『人民の星』 
  6115号4面 2016年8月6日
第38回人民教育全国集会参加の呼びかけ
戦争を阻止する教育運動を発展させよう

 人民教育同盟はきたる八月二八日、山口県下関市で第三八回人民教育全国集会を開催する。安倍政府のもとで貧困と戦争の政治がすすめられる、ただならぬ情勢のなかで多くの勤労父母は子どもたちが集団としてたくましく成長することをねがって反動政治にたちむかっている。全国集会の子ども・父母・教師のつどいは、戦争のない平和な社会をめざして子どもや父母が教師とともに教育への熱い思いを大いに交流しあうもので、幅広い人びとの参加を訴えている。以下は、つどいへの参加の訴えである。

一、父母、教師、 地域の皆さん
 子どもには無限の力があります。友だちと心を通い合わせ、一つのことに向かって、「みんなのために、みんなで力を合わせて」やり抜く力を持っています。
 集団的に成長し、生き生きと学校生活、家庭生活を変えていく子どもたちの姿は教師や父母に展望を与えています。子どもは国の宝です。父母、教師、地域の人々は、平和で豊かな社会の担い手となる子どもたちの成長を願っています。
 どんな子どもに育てていくか、父母、地域、教師が一緒になって壮大な教育運動をつくっていきましょう。

二、体育重視で成 長する子ども達
 体育を重視した「みんなのために」の教育運動が、父母・地域と結びついて広がってきています。子どもたちは鉄棒、縄跳び、持久走などの体育活動や、運動会での組体操を集団で作り上げることなどを通して、体力だけでなく、仲間と力を合わせること、困難に負けない精神力など徳育面でも大きく成長しています。体育で培った力は、知育面でも発揮されています。
 体育重視の「みんなのために」の教育は、地域、父母の願いです。最近は、文科省、マスメディアをあげて「危険だから、運動会で組体操をさせるな」という抑圧があるなか、それを見事にはねのけて、春の運動会では、多くの学校で組体操が実施されました。取り組む子どもたちはお互いを信頼し合い、力を合わせてピラミッドやタワーを作り上げ、達成感、成就感を味わいました。
 地域、父母は「けがをするからといって組体操をなくしてはいけない」と取り組みを支持し、子どもたちが完成させた姿に涙を流し拍手を送っています。
 教師も「危険があるからといってなくすのではなく、子どもたちには経験させることが必要」と信念を持ち、組体操が「友だちと力を合わせる」「信頼しあう」「全力で一生懸命に取り組む」と、人として育つための不可欠な生き方を子どもたちに伝えながら、教師集団が団結してやり抜きました。
 そこには子どもの力を信じ一心不乱に子どものために奮闘する教師の姿があります。
 また、子どもたちは自分の持っている力を発揮し、困難にも負けずみんなで力を合わせて頑張る精神をみなぎらせ、教師の指導性と子どものやる気が響きあう場面がつくられていきました。組体操に限らず今の学校ではこのような感動的な場面はたくさん繰り広げられています。
 「みんなのために」で成長する子どもたちは家庭でも頑張っています。夜遅くまで働く親の代わりに小さい弟や妹の面倒を見たり、掃除や洗濯の手伝いをしたりするなど、親の仕事や苦労をよく知り、家族と力を合わせて日々努力をしています。
 一方で、子どもたちのこのような生気はつらつとした力が発揮できず、いじめや自殺などの荒廃状況が多くの学校で問題となっています。教室から飛びだす、離席する、殴る蹴るのけんかになる、友だちに対して攻撃的になるなど「学級、学校崩壊」が全国どこでも起こっています。本来、無限の力を発揮するはずの子ども・青少年が、殺伐とした状況におかれていることへ、多くの父母、教師が心を痛め解決を求めています。

三、今の教育の なかで
 文科省の教育は完全に破綻しています。「自由・民主・人権」で「○○はしなくてよい、○○は自由でよい」という教育が進められています。そして「子ども天国」を作り出し、すぐ切れる、人を殺してみたかったから殺す、自分の感情が先で人のことなどおかまいなしという精神的には凶暴で、体力的にはひ弱な“もやし”を大量につくりだしています。そして子どもたちを平気で人を殺すことのできる人間にし戦争に持っていこうとしています。
 アメリカの言いなりになって、戦争への道を突き進む安倍政府の戦争政策、軍国主義教育が進められていく中で、被爆者・戦争体験者は「絶対、戦争はしてはいけない」という願いを強く持って、子ども・青少年に激しく語りかけています。
 「自由・民主・人権」はアメリカ型軍国主義に他なりません。その一環としてやられる「いじめキャンペーン」「組体操の規制」などは、子どもたちをたくましく鍛えてほしい、子どもの可能性を十分に引き出したいという圧倒的な父母や教師の「あたり前」に思っていることを押しとどめています。
 教師や父母は「自分たちよりよい社会をつくる」「人間性豊かで道徳的な規律を身につけ、知識も豊かで心身ともにたくましい、いじめや少々の困難にへこたれない」たくましい次代の担い手として子どもたちが成長することを願っています。
 文科省はこのような子どもの成長とは全く逆の子どもに育てようとして、教師の手足をしばっています。
 文科省の教育では、子どもは育たないことははっきりしています。学校、親、地域が連携して教育を進めていくことが今ほど求められていることはありません。教師、親、地域の人人の結びつきを強め、直面するさまざまな問題について視野を広げて解決の方向を見出しましょう。

四、戦争に立ち向かう教育実践を発展させ、
  教育から社会を立て直そう

 文科省の教育ではなく新しい教育を模索して、若い教師をはじめ多くの教師が実践に立ち上がっています。地域と結びついた教育、被爆体験・戦争体験を受け継がせる取り組み、体育を重視した取り組みなど教師は集団で実践し子どもを成長させています。
 全国の教師、とりわけ若い教師とともに固く団結し、体育重視で「みんなのために」の教育をさらに大きく発展させ戦争を阻止する力を持った子どもを育てることが、求められています。
 先輩教師たちは「教え子を再び戦場に送らない」という思いで戦後出発をしました。私たち教師は先輩教師の思いを受け継ぎ「教え子を再び戦場に送らない」のスローガンを掲げて、「戦争反対」の先頭に立たなければなりません。
 教育が変われば社会が変わります。教師は戦争反対の世論と固く結びついて、「子どもたちを戦争に送らない」ために、戦争に立ち向かう教育実践を発展させていきましょう。
 この一年間、体育重視で子どもを成長させる教育実践が、多くの学校で行われてきました。そして各地で教師交流会が行われました。
 若い教師は目を輝かせて先輩教師に学び、先輩教師は若い教師の教育にかける情熱に触れて、お互いが元気の出る交流会になって発展しています。
 本集会では、皆さんと交流し合い団結して日本の教育を変え、新しい社会を立て直す出発点にしていきましょう。