シャングリラダイエット
シャングリラダイエットは、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校心理学教授セス・ロバーツ博士が考案したダイエット法で、その著書はニューヨークタイムズでベストセラーとなり、全米のブログでも爆発的な話題となりました。
シャングリラとは、ジェイムズ・ヒルトンの小説「失われた地平線」の中に登場する架空の村の名前です。
ヒマラヤにあると設定されているこの村は、誰もが平和に静かに暮らしており、いわゆる理想郷ともいえる場所で、ダイエットにおいても、食欲を我慢するという悩みから開放された理想の心境で行えるという意味から「シャングリラダイエット」と命名されました。
ですから「シャングリラ」という名前の食べ物を使ったダイエット法という意味ではありません。
食欲に働きかけるダイエット法
この理論の核となるのは、「食べたいという気を起こさせない」「空腹感を感じさせない」「食べた時でも以前よりも少ない量で満腹となる」ということであり、自分で食事制限をする気がなくても、自然に日々の食べる量が減ってくるということです。
従来のダイエット法のように食べて良いもの・悪いものが別れていたり、量が制限されるということもなく、基本的に何を食べても自由であり、運動も特に勧めていません。
具体的な方法として、砂糖水とオリーブ油を飲むという習慣がこのダイエット法の中心となります。
セス・ロバーツ博士の試行錯誤
元々、これは博士がアメリカからフランスへ一週間ほどの旅行に行っていた時に、ふとした疑問を突き詰めて考えていった結果考案されたものです。
この旅行の間、博士は普段とは違って妙に腹が減らないという時間をたびたび経験しました。せっかくの休暇でパリに来たというのに、フランス料理を食べたいという意思があまり沸かず、友人たちと食事をした時も無理に食べることに努めていたほどです。
この極端な食欲の減退について大学教授らしく、その原因を考えてみました。体調不良や悩み、環境の変化、何かの薬は飲んだか・・など考えた結果、普段と違うことをしている点として思い当たるのは、この地へ来て「砂糖入りの炭酸飲料」を飲んでいたということでした。
博士はアメリカにいる時には必ずダイエットソーダを飲むように努めており、甘いソーダを飲まないようにしていたのですが、滞在先ではそのようなものが見当たらず、仕方なく甘い炭酸飲料を飲んでいたという点が、しいて言えば食欲の減退の原因として考えられる点でした。
食欲が沸かないために食事を何度も抜いた結果、結果的にパリでやせて帰って来た博士は、ひょっとして甘いものを単独で摂取すれば食欲が減退するのではないかとの考えにたどり着き、果糖を入れた水を飲んでみるという実験を自分で行ってみました。
ただ、実験ということで必要以上に大量に飲んだ、とも語ってはいますが、この方法により大幅な食欲の減退が起きたとも言っています。
果糖はハチミツや果物に含まれるもので、その名の通り「糖」で甘いものですが、これを単独で買うというのも難しいことですので、シャングリラダイエットではショ糖の使用も勧めています。
ショ糖はスーパーで普通に売っている砂糖やグラニュー糖などの白い砂糖のことで、食欲コントロールという面では果糖と同等の働きがあります。
ですが甘いものですからカロリーも当然あります。しかし摂取する果糖水のカロリーよりも、それによって起こる食欲減退の方が身体への影響は大きく、博士が毎日100から200kcalの果糖水を飲んだ結果、9kgの減量に成功しました。
それから理論を突き詰め、甘いもの以外で減量に効果があるとすれば、それは「カロリーはあっても味のないものだろう」という結論に達し、それを友人たちにも語っていましたが、果糖によって落とした体重をキープして2年間が経った頃、ある友人から「エクストラライト」というオリーブオイルもほとんど味がないということを知らされました。
再び実験として果糖水を飲むことをやめ、今度は1日に大さじ一杯のエクストラライト・オリーブオイルを飲んでみた結果、自分の予想通り、やはり果糖水と同じような感覚を得ることが出来ました。
※エクストラライトとは特に軽いという意味で、ここではカロリーのことではなく風味や味のことを指します。
ただ、これまで続けてきた果糖水も捨てがたいものがあったため再開し、しばらく経って、より簡単に手に入るショ糖水に切り替えたり、日によってはオイルを飲んでみたりと気分を変えながら、食欲をコントロールするという方法にたどり着きました。
砂糖水とオイルの摂取方法
このダイエット法はカロリー計算や食事制限はなく、新たに摂取するものを増やすということになります。それが砂糖水やオイルです。
ただ、砂糖水はともかく、油を直接飲むというもの特殊なことではあります。
ルールとしては、毎日100から400kcalの砂糖水と風味のない食用油を飲みます。砂糖水は砂糖を水に溶かしたもので、冷たくても温かくても構いません。食用油はエクストラライト・オリーブオイルやサフラワーオイル、キャノーラオイル、米油、ひまわり油など、無味無臭のオイルでしたら何でも構いません。
オイルはにおいがしないということが条件です。においがあると、飲む時に食欲をそそってしまうからです。
両者単独でも両方を組み合わせても構いませんが、最初は両方を摂取するように勧めています。
1日の量としては落としたい体重によって、
9kg以下なら「砂糖大さじ1杯とオイル大さじ1杯(トータル165kcal)」、
9~18kgならば「砂糖大さじ2杯とオイル大さじ2杯(トータル330kcal)」、
18kg以上であれば「砂糖大さじ3杯とオイル大さじ2杯(トータル375kcal)」
を基準としています。
飲むタイミングは食事のかなり前か、かなり後であり、食後ではありません。食事の前後で最低一時間以上の時間の開きが必要です。この食事とは間食も含みます。この時間は水は例外にしても、コーヒーも歯磨き粉も控えます。
理想的なのは、1日の摂取量を2回に分けることで、「砂糖水とオイルをそれぞれ大さじ半杯ずつにして二回摂る」か、「1回目が砂糖水、2回目がオイル」という方法になります。
ブログの書き込みによると、多くの人が効果が得られたのは朝食と昼食の間と、夕食後の2回に分けて摂取する方法でした。これにより、食欲が減退し自然と食べる量が減ってくるようになります。
多くの人の経験によると、空腹を感じた時に飲むよりも、食後1時間くらい経ってから飲んだ方が効果は大きいようです。
砂糖水はあくまでも純粋な砂糖水だけがOKであって、これのレモンを加えたり、代用としてアスパルテーム(人工甘味料)にしてみたり、甘い清涼飲料水で代用したりなどとすれば効果はなくなります。あくまでも純粋な砂糖かグラニュー糖などの白い砂糖だけです。
砂糖を溶かす水の量は、効果にはそれほど関係がなく、角砂糖をなめていても同じ効果となります。ただ、実践者のほとんどは、砂糖大さじ1杯に対してコップ1杯の水を基準にしているようです。
水の量は自分の好みで増減させ、自分にとってちょうど良い甘さに調節します。そして飲む時は出来るだけゆっくりと飲むことを心がけます。
砂糖とオイルと、どちらか単独で摂るならば、これは経験者の話によると、オイルの方が効果が大きいようです。
食欲の減退は飲んでから数時間後に起こったという人もいれば、数日から数週間経って起こり始めたという人もおり、人によって感覚の違いはあります。
オイルを飲んでもあまり何も感じなかったという人も、オイルの種類を変えてみたらうまくいったり、量を増やしたらうまくいったりなど、自分なりに微調整が必要になってきます。
アメリカのシャングリラダイエット関係の掲示板には、実践者の何万という書き込みがあり、
「以前だったらすぐに食べていたケーキを冷蔵庫に入れたまま忘れて腐らせてしまった。」
「必ず夜食を食べていたのに欲しいと思わなくなった。」
「1日中間食していたのがいつの間にかほとんどしなくなっていた。」
「ジャンクフードの店の前を通るといつもすぐに入っていたのに、それほど食べたいと思わなくなった。」
など、効果をあげている人は相当数いるようです。