Top Page 心霊現象の小部屋 No.13 No.11
イギリスのロンドンにあるロンドン塔。11世紀に建てられたこの塔は、これまで多くの人間が処刑され、また幽霊の名所として名高い。色んな霊が出没しているということであるが、中でも有名なのはアン・ブーリンの幽霊である。 アンは16世紀のイギリスの国王ヘンリー8世の王妃だったが、王妃になってわずか3年後には不倫の罪を問われて処刑されている。実際は不倫ではなく、子供を欲しがっていたヘンリー8世の期待に答えられなかったのが真相だったと言われているが、当のヘンリー8世はアンが処刑された翌日には別の女性と結婚している。 1536年5月19日、アンは首切り台に頭を乗せ、そこへオノが振り下ろされて首は切断され、処刑は終わった。だが、その翌日からもう、アンの幽霊は出没し始めた。 最初に目撃したのは付近の住民たちである。処刑の翌日の晩、首のない四頭の馬が馬車を引いて走っているのが目撃された。馬車の中には首から上のないアンが座っていた。アンは胸の上に自分の首を抱えていたという。 そして馬車はアンが生まれた城の前まで走ってくるとそこで止まり、馬車ごとスーッと消えてしまった。 この事件をきっかけにして次々とアンの幽霊は現れるようになり、特に処刑されたロンドン塔で多くみられるようになる。450年も前から、この城の勤務簿には何月何日にアンの幽霊がどこに出たか細かく記録されているほどだ。 現れる時は首があったりなかったりする。また、一人で出るともあるが、何人かの宮廷の人を連れて夜中に城の周りを散歩していたという目撃例もある。 また、ある夜、この塔の衛兵が塔の中を監視していると、ある一つの部屋だけ明かりがついているのを発見した。「こんな時間には誰もいないはずなのに・・」と思って、窓からそっと中を覗いてみることにした。だが、窓はちょっと高い位置にあるのではしごを持ってきて建物の外にかけ、それを登って中を覗いてみる。衛兵は思わず「あっ!」と声をあげてしまった。 そこには生前の姿そのままで、鮮やかなドレスに身を包んだアンが家臣を従えて中を歩いている。アンはしずしずと聖歌隊の前まで歩いてくると、そこでスーッと姿を消した。そしてそれにつられるかのように、中にいた家臣たち全てが同じようにスーッと消えてしまった。と、同時に部屋の中も突然真っ暗になり、いきなり辺りを静寂が支配した。 このような目撃例が後を絶たず、あるカメラマンは「それなら俺が写真を撮ってやろう。」と意気込んでアンの幽霊の写真を撮りに訪れた。ある橋のたもとで夜中、カメラを持って待ち構えていると、噂通りアンの霊は出現した。時間は夜の12時。 突然暗闇の中から白いものが浮き出て、それが段々と人間の形になり、首のないアンの姿へと変わった。急いでシャッターを切ろうとするカメラマン。だがその瞬間、アンの霊はカメラマンに気づいたようだ。 身体をこちらへ向け、どんどん進んでくる。そのうちものすごいスピードになってカメラマンに迫ってくる。「あっ!」と思うヒマもなく、アンの霊はカメラマンの身体をすり抜けてしまった。 振り向くとアンはそのまま進み、そこでそのまま消えてしまった。翌日フィルムを現像してみると、そのフイルムは最初から最後まで真っ白に感光していたという。 |