1974 キャリー"Carrie"/長編小説
キャリー/新潮文庫(文庫)
キャリー/新潮社(単行本)★絶版
作品説明
狂信的な母親に育てられた少女16才の少女キャリー・ホワイト。絶対的な母親の権威と、止まることを知らぬクラスメート達のいじめ、それに自身の肉体の変化も重なって、彼女は極度に追い詰められた。そして誰も知らなかったのは---------彼女がテレキネシスの持主であることだった。キャリーの精神が完全にバランスを崩した時、チェンバレンの町は炎につつまれる・・・。キングの記念すべき処女長篇である。

 作品の感想<ネタバレを含みます>


作品解説
一応、処女長篇となっているが、この作品は実質、キングの5作目の作品となる。"CARRIE"以前に、キングは"Long Walk""Rage""The Running Man"と、未刊の"Sword in the Darkness"といった作品を執筆しており、これらはリチャード・バックマン名義で出版されている。
作品にまつわるエピソード
処女作「キャリー」出版の経緯
  • "Running Man"の失敗後、金銭的にも精神的にも余裕がなくなって酒に溺れるしかなかった高校教師キングは、この作品の執筆を始めたが、シャワー室でのキャリーの生理シーン(男性であるキングには知るよしもない)に躓き、一度は執筆をストップし、原稿をゴミ箱に捨ててしまっている。が、それを見つけたタビサ婦人はゴミ箱から拾い上げ、先を続けるように励まし、女性にしかわからないアドバイスをキングに与えることができた。こうしてキャリーは完成をみたのである。
  • その後、懇意にしていたダブル・デイ社のビル・トンプソンにこれを見せたところ思いのほか好評で、若干の手直しの後、2500$で、買い取られ、1年後にハードカバーで出版された。13,000部を売り上げた。
  • この作品のペーパーバック権はなんと400,000$で売却。キングはあまりの高額に40,000$の間違いではないかと聞き直したと言う。ペーパーバックは初版で1,000,000部の売り上げを記録した。
主人公キャリー・ホワイトのモデル
キャリーにはモデルとなった人物がいるらしい。高校時代のキングは、10kmほど離れた高校に通っていたが、送迎バスなどがなかったため、地域の親がお金を出し合って、タクシーを借り、送迎していた。その時の相乗り仲間に、その風変わりな女生徒がいて、誰もが彼女の隣に座るのがいやで、席の奪い合いになったという。キングは一度、彼女の家にいったことがあるらしいが、そこにはキリストやマリアの像が溢れており、それを見てキングは仰天したという。彼女は高校卒業後、やはり変人の気象学者と結婚し、子供を数人もうけたのち、ある日突然、原因不明の縊死自殺を遂げたらしい。

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