『人民の星』
6127号1面 2016年9月21日
激動発展する情勢に応えて
人民に奉仕する党の再建を
第四回党大会後の歴史的総括に立って
日本共産党(左派)全国活動者会議の決議
日本共産党(左派)は最近、全国活動者会議を開催した。会議は第四回大会以後二三年の活動を総括し、帝国主義とプロレタリア革命の時代の様相をもって激動発展する情勢に対応し、人民に奉仕する思想に徹し、大衆路線を貫くマルクス・レーニン主義党再建の方向を鮮明にした決議を満場一致で採択した。また、この決議にもとづき党活動の整頓・再建をすすめ、第五回党大会を準備する任務をもつ暫定中央委員会を選出した。
一、全国活動者会議の意義
党は一九九三年の第四回大会以後二三年を経過する。早期に党大会を開くべきであるがその条件が整っておらず、全国活動者会議を開催して指導部を選出する必要がある。そして党活動の整頓、再建をすすめ正規の大会を準備するという段取りを取るのが正しいと考える。四回大会では豊北斗争、菊谷斗争、上関斗争などを総括し、七〇年代後半から党の第一期の骨格が崩壊しており、修正主義が発生していることを明らかにした。そして傲慢な支配階級の思想とたたかって人民に奉仕する思想に徹し、大衆路線の道を行くことが決定された。しかしその後も修正主義の襲撃は激化し九八年の一六中総では最高潮に達した。それは革命派が完膚なきまで打ち破った。中央委員会はその後、非正規の臨時指導部状態のままにあり、組織原則違反がつづいている。全国活動者会議はこの正常化が第一の課題である。
この間内外情勢は大きく転換し、諸戦線の活動は発展した。世界的に資本主義の末期症状は誰もが実感するところとなり、働く者が主人公となる社会を求める革命的な潮流が世界的に巨大なものとなっている。われわれの八・六斗争は、あらゆる修正主義、社会民主主義、新左翼らが裏切りの正体をあらわすなかで、広島における圧倒的な存在感を示しており、全国民的な運動として広がっている。それは五〇年八・六斗争を組織した福田議長の路線、すなわち左派党の結党路線、四回大会の路線こそマルクス主義の路線であり、生き生きとした生命力を持っていることを立証している。まさに日本社会の命運がかかったこの新鮮な革命党を建設し、青年労働者、学生が生涯をかけて参加するようにしなければならない。全党員がこの任務の重大さに誇りを持って奮い立たなければならない。
二、現代は帝国主義とプロレタリア革命の時代
一八世紀にフランス革命、イギリス産業革命をやり暗黒の封建制を打ち破って誕生した資本主義は二〇世紀初頭には反動的な帝国主義段階にはいった。すなわち帝国主義列強によって世界が分割しつくされ、市場の再分割をめぐって新旧の帝国主義が争奪する第一次世界大戦へと突き進んだ。だがこの中でロシア十月社会主義革命が勝利した。人類史上ではじめて労働者の国家が誕生し、世界中が歓呼した。当時社会主義国はなかったし、「第二インター」は日和見主義が占拠し、国内ではメンシェビキらとの激しい斗争を通じて勝利したことについて確信を持たなければならない。レーニンは時代認識について、帝国主義とプロレタリア革命の時代と規定した。そして社会主義的な計画経済、集団主義のもとで工業、農業などの生産力をめざましく発展させ、科学技術、芸術文化、教育、スポーツなど急速に発展させて、社会主義の優位性を示した。
帝国主義側は大戦後の一時期はバブルに踊っていたがすぐに崩壊し、三〇年代の世界大恐慌へとすすんだ。そしてアメリカではニューディールなどやるが経済は回復せず、第二次世界大戦へと突き進んでいった。第二次世界大戦は、米英仏らの帝国主義と日独伊帝国主義とのあいだの帝国主義間の市場争奪をめぐる戦争、帝国主義と社会主義ソ連とのあいだの戦争、日本などの帝国主義と中国をはじめとする植民地半植民地国のあいだの戦争、そして各国内のブルジョアジーとプロレタリアートとのあいだの斗争という四つの基本矛盾をめぐる戦争であった。この国際的な大斗争の中で中国革命の勝利をはじめ一連の社会主義陣営が誕生した。
明治維新によって強力な権力を誇った徳川幕藩体制を打倒し、欧米列強の植民地支配を排除して成立した日本資本主義は、地主階級と農民の矛盾、ブルジョアジーとプロレタリアートの矛盾を基本矛盾として、その上層部と連合した絶対主義天皇制権力と人民の矛盾が主要な矛盾を形成した。人民は二重の搾取のもとで極度の貧困が強いられ、サーベルによる凶暴な弾圧のもとにおかれた。そのため国内市場は狭隘化し、侵略性の強い資本主義の特徴を持った。そして朝鮮、中国、さらに東南アジアへと侵略に次ぐ侵略を繰り返し、それらの地域で民族解放斗争の抵抗を受けるとともに、それらの地域に権益を持つ米英仏蘭帝国主義と衝突しそれらとの帝国主義戦争に突入していった。しかし日本帝国主義を打ち負かした主要な力は中国人民の抗日戦争をはじめとする各国の民族解放戦争であった。日本軍の主力は陸軍であったが、その一〇〇万は最後まで中国にいた。日本人民の斗争も日本帝国主義敗北の力となった。
アメリカ帝国主義は平和勢力どころか戦後片時も休むことなく戦争を継続した。日本帝国主義が中国人民にうちまかされたら蒋介石を支援して中国革命に干渉した。それが失敗したら朝鮮侵略戦争を引き起こし、つづいてベトナム侵略戦争へとすすんだ。アメリカには終戦はなかった。アメリカ帝国主義はインディアンと同じように日本人を猿か虫けらと呼んで、米兵に残虐な大量殺戮をさせたが、その本性は戦後一貫している。それは朝鮮、ベトナムでもアフガニスタン、イラクでも同じであり、それらの民族への同情者の立場は一掃しなければならない。アメリカ帝国主義は史上もっとも凶暴な戦争狂・殺人狂であることは日本人民の体験が十分すぎるほど教えている。
西側世界は戦後アメリカ帝国主義が圧倒的な力をもち、一定の相対的安定期がうまれた。それは日本、ヨーロッパなどの戦争による荒廃からの復興需要に依存したものであった。
しかし一九七一年にはニクソン・ショックとなり、金ドル交換停止、さらに変動相場制に移行せざるをえなくなった。それはベトナム戦争におけるドルの垂れ流し、また日本や西ドイツなどの復興による不均等発展によるものであった。こうしてアメリカの戦後支配の枠組みであったブレトンウッズ体制は崩壊した。
新自由主義とは金融資本の原理
アメリカはその中から、新たな手口で世界支配に乗り出した。政治的にはソ連を恐怖する中国を取り込んだ。中国の裏切り指導部は勝利を目前にしたベトナム革命を売り飛ばし、世界の革命勢力を失望させた。アメリカ帝国主義はさらに軍事力に依存するとともにIT技術(情報通信技術)と金融の新技術を使った新たな手口で世界支配に乗り出した。それは市場原理・新自由主義・グローバリズムと称するものだが、巨大金融資本が株や証券、通貨や商品を投機の具とし、またサブプライムローンのような詐欺商法をやるというものであった。そして実物経済である貿易取引額をはるかに上回る金融取引が世界を飛びかい暴利をむさぼるものであった。それはあり余る余剰資金を各国に投資してバブル経済をつくり、架空の需要をつくっては破綻させた。労働者の貧困化による消費購買力の衰退のなかでバブル経済を連続させ多くの破綻者を作り出した。バブルは中南米、日本、東南アジア、東北アジアなど世界中に広げたが、アメリカ本国のITバブル、住宅バブルと欧州のバブルとなり、それがリーマン・ショックとなり大破産した。この破綻からの打開も、より大規模な金融バブルを進めるしかなく、より大きな破綻が接近している。
市場原理・新自由主義・グローバリズムは自由競争とは欺瞞であり、巨大金融資本が国家を私物化して好き勝手に暴利をむさぼる原理であり、金融資本原理、金融投機優先の原理を意味している。それは個別資本の利益が最優先で人人が生活できるかどうか、社会が成り立つかどうかはどうでもよい。学者のなかでは真理、真実、正義などクソ食らえの学問崩壊。自治体、国家機構は個別資本の利権の道具にして公益性、公共性はクソ食らえの国家統治機能の崩壊。医療、教育も営利の道具にし、社会的使命を崩壊させる。まさに社会的な機能の崩壊、労働の役割の否定である。
新自由主義は、株主の利益優先のための企業支配で産業資本を収奪し、目前の株価のために労働者を非正規雇用に落とし込め、技術の継承や生産現場の秩序などを破壊し、産業をつぶしてきた。そして低賃金を求めて生産拠点の海外移転競争をやり、すさまじい階級格差をつくった。そして一%の富裕層が世界の富の五〇%を独占している。アメリカの国家機構は大企業が人材を送り込み、ロビイストが政治家を買収して回っている。日本もそれに追従している。個別企業の利益優先で国家を私物化し、国家はブルジョア独裁の道具という正体をあからさまにしている。そして働く者が生活できず社会が維持できないところへきた。このなかで中間階級も激しく収奪されて没落し、資本主義の支持者が急減している。
社会主義を志向する潮流の台頭
第二次世界大戦後、登場したソ連を中心とする社会主義陣営とアメリカ帝国主義を中心とする西側帝国主義陣営とのあいだで世界を二分する米ソ二極構造が生まれた。アメリカの側かソ連の側かという国際的な階級構造が生まれた。その米ソ二極構造が一九九〇年を前後して、中国の天安門事件、ソ連、東欧の社会主義国の政権崩壊とつづいた。それは西側帝国主義による社会主義転覆の総攻撃であった。ここでの政権転覆のスローガンは「自由、民主、人権」であり、まさに新自由主義の攻撃であった。帝国主義陣営は社会主義の崩壊をさけび、「自由、民主、人権」のイデオロギー攻撃を使い、またさまざまな手先などを使って、世界各国の左翼勢力を根絶やしにする攻撃を猛烈にくわえた。西側陣営は「社会主義の崩壊」を叫びたてたが、今日誰が見ても腐朽衰退し崩壊に瀕しているのは資本主義の側である。また社会主義陣営の崩壊と同時に西側世界では新自由主義が幅をきかせた結果、労働者の地位が極端に切り下げられた。
社会主義国は、その国の人民の斗争だけの産物ではなく、まさに全世界人民の共同の斗争の産物である。また社会主義国の存在は自国人民だけではなく全世界の労働者、人民の地位を守っていた。社会主義陣営の崩壊は全世界の労働者の地位を引き下げ重大な打撃をもたらした。
新自由主義という金融資本が暴利を得る政策によって、貧富の格差は極端に拡大した。社会を進歩発展させる原動力である労働力の再生産まで破壊し、さらに教育、医療、社会福祉など人人が生きていく条件を破壊してきた。それは資本主義的な私的所有と生産の社会化という資本主義の固有の矛盾を根源にしており、この資本主義の根幹をなす固有の矛盾を解決する社会主義革命以外に解決はできない。
アメリカ帝国主義は米ソ二極構造が崩壊すると湾岸戦争をはじめたが、二〇〇〇年代になると対テロ戦争と称してアフガニスタン戦争、イラク戦争を仕掛けた。それは大量破壊兵器の存在などの大ウソを大義名分とした乱暴きわまりないものであった。このなかで民間の軍事会社など軍需会社が暴利をむさぼっていることが暴露された。中東地域は現在アメリカが破壊して放り出した結果大混乱している。アメリカは「世界の警察官をやめる」といいはじめたが、アメリカの衰退は隠しようがない。
アメリカの大統領選やヨーロッパ各国の選挙など先進資本主義国で社会主義を志向する大きな潮流があらわれている。また各国の学者の中でもマルクス主義復権の流れがあらわれている。明らかに情勢の流れが歴史的な大きな変化を示している。これらの現象はプロレタリアートと人民の世論が広大な勢力となって主導したものである。またイスラム国などのテロ攻撃も帝国主義側がもっとも恐れているのはその背後にいる大多数の人民である。テロは帝国主義側にとっては人民を押さえるのに有利である。以上のような状況は、時代の中心に立ち、この時代を進歩の方向に推進しているのはプロレタリアートであることを示している。それが背後で働いている原動力である。まさに現代は、帝国主義とプロレタリア革命の時代が一〇〇年の様々な曲折を経て新しい革命的様相をみせている。偉大な革命情勢を迎えており、マルクスとレーニンの理論と実践が新鮮な輝きを見せはじめている。