1992年7月、イタリアのイストラナで、5歳のピエトロ少年は自転車に乗っていた時、車にはねられて大怪我をし、病院に運び込まれた。治療にあたった医師団によると、極めて難しい状態である。そのまま昏睡状態は続き、なかなか意識は戻らなかった。

それでも家族は望みを捨てきれず、必死に介護を続ける。
そして事故から4ヶ月経った11月のある日のこと。ピエトロ少年はついに意識を取り戻した。だが、意識は取り戻したのだが、側で看護をしていた父親に向かって奇妙なことを話し始めた。むろん、この4ヶ月の間に彼が意識の中で経験した出来事である。


ピエトロ少年の話によると、事故に会ってから彼は、大きな光のトンネルのようなものを通って天国に行ったという。その天国はすごく綺麗なところで、そこですでに死んでいる、おじいちゃんとおばあちゃんに会ったというのだ。顔は家に飾ってある写真と同じだったので、すぐに分かったらしい。

天国には常に楽しい音楽が流れていてすごく気持ちよかったのだが、おじいちゃんとおばあちゃんが「まだここに来るべきではないよ。お父さんとお母さんのところへお帰り。」と言ったので帰ってきていたら目が覚めたと言うのだ。

更にピエトロ少年は、天国にいる間、祖父母と一緒に遊んだこと、一緒に歌った歌の話などもし始めた。

「この歌がおばあちゃんが大好きな歌だったんだ。」と言って父親の前でその歌を歌ってみせると、彼の父親は腰が抜けるほどびっくりした。その歌は昔、父親が子供のころ母親(ピエトロのおばあちゃん)によく歌ってもらっていた子守歌だったからだ。
ピエトロの前で歌ったこともないし、そんな昔の歌を知っているわけがない。


また、おじいちゃんの脚が悪かったこと、話を聞く時に耳に手を当てる癖があること、おばあちゃんの身体に変わった形のあざがあることなど、知らないはずのことを次々と話した。またそれだけではなく、ピエトロは自分が生まれた時にはすでに死んでいた親戚の人たちの特徴や癖も詳しく語ったのだ。

「死後の世界は夢を見ていただけだ」、という説もあるが、この場合は、死後の世界で本当に故人に会ったと考えなくては説明がつかないような事件である。


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