Top Page 文書館 No.018 No.016
ある火葬場からの依頼で、ある業者が館内の設備の修理を頼まれた。修理すべきものは、火葬場の中でも、遺体を焼く部屋のすぐ近くにある。 作業自体は簡単なもので、少しの時間があればすぐに終わる。担当の人が火葬場を訪れた時には、たまたま遺体のない時だったから、遺族の人などもおらず、館内には彼1人という状況だった。 結構彼は怖がりだった。なんか怖い・・そう思いながら作業にとりかかったのだが、急に腹が痛くなってきた。 く、苦しい・・うんこがしたい・・。しかし今、建物の中には誰もいない。 誰もいない火葬場の中で、しかもすぐ近くには遺体を焼く部屋があって、確かにトイレもすぐ近くにあるが・・、この状態で一人でトイレに入るのはあまりにも怖い。 しかし、苦しみは絶頂に達していた。 「仕方がない、ここでしよう。」 たまたま近くにテレビがあったので、まず彼はテレビの電源を入れ、ボリュームをいっぱいに上げた。そしてありったけの照明をつけてトイレに入った。 しかしまだ怖い。ええい、戸も開けっ放しでええわ、と思って彼はトイレの戸を全開にしたまま和式の便器の上にまたがった。 普通の公衆トイレで戸を開けっ放しにしたままうんこをしていたら、完全に変態か露出狂である。しかし、この場合は緊急事態であるからしょうがない。 だが、もしこの状態で人が入ってきたとしたら・・いや、一人ぼっちで怖かったのだから、むしろ人が入って来て欲しいと思っていたのかも知れない。 恥ずかしさよりも恐怖の方が勝(まさ)った時、人間はこういった行動に出るのか。 |