担増、物価高など収奪と負担増を押しつけ、また戦争準備のために軍事費の増大に拍車をかけている。このような反人民、対米従属の戦争政治をおこなう安倍政府は一刻もはやくかえなければならない。