Top Page 文書館 No.024 No.022
以下に挙(あ)げる研修は、自分がこれまでに聞いた、色んな会社の新入社員研修のあれこれである。 その1・布団のクリーニングの注文を取ってくる会社 業務内容は、布団のクリーニングを「する」のではなく、その注文を「取ってくる」のが仕事。当然、家を一軒一軒訪問する仕事だ。 一通り新人の教育が終わったら、会社でバスを借りて上司が新人10数人を乗せて、30分くらい走ったところにある住宅地に向かう。そこで全員を降ろし、こう言う。 「ええかっ! これからこの近辺、片っ端から訪問して、一人2件注文取って来い! 夕方5時に迎えに来るから、それまでがタイムリミットじゃっ! 取れればバスで連れて帰ってやる! 取れなかった者は歩いて会社まで帰って来い!」 そして上司はバスと共に去り、夕方迎えに来るが、2件取れなかった者は本当に歩いて帰らされる。まさに実力主義の最初の洗礼。 その2・レジスターを売っている会社 レジスターというのは、商店やスーパーに置いてある、あの、現金の出し入れをする機械のこと。誰でも知ってると思うが。 そのレジを販売する会社は研修の締めくくりとして、新人に一人一台レジを持って売りに出させる。レジといってもあんまり巨大な物は持てないので、適当な大きさのものである。 「レジ買ってくれませんか?」なんていきなり商店を訪問したって、そうそう売れるものではない。だが、会社の命令なので、新人は、あの重たい機械を持って商店を一軒一軒訪問して頼むが、大抵の場合、誰も買ってくれない。 夕方会社に帰ると、売れなかった者は床に全員正座させられる。そして 「お前ら、やる気あるんかーーっっ!!」 「役立たずはうちの会社にはいらんのじゃーーっっ!!」 っといった感じで、上司に怒鳴って怒鳴って怒鳴りまわされる。 そのあと個別に責めて、泣くまでやるという。新人が泣き出したら勘弁してやる。とにかく泣かす。 その3・あるスーパー そこの研修は、2泊3日くらいの泊り込みで行われる。寝る場所は会議室の床の上。新人に部屋など与えられない。朝は4時起床。まずはランニングを30分くらい。上司がスクーターでついてくる。遅れているやつは怒鳴り散らされる。 そしてランニングが終わったら腕立て100回。そのあとは腹筋100回。更にヒンズースクワット100回。普段運動している人にとってはどうってことないかも知れないが、全く身体を動かしていない人にとっては気が遠くなるような数である。 そして朝食は、ご飯と味噌汁と漬物。なんてシンプルな。3食みんなボクサー食。新人研修というより減量合宿に近い。 その4・訪問販売のある会社 新人を、ある大きな川のほとりに連れていき、服を脱がさせてパンツ一枚にさせ、一列に並べて立たせる。それで何をさせるかというと挨拶である。 ありがとうございます・失礼いたします・すいません・・などの接客用語を大きな声で言わせる。 川の対岸には上司が立っていて、一人一人が大声で挨拶を怒鳴ると、その上司が川の向こうでちゃんと聞こえたかどうかを判断し、手で○か×を作って裁定を下す。 ×を出された者は、後ろから別の上司が川に突き落とす。パンツ一枚にさせているのはそのためだ。 悲鳴をあげて次から次へ川へ突き落とされ、新人たちはびしょぬれで這(は)い上がってくる。 獅子は我が子を谷底へ突き落として、はい上がってきたものだけを育てるというが、この会社は、パンツ姿の新人を川へ突き落とす。昔事件を起こした、どこかのヨットスクールをちょっと思い出す。 断っておくが、世の中にこういった会社がいっぱいあるというわけではない。 |