高学年ともなると鏡と毎朝にらめっこする子が増えてきます。そんなときにこんなお話を・・・

(校舎につばめが巣を作り始める頃)
「今年もつばめたちがカップルになる季節になりました。」
「恋の季節ですね。」
「つばめたちもそれぞれがカッコイイと思う相手を選んで、カップルになっています。」
「カッコイイって?ドコで決めるの?」
「みんなは、恋人を選ぶとき、どんな人を選びますか?」
「カッコイイ人」
「カッコイイって? みなさんが恋人を選ぶとしたらどんな人を選びますか。」
「美人・・・。ハンサム・・・。足が長い・・・。スポーツマン・・・。優しい・・・。頭がいい・・・。お金持ち・・・。」
「つばめもそうなんですよ。かっこいい相手を探しているのです。みなさんの目には同じように見えても、つばめは体のある一部分を見てカッコイイって決めています。」
「それは、尾羽の長さです。長ければ長いほどもてます。」
「人間の場合も似てるね。長ければ長いほどもてる・・・」
「足の長さ!!」
「つばめはどうして尾羽の長いとカッコイイと思うのだろう。」
「見た目がいいからかな。」
「どうして長い方が見た目がいいと思ってしまうのだろうね。」
「実は、尾羽が長い方が圧倒的に寄生虫に強いのです。(この場合は、ダニ)だから、長い方とカップルになれば、そのひなは、寄生虫に強いひなが生まれてきます。」
「生き物は自分の子孫を残すために生きているわけですから、より強いものとカップルになり、強い子孫を残すのです。」
「だから、尾羽が長いつばめをかっこいいとつばめが感じてしまうのは、子孫を残したいという本能が選択させているのです。」
「人間の場合はどうか? 足が長い・・・」
「足が長いと有利な点があるかな。」
「足が速い?遅い人もいるかな。・・・」
「人間もつばめと同じです。人間が森の生活から離れて、地面を2本足で生活することになったころ、地面は、うんこやおしっこであふれた世界でした。川に出かけると、また水から寄生虫に感染するおそれが増加しました。こうした世界で生き抜いていくには、寄生虫に強い体でなければなりません。それが、足の長さだったのです。寄生虫は、おなかに住み着きます。つまり、胴長は本能的に寄生虫がいる。胴が短く足が長いと、寄生虫に感染しにくいと感じられるいうことなのです。」
「そうした見方で女の人が男の人を選んでいくと、当然足の長い人が増えてきます。寄生虫が特に多いのは、熱い国です。そうしたところに住んでいる人は、そう、黒人の方です。彼らはとっても足が長く、カッコイイですよね。それは、ひたすら女の人がかっこいい男(この場合、足の長さ)を選んできた結果なのです。

もちろん、現在ではカッコイイは足の長さだけではありません。それは、人を脅かすものが寄生虫からほかのものに変わってきたからでしょう。

参考文献:パラサイト日本人論 竹内久美子 文芸春秋