『人民の星』
6109号1面 2016年7月16日
社説 自民をたたき落とした
日本人民の爆発的な力
七月一〇日に投開票となった参議院選挙で、自民党と公明党が「勝った勝った」と大宣伝している。そのうえ、ブルジョア・マスコミは自民、公明と維新など一部の野党をふくめれば改憲勢力が三分の二をしめたとさわぎたてている。ところが、棄権票は四九〇〇万票におよび、圧倒的多数がブルジョア議会選挙に不信をしめしたのである。これはこの間つづく重要な特徴である。安倍自民と公明への批判がどこでも渦まいている。同時に、数年前に人民を裏切ってアメリカに屈従した民進(旧民主)も信用ならないという声として広範にひろがっている。ブルジョア議会政党をだれも信用していないのである。
自民党は、民進党(旧民主党)への批判世論のおかげで表面上議席をかすめとったが、その絶対得票率は一九%にすぎず、日本人民のなかで絶対少数である。それを「勝った、勝った」とマスコミが宣伝するのはデマにひとしい。ましてや改憲勢力が三分の二になったとさわぎたてるのは最大級のでっちあげであり、マスコミがいかに改憲・戦争への旗振り人になっているかを暴露するものである。
今回の選挙の最大の特徴は、自民、公明、民進など与野党がまったく信用ならないなかで、下から大衆的斗争と運動を基礎に人民がたちあがり、自民党候補をたたきおとしたことである。
沖縄では自民党で現職の沖縄・北方担当相である島尻安伊子を伊波洋一候補が一〇万票に近い大差で破った。それは六万五〇〇〇人の県民大会にあらわれたように、元米兵による強姦殺人事件と米軍基地への民族的な怒りの爆発であった。東北・福島でも現職の法務相・岩城光英を増子輝彦候補が約三万票差でやぶった。福島をふくんで青森、山形、岩手、宮城など東北の五県でも自民党候補を県民がたたきおとした。これらは東北大震災の復興を安倍政府がさぼって生活の困難をおしつけていること、福島第一原発の爆発事故による困難のもとにおきつづけていること、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をでっちあげて日本の農業と産業を破壊しようとしていることへの東北勤労県民の断固たる回答だった。安倍は東北を重視し、足繁く東北にいったが返り討ちにあったのである。
鹿児島でも県知事選で原発再稼働に反対を表明した三反園候補が自民党候補をたたきおとした。原発再稼働への怒りのうえに、四選をめざし県民の意見も聞かず県政をすすめようとする現在の伊藤県知事の独断専行の政治にたいして、県民が雪崩をうつように世論を動かし、鉄槌をくらわした。
このようにして、与野党への怒りを基礎に、人民がたちあがり、下から米軍基地やTPP、原発、震災復興など、現実の政治の焦点の問題をおしたてて、安倍自民に打撃をあたえたのである。安倍やマスコミは自民が「勝った、勝った」と宣伝しているが、それは人民の決起がいたるところでおこっているのを覆い隠さんがためであることはあきらかで、昨年まきおこった安保法反対の全国的な人民決起は、ひきつづきひじょうな勢いで発展しているのである。それは、米日の大企業・資本と自民党政治家が権力をにぎり、資本とカネの力による企業・業界選挙で票をかきあつめ、私腹を肥やしながら、アメリカ独占資本と日本独占資本のために売国と貧困、戦争の道をすすめるという体制にたいして、九九%の人民が、みずから大衆斗争をおこし、それを基礎に政治を変えるという政治変革の熱気をおびている。
安倍自民・公明やマスコミのデマを暴露することはきわめて重要である。そして現在の情勢について確信とし、人民勝利の基礎のうえに、対米従属の打破、「安保」破棄・米軍基地撤去、原水爆戦争阻止の大斗争を組織しよう。