『人民の星』 
  6153号1面 2016年12月21日
佐賀 オスプレイ事故に怒り高まる
漁協の配備反対表明を求める

 陸自オスプレイの配備を先導に佐賀空港の米軍基地化がたくらまれている佐賀市現地でも、米軍オスプレイのあいつぐ重大事故に怒りが高まり、絶対に配備させてはならないと声が強まっている。
 空港のある川副町では、ノリをはじめとする漁師のなかでオスプレイの破片が海中に散乱した映像を有明海に重ね、「有明ノリが壊滅する」「生活や命の危険を感じる」などの声があがり、「沖縄も佐賀もオスプレイはいらん。アメリカに持って帰れだ」「漁協にはっきり反対の態度を表明させないといけない」という意見が強まっている。
 あるノリ漁師は「この前の試験飛行(米軍オスプレイの佐賀空港での飛行訓練)では、漁をしている上をオスプレイが飛びまわった。ニュースを見て、あれが頭の上に落ちてきていたらとぞっとした」と、つぎのように語った。
 「機体はバラバラになっているではないか。有明海は潮の流れが速い。落ちたらたちまち流されて、落ちたところだけでなくノリ漁場全体がだめになる。わしは最初からオスプレイに反対だった。これで態度のはっきりしないものもみんな反対になるだろう。ノリ漁師としてまとまって反対の意思表明をしないといけない。運営委員長(漁協の支部長)のところに、反対でまとめろといいにいった。
 安倍のやつはアメリカのためならなんでもやるのか。自衛隊が空港を使うというが、後ろには米軍がいる。米軍が使わせろといってきたから、安倍も動いているのだろう。空港ができたときからおかしな気配があった。だから漁協として一札(空港を自衛隊基地に使用させないという協定)をいれさせたのだ。米軍がきたら事件もおきる。オスプレイが落ちたら、六〇年かかって築いてきた有明ノリのブランドがだめになる。沖縄でいらんものは佐賀でもいらん。アメリカに持って帰ってもらったらいい」
 べつのノリ漁師も「ちょっと浅瀬にあたったくらいでバラバラになったではないか。ぺらぺらのプラスチックとか壊れたおもちゃみたいだ。あんなにちゃちな飛行機が一〇〇億円なのか。給油のパイプがプロペラにあたるとか、機械として見ても無理がある。戦争のための機械だから、無理につくっているのだろう。有明は潮の流れが速い。落ちたら破片や油で漁場全体がだめになる。配備は絶対にだめだ」とのべた。

アメリカからの自立めざせ
 さらに「安倍はどこまでもアメリカいいなりだ。だから日露会談もうまくいかん。アメリカからいちばん馬鹿にされているが、世界からも馬鹿にされている。いい加減、アメリカと手を切れということだ。アメリカからの自立をめざさないといけない。漁民のなかでは反対の気持ちが強まっている。この前も漁協の集まりでみんなで反対を強めようやという話になった。有明海漁協として絶対反対の立場をはっきりさせることだ。いまみたいな曖昧な態度をとるのではなく、反対とはっきり意思表示させることだ」と強調した。
 魚をとっているある漁師は「落ちたのは技術がない、中身のない兵隊がのっているからだ。漁師は燃料がたらないといけないというので余計に燃料を持っていく。(オスプレイのように)途中で燃料がたりなくなった、補給してくれでは話にならない。軍服は着ているが技術もないものが操縦しているということだ」と、途中で給油が必要な軍用機の飛ばし方の異様さと、米軍の衰退ぶりを指摘した。
 いま夫と息子は秋ノリ網の撤収にいっているという婦人は「やはりおちたかという思いだ。主人らも(オスプレイは)やっぱりだめといっていた。ノリは微妙な生き物だ。水温とかPHとか塩分の濃度とかちょっとかわっただけでできに影響する。落ちて油なんか流れたら、その期はだめだ。その期だけですむかもわからない。風評被害も立つだろう。有明ノリは売れんようになる。首をくくらんといけんようになる漁師さんもでるかもしれない」とのべた。
 ノリ漁をやっているという家の若い婦人も「漁師さんたちのなかではやっぱりだめだという声があがっている。組合としてはっきりさせんといけんという声も出ている。ここは組合長(徳永・有明海漁協組合長)のでているところだが、今度のことで組合長も反対をはっきりさせんといけんでしょう」といっていた。
 ノリなど有明海の漁師のなかでは、なまなましい墜落映像を自分たちの漁場にかさねて、オスプレイ配備に絶対反対だという声が圧倒するとともに、アメリカと日本との関係を問題視し、安倍政府のあからさまな従米への怒りの声もあがっている。ノリ漁の最盛期ではあるが、有明海漁協が絶対反対の意思表明をするよううながすことを手始めに反対の機運を高めることが大事になっている。
 川副町民のなかでも「あまり深く考えてなかったわたしたちのような町の人たちでもやはりだめだと反対の気持ちが強まっている感じがする。耳で危険性を聞かされるのと、実際に目で見るのは切迫感がちがう」(商店婦人)などの声があがっている。オスプレイの配備、空港の米軍基地化が、現地や漁民だけの問題ではなく、佐賀市、佐賀県、全国の問題だという世論を強めていくことがいっそう大事になっている。