Top Page 文書館 No.038 No.036
とある建設現場。些細なことから、ある二人が口論になった。二人とも血の気が多い。 その二人、怒鳴りあっていたのは最初だけで、いきなり片方が 「おどりゃーっっ!!」 と叫んで相手の顔面に思いっきり右フックを放った。これがまたものの見事に画面にヒットし、ブチ殴られた相手は後ろへとふっ飛んだ。 「ようやってくれたの、わりゃ!!」 と言いながら、今、殴られた方も起き上がりざまに相手に殴りかかった。このパンチがまた、相手の顔面を見事に捕らえて、さっき殴った男が今度は反対に後ろへと吹っ飛んだ。 お互い一発ずつ入ったらもう止まらない。後は殴り合い・蹴り合い・掴(つか)み合いの本格的なケンカへと発展していった。たまたま辺りには誰もいなかったので、止める人間もいない。 それからどれくらい殴り合っただろうか。二人はもつれ合いながら、「さっきコンクリートを流し込んだばかりの大きな穴」の近くへと来てしまった。 ここで、片方の男がよろけながら、その、コンクリートを流し込んだ穴の上にうっかり踏み込んでしまった。すると足がズブズブズブッと沈む。まだほとんど乾いてなかったのだから当然だ。 だがもう片方の男も後を追って、コンクリートのスペースに入ってきた。その男も足がズブズブズブッと沈む。だが、足が沈んだからといって攻撃を止めてしまっては負けになってしまう。 お互い足を止めての激しい打ち合い。「止めて」というよりは「固定されて」と言った方が正しいが。お互い、すぐに足首まで埋まってしまった。だがまだ殴り合いをやめない。 まもなくして二人ともヒザの辺りまで埋まってしまった。だがまだやめない。 そしてついに太もものあたりまで埋まってしまった!だがまだやめない! そしてとうとう二人とも腰のあたりまで埋まってしまった! こんなになってもまだやめない! ここでやっと他の社員が気づいて、大慌てで現場監督を呼びに行った。ほどなくして監督と数人の社員が駆けつけてきた。みんなで仲裁に入り、何人がかりかで二人の身体を引っ張り上げる。ちなみに靴は二人とも脱げてしまったらしい。こうして戦いは遺恨を残す形で終わった。 しかし、たまたま他の人が気づいてくれたから良かったようなものの、あのまま誰も気づかなかったらこの二人はどうする気だったんだろう。下半身コンクリート詰めになってでも、相手がワビを入れるまで続けたんだろうか。 意地を貫き通した男気のある二人と言える。ちなみにその後は、二人ともさんざん現場監督に怒られて、二人でその現場の手直しをさせられたらしい。 |