Top Page  心霊現象の小部屋  No.05  No.03


No.04 窓から入って来た男

これは私の知り合いの女の子に聞いた話である。そのコが住んでいたのは二階建ての普通の家。そのコの部屋は二階にある。夜、明かりを消してベッドに入った。少しウトウトとしかけた頃、突然、窓が「バーン!」と、ものすごい音をたてて開いた。彼女はびっくりして飛び起きた。


「何でいきなり窓が・・・。と、とにかく閉めなきゃ。」すごく気味が悪かったが、窓を開けっ放しで寝るのはもっと怖い。ベッドから起きようとした瞬間、窓の外に誰かがいるのを発見した。ここは二階なのに! 家の外から部屋の中に両手が伸びていて、何か頭のようなものが動いている。誰かが下からよじ登って来て、私の部屋に入ろうとしてるんだ!!

暗くてよく見えなかったが、女性ではない、明らかに男だ!! 
強盗だ! 殺される! 犯される! そんな恐怖が頭をよぎった。「いやあぁぁぁぁ!!!」彼女は泣きながら叫んだ。だが、男は行動をやめない。

とうとう男は窓を乗り越えて完全に部屋の中に入ってきてしまった。今、窓のところに立っている。顔はよく見えない。彼女は恐ろしさのあまり身体が硬直し、上半身を起こしたままの体勢から全く動けない。


突然、男は両腕を前に伸ばし、「う・・おぉぉぉん・・」というような、鳴き声のようなうめき声のような音を発して歩き始めた。彼女の方には全く目を向けていない様子だ。「・・おぉぉん・・」と声をあげながら、ベッドの横を、すなわち彼女の横をゆっくりと通過していく。

それほど広い部屋ではない。少し歩けばすぐに壁に突き当たる。まもなく、その男の伸ばした両腕が壁に当たった。「引き返してくる!」と思った瞬間、彼女の恐怖は更に増した。だが、違った。伸ばした両腕が壁に当たっているにも関わらず、男の身体はまだゆっくりと前進している。

よく見ると、腕が、男の腕がヒジのあたりまで壁の中に吸い込まれている!! それでも男は更に前進を続け、やがて顔も足も完全に壁の中に消えてしまった。・・男は消滅した。


「何だったんだろう? 今のは。 夢? あたし寝ぼけたのかしら。」そう思うと何か心がほっとした。まもなくさっきの悲鳴を聞きつけた母親があわてて彼女の部屋に入ってきた。「どうしたの! 何かすごい悲鳴が聞こえたけど! 何かあったの!?」
「うぅん。なんでもない。なんかすごく怖い夢を見て、目が覚めただけ。びっくりさせてごめん。」

母親が出ていった後、続きを寝ようとして彼女はまたベッドに入った。あれ?何か風が入ってくる?
・・・夢じゃなかった。窓が開けっ放しになっている。