1700ヒット記念・ぽたこい様からのお題「ふたご」


「東京魔人保育園児童帖」

開幕
ここ新宿は、「真神幼稚園」のお向かいにある「かごめ保育園」
そこより来たる「ふたご」の騒動お話いたしましょう。

真神幼稚園・遊具室
男は無精ヒゲをこすりながら、鋭い眼光を眼鏡越しに光らせる。
男−真神幼稚園園長・犬神杜人−は珍客を前に、どうしたものかと思案していた。
「お前ら、向かいのかごめ保育園の園児だろう。なぜココにいる?」
遊具室にたたずむふたつの影。
ひとりは妖艶な雰囲気の幼女(爆)名を静瑠。
ひとりは無表情な顔の謎の男児(笑)名を雫馬。
ふたりの姓は那智。そう、双子である。
再び犬神が問いかける。
「あの女の、かごめ園長の指図か?」
不適な笑みを浮かべる双子。いや、雫馬は変わらず無表情だ。
ほとほと困った、という顔の犬神が追い出そうと動いたその時、
姉の方−静瑠の口が開いた・・・。
「ふふふ・・・<児童>の力を見せてあげるわ・・・」

同時刻・廊下
「遊具室の写真を撮れ。って、どういうことかしら?」
声の主はカメラを片手に歩いていた。
真神幼稚園の園児−遠野杏子(愛称=アン子)
スクープ好きのトラブルメーカーである。
カメラを持たぬ手で眼鏡をなおしながら、疑問ながらも遊具室へと歩む。
ふと、遊具室からの人の気配に気づき忍び寄るアン子。
カメラを構え、そっと戸口を覗きこむ・・・。

真神幼稚園・入口
神秘的で、つかみ所の無い雰囲気の女性が立っていた。
どこかキツネを思わせるその目は、真神幼稚園を見つめている。
「クククッ、これで犬神の信用はガタ落ち。
春からの新入園児は、ウチが全部独占させてもらうよ」
「うふ〜ふふふ〜〜。そぉう〜ウマク、ゆくかしらぁ〜〜?」
気配を感じさせぬ登場と、後ろを取られた不覚に驚愕の表情を浮かべる。
が、すぐにその人物の正体に気づき、はにかんだ笑顔をみせる。
「ミサ先輩でしたか。気配に気づけないワケだねぇ・・ククッ」
ミサ先輩−と呼ばれた幼女は、真神幼稚園の園児で名を裏密ミサ。
ぐるぐるメガネに独特の笑みの口元が印象的だ。
「姿とは〜形でしかない〜もの〜。魂の〜存在次元に〜〜、
氣の流れを〜感じて〜。でないと〜見失うよぅ〜〜うふふ〜」
女性−狐森かごめ。かごめ保育園園長は、先輩である園児を見下ろした。
「クックック・・・ずいぶんとカワイイお姿だねえ」
「ま〜〜ねぇ〜〜〜姿とは〜うつろいやすいモノ〜〜。
人は〜「ウツワ」のみに生きるにあらず〜〜ふふふ〜〜」

真神幼稚園・遊具室
ビリ!ビリビリビリィ〜〜!!
布を裂く音とともに、静瑠の衣服が破かれていく。
いや、自らの手で破いている。
「なんのつもりだ」
不可解な行動に、困惑の表情を浮かべる犬神。
「さあてねえ。とりあえず、これで動きやすくなったわ」
おもむろにムチを取り出す幼女。
ひゅっ!
蛇のようにしなるそのムチは、はたして犬神の手により受け止められるのであった。
「子供のおもちゃにしては、度が過ぎるんじゃないのか?」
難なく静瑠の手よりムチを奪い取る。
ガタっ!
背後に回った雫馬へと即座に振り返る犬神。
「!!」
そこには、パンツのみを身に付け、虚ろな表情でたたずむ雫馬がいた。
その白き身体には、ムチで打たれたかのような傷跡がいくつもあった。
あまりの展開に思考がストップする。
くわえたタバコも、心なしか呆然としているように煙が出ない。
パシャッ!!
突然のシャッター音。
そして一瞬の静寂を破るも、再び凍りつく。
「ア、天野・・さん・・・」
カメラを持つ女性−天野絵莉。フリーのルポライター。
「イ、犬神・・さん・・・あなたって人は・・・」
人気の無い遊具室で、衣服の乱れた幼女。
裸同然の傷だらけの男児。
ムチを手に立つ男性ひとり。
「はっ!こ、これは違うぞ。勘違いするな!」
と、計ったかのように泣き出す静瑠。
「うええ〜〜んん。恐いよう。あのおじちゃん恐いよう」
ひしっ、と天野へしがみつく。
「ごめんなさい。もう打たないで・・ぶたないで・・ブタナイデ・・」
こちらも震える声で繰り返し呟きはじめる。
「お前ら!何言い出すんだっ!!」
もはや双子のペースである。
恐るべし!<児童>の力(笑)
ずいっ!と歩み寄る天野。
「この写真。公表されたくなければ、私と結婚しなさい」
「は?」

真神幼稚園・入口
「ククク・・・わたしの計画は完璧だからねぇ。
今ごろカワイイ園児達の罠にかかって、スキャンダルな事になってるハズさ」
細い目をよりいっそう細めて笑うかごめ。
彼女の計画。
そう。双子を使って犬神を落としいれ、
「犬神と結婚出きるユスリネタ」を、提供することで天野を利用。
写真(天野から取るのは造作もないこと)を使って真神幼稚園信用ガタ落ち。
かごめ保育園の新入園児数増加、大もうけ。
とまあ、そーゆーことである。
「うふ〜ふふふ〜。ひ〜ちゃんとの〜、愛の園〜。
真神幼稚園〜を、ツブさせは〜しな〜い〜〜からあ〜」
余裕の笑みを浮かべるミサちゃん。
その見つめる先には、まだ夕暮れには早い空を、
一匹の蝙蝠が何かの前兆かのように飛んでいた。

真神幼稚園・遊具室
「さあ、答えて!私と結婚するの?いえ、選択権すらないのよ!結婚しなさい!」
迫る天野。何故だか気おされる犬神。
「何かお前の言動変じゃないか?どーなってんだ」
気が動転しているのか、未だにムチを手にうろたえる独身園長。
ガララ!!
またも新たな来訪者である。
そのなびく髪は金色なりし。
紅き衣服を身にまとい立つその女性は。
「ま、マリア先生!誤解しないでくださいよ」
そう。我らが真神の園児達の母ともいえる存在。
マリア・アルカードその人である。
「カメラを・・・カメラをよこしなさい!!」
すでに怒りマックスのマリア先生の髪は怒髪天さながらだ。
「な、何を言うかと思えば・・・さては私の犬神さんを。
そうよ!犬神さんがはっきりしないのはアンタがいるからよ!」
ひるみそうになりながらも、噛み付く天野。
「い・い・か・ら・よ・こ・し・な・さ・い!!」
ものすごい形相でにらむマリア。
「マリア先生・・・?」
ちょっと置いてけぼりな犬神はただ、あとずさるのみ。
「私のひ〜ちゃんなのよ〜〜〜〜〜!!!!」
「はあ?」
理解不能なセリフに発したその一言が、
天野絵莉、今日最後の言葉であった。

真神幼稚園・入口
ドオオオオオオンンン!!
突如鳴り響く爆発音。
遊具室辺りから煙が出ている。
「うふふ〜、ど〜〜やら〜、あの分じゃ、カメラは無事じゃなさそ〜ね〜〜」
ぎゅっと人形を抱きながら満足げに微笑むミサちゃん。
「天野さんが、ビニールプールでのお遊戯の時間に、
着替え中のひ〜ちゃんの写真を盗撮していた」
と、マリア先生に吹き込んだのは、他でもない、ミサちゃんである。
「クックック・・・さすがはミサ先輩だ。わたしの負けだね」
以外に悔しそうなそぶりも見せず、むしろすがすがしい笑顔を残し、かごめは去っていった。
そして、入れ替わるように現れる人物がミサちゃんへと声をかける。
誰であろう、遠野杏子こと、アン子だ。
「うふふ〜、頼んだ写真は〜よく撮れた〜〜?」
「バッチシよ!スクープだわ。特ダネよ♪」
彼女が今まで、ドコで、何をしていたか?
それは次のセリフが全てを物語っていた。
「まっさか、かごめ保育園の遊具室に、実験室への秘密通路があるなんてビックリよね。
しかも園児を実験台に使ってるなんてバレたら信用ガタ落ちよ」
ピラピラとその手に持つ写真には、哀れ実験台にしばりつけられる園児(九桐出雲くん)が写っていた。
「これ〜で真神幼稚園は〜安泰ね〜〜うふふふ〜〜」

終幕
こうして、犬神はよそに、真神の平和は保たれたのである。
ありがとう!ミサちゃん★
そして恐るべし<児童>の力(^^;


え〜、キリ番踏まれた日が「風祭兄弟」の誕生日だったということで、このお題をいただきました。
ということで、天邪鬼な私は「那智姉弟」を主役?にSSなど作ってみました(^^;
こんな園児いね〜よ(笑)てか、途中から双子ほったらかしになってるし(汗)
ちなみに私は「ふたご座」です★
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