Top Page 文書館 No.012 No.010
自分の知り合いで、ある警備会社の面接を受けに行った男がいる。 面接は一人ずつ、部屋の前に順番に待たされる。一人一人面接が終わって、次々と部屋から出てくる。そしていよいよ、次が彼の番になった。 廊下に用意されたイスに座って待っていると、部屋の中から何か怒鳴るような声が聞こえてきた。彼の前の人の面接だ。 「これが面接か!! ふざけんなよ、お前ら! こんな会社、こっちからお断りじゃ!」というような声が聞こえてくる。 しばらく経ってドアがバーン!と開き、怒った顔をして前の人が出てきて、そのまま怒ったようにドアをバーン!と閉めた。 中で何があったんだろうか・・? 不安になりながらも彼の番が来た。 ドアをノックして「失礼します。」と言って中に入り、名前を告げた後「よろしくお願いします。」と言って面接官3人の正面に置いてあるイスに座った。 その瞬間、 「誰が座っていいと言った。」 といきなり言われた。 「は?」 「勝手に座るなよ、お前。ちゃんと断ってから座るのが礼儀だろうが。」 「あ・・すいません。」 まずここでカチンと来た。で、こういう調子で始まったこの面接の内容は・・・。 「ほぅ、免許取消になったことがあるんですか、どうしようもない人だね、君は。社会に出ること自体が間違ってるんじゃない?」 「前の仕事、1年で辞めたんですか。まるっきり辛抱が足りませんね。これじゃ人間のカスですね。」 「出身は〇〇大学ですか。完全に三流ですね。そんな程度でよくうちの面接受ける気になったね、逆に感心するよ。」 「君みたいな人はどこへ行っても役立たずなんだろうね。」 というような感じで言われたい放題。最初は我慢していたが、終盤になるとさすがに彼もキレて、 「これが面接か!! ふざけんなよ、お前ら! こんな会社、こっちからお断りじゃ!」と思いっきり怒鳴ってドアをバーン!と開けて、怒った顔をして部屋を出て、そのままドアをバーン!と閉めた。 廊下に出て、ちらっと見ると次の人が不安そうな顔をしてこっちを見ている。この人も中に入れば、自分のこの行動が理解出来るだろう。 しかしこういう面接がホントにあるんだろうか、いや、これで採用者を決めるつもりがあるんだろうか。 面接官たちが自分のストレスを発散しているのか、受けに来た人間が、どの程度、怒りに対して我慢出来るかを測定しているのか、はたまた、採用する気がないのにしようがなく求人広告を出しているのか・・・その真意はよく分からない。 |