オーストラリアのニュー・サウス・ウエールズ州の何軒かの家で、家の便器の中で、泳いでいる魚が発見されたことがある。ある朝、その州に住むバリー・ドハティさん(当時24歳)が、大学に出発する前に家のトイレ(洋式便器)に座ろうとしたところ、便器の「水の溜まっている部分」で何かが動いているのを発見した。
それも結構大きいものである。よく見るとそれは魚であった。
その時は、「自分の友達が勝手に家に忍びこんで、いたずらをしたんだろう。」と思ったというが、その日、同じように便器の中で魚を見つけた家は何軒もあり、「何者かがそれぞれの家に忍びこんだのではないか」ということになり、この事件を警察に届け出た。
警察がそれぞれの家を調べに来たが、別に部屋も荒らされた様子もない。空き巣ではないようだ。
一方、魚の方に注目してみると、それぞれのトイレで発見された魚はみんな川魚であった。しかもドハティさんの家で見つかったものは20cm級の魚だった。この気持ちの悪い事件は町中の噂になったが、しばらくしてその原因が突きとめられた。
この少し前、この州では雨がかなり少なく、北部の方では川の水が干上がるという事態にまでなってしまった。そのため、魚たちが水を求めて下水道にたどり着き、そこを逆に泳いで行ったため、一部の魚は下水道の出発点であるトイレの便器にまで到達してしまったというのだ。
またしばらく経ってから、タコやイカが便器に現れた家もあったという。この町のように、魚は珍しい例ではあるが、下水道に住みついているドブネズミが下水を通って家庭の便器の中に現れることはよくあることではある。