(1)・燃え尽き症候群

何か大きなことを成し遂げた後、急に緊張の糸が切れたかのようにガタッと虚脱状態に陥ってしまうことはよくあることです。そして次の目標が見つからずに、こうした精神状態が続くとだんだんと無気力になってきます。何をしても面白くない、何もやる気にならない、動く気にならない・・・。

この状態が長く続くと「うつ病」となる可能性もあります。これは几帳面で真面目、何事に対しても手抜きができない性格の人がなりやすい病気で、以前は重い荷物を目的地まで運びあげたような状況にも似て「荷降ろし反応」と呼ばれることが多かったのですが、近年では「燃え尽き症候群」と呼ぶことが多くなっています。大学合格の後、マイホームの新築、仕事の定年などの後には特にご用心を。




(2)・シンデレラ・コンプレックス

「シンデレラ」という物語は、貧乏で、いつも姉たちのいじめに会っているシンデレラが、ある日突然王子様に見そめられ、結婚して幸せをつかむというお話です。

このお話の中ではシンデレラが幸せになるかどうかのカギを握っているのは王子様であり、「女性の幸せはすべて男によって決まる」というあまり現代的でない考え方がそこには含まれています。

このように、いつか素敵な王子様が自分を迎えに来てくれると信じ、これを強く待ち望む女性特有の心理を「シンデレラ・コンブレックス」と言います。ただしこれは女性だけに限ったことではありませんし、病気というほどのものでもありません。

このコンブレックスは、相手に依存する欲求が根底にありますが、こうした依存傾向は男性にもあることですし、また女性に依存欲求があったとしても、それは女性の社会的状況によって形成されたり、強いられたりするものだからです。

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(3)・心気症

生きていれば多少の身体の不調は誰にでもあります。少し寒気がしたり咳が出たりしても、風邪かなと思うくらいで、たいして気にも留めないのが普通です。しかし、こうした些細な不調にひどくこだわり、自分は大変な病気にかかっているのではないかと常に恐れるのが心気症と言われるものです。

心気症はそれ自体一つの病気として扱われることには異論も多いのですが、分裂病やうつ病との関わりが深いことは指摘されています。また、妄想の中にこの心気状態が入ってくると心気妄想となります。

これは自分が健康であるにもかかわらず、今、重い病気にかかっていると確信しているような状態です。かかっている病気としてよく挙げられるのは不治の病としてのイメージの強い、結核やガンなどが多いようです。

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(4)・拒食症

拒食症は若い未婚の女性に多い心身症の一つで、やせたいという願望から極端なダイエットに走り、ガリガリにやせ細ってしまうという症状を示します。

普段から食べ物を拒否している反動から、ある日突然大量に食べ始めたり(過食)、また、食べたものを吐いたりすることも多く、摂食障害という名称でくくる場合が多いようです。これが進行すると何も食べられなくなって、やせ細り、命にかかわるほど衰弱する場合もあります。

14才から15才くらいの女の子が中心ですが、大学生や時たま30才くらいの女性にも見られ、年齢層は幅広いようです。拒食症の原因は、一方ではスリムであることを女性美とする現代の風潮もありますが、他方では成熟した女性になることを拒否する心理が隠されているとも言われています。

つまり、大人の女性になってしまうことに対して言いようのない不安や恐れの感情が発生してくるのです。このような不安や恐れを抱くようになる原因としては、母親との同一化の失敗にあるとみられています。つまり自分の母親に対して、どうしても肯定できない部分があり、自分もいずれは母親のようになってしまうことを嫌悪するようになるのです。

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(5)・無気力症候群

無気力症候群は大学生だけではなく、広く一般の社会人の中にも行き渡っている軽い病理現象の一つだと考えられています。この症状の特徴は、何事に対しても無関心で無気力、そして生きがいも目的も持たずに日々を過ごす、といったことが挙げられます。

そして学生なら勉強、社会人なら仕事といった、現実になすべきことにどうしても意欲がわかず、これらのことから退却、あるいは逃避するような行動を示します。もともとはアメリカで問題になった、大学生に多く見られる無気力現象で、スチューデント・アパシーとも言われます。

しかし無気力なのは、主に本業に対してであって、本業以外のこと、例えば趣味や遊び、サークル活動などには普通に参加し、むしろ積極的であったりするのです。

彼らの多くは勝ち負けや優劣に対して敏感で、そのような厳しい現実から退却や逃避をする反応形態が無気力症候群であるとの見方もあります。また周囲の人や仕事に対して、適応の良すぎるようなタイプが多く発病すると言われています。

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(6)・青い鳥症候群

これはメーテルリンクの有名な物語「青い鳥」にちなんで名付けられた症候群で、例えば一流企業に入社したりしても数年で辞めてしまい、再び大学に戻って好きな勉強をしたり、何かの資格試験などを目指したりする若い人々のことを指します。

普通の社会的な基準とは別に、彼ら自身は、自分の本当にやりたいことは別にあるに違いない、自分にふさわしい場所や立場が他にあるはずだ、と考えるのです。この考え方自体に問題はありませんが、既に入社してそれなりの仕事や立場を与えられ、これからを期待している周囲の人からすれば、クビをかしげるような行動と言えます。現実的な生き方という感覚に乏しく、見果てぬ夢を追いかける少年の姿がそこにはあります。

 また、大人になりきれない症候群として「ピーターパン・シンドローム」と呼ばれているものもあります。これは幼児性や責任感の欠如、異性と対等に接することのできない自我の未熟さを表した言葉で、大人の仲間入りができない、夢の国で遊ぶ永遠の少年ということを意味しています。