No.28■ド忘れを思い出すには■
ふだんは覚えていることなのに、何かを急に忘れてしまった、あるいは何かしようと思ったのだけれども、その「何か」が思い出せない・・というようなことは誰でも経験があると思います。 これは一般的にド忘れといいますが、果たしてそれを思い出す解決策などはあるのでしょうか。心理学者によりますと、「それ自体を思い出そうとするからなかなか思い出せない。覚えていたものを思い出すには、手がかりを利用するのが有効な手段。」だということです。 こうした実験が行われたことがあります。 人間を二つのグループに分け、それぞれのグループに、あるいくつかの単語を記憶させました。 片方のグループは酒を飲ませて酔わせた状態で記憶させ、もう片方のグループは酒を飲ませないで(シラフの状態で)記憶させました。そして数時間後、どちらのグループの方がより多くの単語を思い出したかといえば、もちろん答えは明らかにシラフで記憶させたグループに決まっています。 ですが・・酔わせて記憶させたグループに、もう一度酒を飲ませて酔った状態で思い出させると、今度はシラフで覚えたグループよりも多くの単語を思い出したそうです。 酔った状態で覚えたことは、酔った時に思い出すというのも嘘みたいな話ですが、これがド忘れしていたことを思い出す一つのコツと言えます。 要するに、覚えた時の状態をまず思い出して、「いったいどんな状態で記憶したのか。」・・まずそこから入っていって、それを手がかりとして記憶を引きずり出すのです。 思い出したいことに関連するものから順に思い出していくと、やがて本当に思い出したいことにたどり着く・・その際に重要なのは、その時の気分や状況を思い出すということです。 もう一つ、こういった実験もあります。何人かの学生たちに催眠術をかけて、楽しい気分に・あるいは悲しい気分にさせて、ある一定の数の単語を覚えさせます。そして後で思い出させた場合、楽しい気分の時に覚えて楽しい気分の時に思い出させると、だいたい78%くらいの単語を思い出したと言いますが、覚えた時と違う気分で思い出させると、47%しか思いだせなかったそうです。 こうした実験結果などから、忘れたことを思い出すには、まずその肝心なことが起きた場合と同じような状況・同じような気分になることがポイントで、そこを手がかりに順を追っていけば、ド忘れしたものに辿り着く可能性が高くなる、ということです。 |