Top Page  心霊現象の小部屋  No.06  No.04


No.05 死の待ち構える海

私の学生時代の先輩の友人で、Aさんという人がいた。Aさんには婚約者がおり、ある夏の日、Aさんと彼女は婚前旅行をかねて海へ遊びに来た。


海でボートを借り、二人で沖へとこいで出る。もう、結構、海岸から離れた場所まで来た。

「ねぇ、今から飛び込むからさ、写真撮ってよ。」とAさんが言った。「うん、いいよ。」と、彼女も楽しそうに答える。「じゃ、思いっきり飛び上がるからさ、ちょうど海に飛び込む瞬間を撮って。」

そう言ってAさんは「せーの」で思いっきりジャンプし、ザッパーンと海へ飛び込んだ。シャッターを押す彼女。注文通りのタイミングで写真が撮れた。

しかし・・・彼がいつまでたってもあがって来ない。潜水するにしても長すぎる。彼が遠くの方で頭を出していないか見渡すが、やはりいない。むしょうに不安になってきた。必死にボートをこいであたりを探したが、それでも見つからないので、なかば泣きじゃくりながら岸に戻り、すぐに地元の警察に捜索を頼んだ。

警察の捜索が始まった。そして3日後、・・・Aさんは水死体となって発見された。溺死である。
彼女はほとんど錯乱状態となり、泣きじゃくる。まもなくAさんの両親も駆けつけ、警察の事情徴収も終わり、そしてお通夜、葬式。


彼の葬式が終わって何日か過ぎた。「そうだ・・。あの時の写真、まだ現像してなかったっけ・・。」彼女は思い出した。彼の最後の姿となった、あの写真である。彼女はフィルムを現像に出し、そして、返ってきた写真を見て背筋が凍るような思いがした。

確かに写真には、彼がちょうど海へ飛び込もうとする瞬間が写っている。が、しかし、海の中に誰かいる。真っ白い着物を着て、おまけに肌まで真っ白の「老婆」が胸から上を海上に出している!!

その写真には、老婆が、およそ普通の人の2倍はあろうかという長い腕を前に伸ばし、今、海へ飛び込んでくる彼を、ちょうど抱きしめようとしている瞬間が写っていたという。