Top Page 心霊現象の小部屋 No.04 No.02
私には弟が一人いるが、二人とも学校を卒業して以来、実家を出て一人暮らしをしている。ある夏の日、弟は仕事で連休が取れて久しぶりに帰省してきた。さっそく高校時代の友達に電話をかけて「今日、俺んちで(すなわち私の実家)で一緒に飲もうぜ。」ということになった。 夜、その友達が家に遊びに来て、かつて私が高校時代まで住んでいた部屋で宴会を始めた。二人とも結構飲む。2時間か3時間か盛り上がった後、もういいかげんおなかも一杯になってきたし、酔いも回ってきた。「そろそろ寝よう。」ということになり、夏だったこともあって、その場で横になって寝ることにした。 「じゃ電気切るよ。」と弟が言って部屋を薄暗くした瞬間、部屋の壁の付近から何か光のようなものを感じる。二人ともいっせいにそちらに目が行く。よく見ると壁の一番下、つまり「床と壁とが交差している部分」に何か黒いものがうっすらと光って見える。 「なんや、あれ」「いや、わからん」とか言いながらじっと見ていると、その黒いものは、だんだんと上のほうに大きくなっていく。 「あれ、人間の頭やないか!」と、友達が叫んだ。確かに髪を七-三に分けた「男の頭」だ。その「頭」が、まるで床から生えてくるかのように、じわじわと上のほうに伸びてきている。このまま進めばすぐに顔が現れるはずだ、と思う間もなく、やっぱり出た!! 銀ぶちのメガネをかけたサラリーマン風の男の顔が現れた!! 年のころは40代くらいか。鼻、アゴ、肩と、どんどん出現してくる。まるで壁に投影されたスライドが、だんだんと上にあがっていくような、そんな感じだ。 ただ、スライドと違うのは、その「平面的な男」が弟と目が合った瞬間、ものすごい形相に顔が変化したことである。男は更に上昇を続け、まもなく上半身が現れた。きちんとスーツを着て、ネクタイもしめている。その間、ずっと怒ったような顔をしてこちらをにらんだままである。 ただ、私の弟も、その友達も高校時代、族に入ってヤンキーやってたくらいだから、相当、気が強い。二人とも一歩も引かず、ギン!とにらみ返した。「ケンカは目ぇそらしたら負けじゃ!」とでも思ったのだろうか。ものすげぇガンの飛ばし合いだ!! ついにその「平面的な男」の全身が現れた! 靴をはいている。部屋の中なのに・・。全身が現れた時点で、こっちへ襲いかかってくるんじゃないか、という考えも頭をよぎったが、男の上昇は止まらなかった。今度は天井と壁が交差している部分に男の頭がかかった。 まるで天井に吸い込まれるようにじわじわと男は消えていく。顔、上半身、ヒザ、と消えていき、最後の靴が見えなくなるまで、二人はじっと見ていたという。完全に男が消滅した後「今の見たか?」というセリフが二人同時に出た。 その男の顔や服装などを話し合った結果、二人の証言は完全に一致した。夢や幻覚ではなかったのだ。でも二人はあんまりビビッてなかった。 私も実家へ帰った時は、いつもこの部屋で寝るが、幸いなことに私にはそのような経験は全くない。 |