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No.051 学生時代の急性アル中

繁華街で酔いつぶれて、道路に寝ている人をよく見かける。
たいていの場合は誰かが警察に電話して、警官が起こしに来る。そこまで飲むのは、ほとんどが10代か20代の人で、多分その中には急性アル中までいった人もいるだろう。

自分が急性アル中という言葉を一番よく聞いたのはやっぱり大学時代で、大学祭の打ち上げの時には毎年どこかの部室に救急車がきていた。自分は学生時代は柔道部にいたが、自分が三年の時に、その時の一年生でかなり危なくなった奴がいた。

大学祭の打ち上げでみんなで部室で飲んでいたのだが、武道系クラブの一年といえば虫けらも同然なので
「もう飲めません」
と言ったら頭から酒をかけられたり鉄拳制裁をくらったりするから、言われるがままに飲む。




その中の一年生の一人が部室で酔いつぶれて寝ていたのだが、突然口から泡状になったツバをぶしゅるぶしゅると吐き始めた。見つけた別の部員がちょっと気になって「起きい!」とビンタをかました。しかし反応はない。

「なんかこいつ、泡ふいとるで。」

と皆に言うと「起こせ起こせ!」ということになって、馬乗りになって往復ビンタをかましまくった。しかし起きない。

そのうち全身がガクガクと痙攣(けいれん)を起こし始めた。

さすがにこの現象を見ると、全員びっくりして「救急車を呼ぼう!」ということになった。

しかしこの一年生は、酔って寝ている間に顔にさんざん落書きをされている。当時部室で飲む時にはみんな自宅からマジックを持ってきて、つぶれた奴の顔に落書きをするのが流行っていたのだ。

この一年の顔にも、放送禁止マークとか「バカ」とか書かれており、更にまぶたの上に目が書かれていて、寝ていても起きているかのような顔に仕上げてあった。


「もしこの顔の状態で死んだら、この子の親はどう思うだろう。」

そういう考えが全員の頭に走り、救急車を呼ぶ前に顔の落書きを消すことになった。しかし部室は散らかりまくっていたので、雑巾が見当たらない。しょうがないから別の一年に言いつけて、便所の雑巾を持ってこさせた。

その雑巾で顔をこすりあげて、なんとか落書きは薄くなった。そして救急車で運ばれ、予想通り急性アル中。病院で一晩泊めてもらうことになった。何人かは付き添いで病室に残って面倒をみることになった。

しかしその子は点滴を受けていたのだが、寝返りが結構激しく、点滴の針がはずれてしまう。何回か刺し直したが、またはずれるかもしれないので、ベッドに両手を大の字に縛りつけることにした。

更に下半身からは「大」も「小」も垂れ流しになっているような状態だったので、パンツを脱がせてオムツをはかせてもらった。付き添いで残った部員が一、二度おむつの交換をした。

数時間後、彼は目を覚ました。気がつくと両手はヒモで縛られていて、パンツは脱がされてオムツを履(は)かされている。すごく嫌な気分になっただろう。
そしてその日の夕方にも、またもクラブで飲み会が予定されていた。もちろん彼も参加した。