No.29女性のために 〜 見知らぬ男にからまれた場合には


男と女が争っている場合、目撃者はそう簡単には助けに入ってくれないと言われています。決っして目撃者たちが全員冷たいというわけではなく、争っている男女の関係によって助けに入ったり入らなかったりするからです。

かつてこういったことを裏付けいる実験が行われたことがあります。
街頭で一組の男女に争ってもらいます。もちろん迫真の演技で、女性の方も金切り声を上げて、最後は男の方がつかみかかるまでやるように指示を出しました。そして女性が、「あっち行ってよ!」と叫び声をあげて、男性を追い払おうとした場合、通行人たちはどういう反応を示すでしょうか。

そしてその際に女性が、「あんた一体誰なの!」と叫んだ場合と、「何であんたなんかと結婚したのかわからないわ!」と叫ぶ場合と二通りのパターンを演じてもらいます。


どちらのパターンが目撃者が助けに入った確率が高かったかと言うと、これはもちろん、「あんた一体誰なの!」と叫んだ方のパターンで、確率的には大体65%に上りました。
「あんた一体誰なの!」というセリフによって、目撃者たちが今、目の前で起こっていることを事件と判断したためです。また、もう一つのパターン「何であんたなんかと結婚したのか分からないわ!」という方では、助けに入った確率は約19%でした。

要するに見知らぬ男や酔っ払いにからまれた時に大切なことは、周囲の人に、夫婦とか恋人などに勘違いされないような態度をとることなのです。

しかし全然知らない男に絡まれているのか、夫婦げんかなのか見ればすぐに判断がつきそうなものですが、社会的心理学者によりますと、男女が争っているのを見た場合、それを夫婦とか恋人と判断する傾向が人間にはあるということです。


また、これに関連したことで似たような調査が行われたことがあります。

映画などで、男と女が激しく争っている場面も観客に見せて、その男女が夫婦なのか、全然知らない仲なのか、観客がその二人をどう受け止めたのかを調べました。
その結果、画面に映っていた男女を夫婦と判断した観客は約99%。見知らぬ男にからまれていると判断した観客は0.03%ぐらいだったそうです。

心理学者たちのアドバイスによりますと、「男と女が争っている場合、事情を知らない人たちは、それを夫婦や恋人と判断する傾向があり、たとえ女性の方が痛めつけられていても、そうされる理由が彼女の方にあると考え、助け入らない人の方が多い。」ということで、見知らぬ男にからまれた場合には、まずその男と全く無関係であることを示すような態度をとることが大切だということです。