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No.105 火事を招く「泣く少年の絵」〜だが、自らが燃えることはない



1985年、イギリスの南ヨークシャー。この年この地方では、奇妙な火事がひんぱんに起こっていた。いや、奇妙な火事というよりも、奇妙な火災現場を残す火事と言った方が正しい。

住宅の中身が全焼するほどの火事であるにも関わらず、その中でたった一つだけ無傷で焼け残った「ある物」が、しょっちゅう残骸の中から発見されるのだ。


その「焼け残ったある物」というのは、必ずしも同一のものではないが、一枚の「少年の絵」である。だが少年の絵といっても別に特別なものが描いてあるわけではない。

キャンバスいっぱいに少年が顔が描かれており、その少年は半分泣いた状態である。目に涙を溜めながらこっちを見ている、かわいらしい少年の絵だ。

なぜかこの絵画だけが、火災現場では、いつも焦げることさえなく焼け残っているというのだ。この現象はすでに数十件にものぼっていた。ある消防士などは、この絵をあちこちの火災現場で7回も発見している。

絵が火事をおびき寄せているのかどうかは分からないが、この絵のことはヨークシャーの消防士の間では有名で、消防士たちは決してこの絵を自宅に飾ろうとはしない。


1985年9月4日、イギリスの新聞である「サン」が、この現象のことを新聞で報道すると読者の反響はすさまじく、問い合わせや同じ経験をした人からの電話が殺到した。

ミッチャム在住のある住人は、
「この絵を買ってから半年後に我が家は火事に遭い、家は全焼しました。壁に飾ってあった絵はすべて燃え尽きたのですが、泣く少年の絵だけは無傷で焼跡から発見されました。」
と語った。

またキルバーン在住のある市民は、絵を買った翌日に火事に見舞われたという。


新聞で報道された5日後の9月9日。ボウトンのブライアン・パークス氏の自宅が火事に遭い全焼した。焼跡からは「泣く少年の絵」が無傷で発見された。この絵のことを知っていたパークス氏は、怒りに任せて絵を引き裂いた。

10月9日。オックスフォードのグレース・マーレイさんの家が火災に遭い、彼女はやけどで入院。彼女が部屋に飾っていた少年の絵は同じく無傷で発見された。

10月21日。グレート・ヤーマスにある、ピザ店から火災が発生。店内にはいくつもの絵が飾られていたが、泣く少年の絵だけが残り、他の絵はすべて焼け落ちた。

10月24日。ヘリングソープのケビン・ゴッドバー氏の家が炎上。この時もまた、同じ壁に何枚かの絵が掛けられていたにも関わらず、少年の絵の両脇にかけてあった絵は二つとも燃え尽きていたのに、少年の絵だけはそのまま残っていた。

10月25日。マーシーサイドのアモス家が、おそらくガス漏れであろうが、突然爆発し、炎上した。この家にはリビングルームと台所に二枚の少年の絵が飾られていたが、二枚とも無傷のまま残っていた。


消防士の証言によれば、家が全焼するほどの火事となると、壁も天井も崩れ、テレビなどの家電品も熱で溶けるという。だがそうした中にあって、いつもその絵だけが買った時と同じような状態で焼跡から発見されるのだ。

「サン」以外の新聞でも他に二紙ほど、この絵のことを取り上げては随時報道した。「泣く少年の絵」は、イギリスではデパートなどで普通に売られており、極めて簡単に手に入れることが出来る。この絵は何枚かのシリーズになっており、いずれも愛らしい少年の泣いた顔が描かれている。

ただし、この絵を買って本当に家が火事になった人が相当数いる以上、実際に買う場合でも、そのことは覚えていた方がいいかも知れない。



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