その3

声優通

お、そろそろ時間だな。
テレビ、テレビ。
ぽちっとな。
『カードマスター☆ピーチ』
ぱんぱかぱーん
これが噂に聞くいまはやりのアニメか。 ……でも、女の子向けだよな、これ。
どうして、野郎も必死になって見るのかと、思ってしまわんでもないが。
ま、とにかく見ればわかるか。
『モモぉっ! いきなしでわるいんやけど、一発、カードマスターになってくれへんか』
『ワシ、なってくれへんと困るねん。 世界の平和が守られへんのや。頼むで、ねえちゃん』
『ええ! そんなこといきなり言われても!
あたし、学生だし、生命保険入ってないし、 校則でバイト禁止なんだってば!』
『なんやて? でけんちゅうかい!
ここでいてこましたろかっ! さっさと契約書にサインしいっ!』
『そ、そんな! チハルちゃんを人質にするなんて! ダ、ダメえっ!』
……。
なんか非常にとーとつな展開だったが、モモちゃんとかゆう
主人公の女の子が、かわいいのはわかったな。
だけど……。
あの主人公の女の子の声、どっかで聞いたことがあるような……。
う〜ん、こおろぎさとみかなあ……。


私は食べたことないです

え? もう帰るのか?
「お茶でも飲んでいけば。せっかく来たんだからさ」
「え? で、でも……」
「大丈夫とって食ったりはしないから」
「……」
しまった。また、あさひちゃんを困らせるようなことを……。
あさひちゃんて、ささいな言葉も深く考えるからもう少し考えて、モノは言わないと。
「あ、いや、その……、とにかく上がってよ。ほらほら」
「そ、それじゃ、その、お、お、お邪魔します」
「いま、お茶入れるけど、紅茶でいい?」
「あ、はははははいぃっ!」
俺の冗談のせいで動揺してるのか、まさか?
「ほら落ち着いて、深呼吸、深呼吸」
「え? あ? はぁはぁ……」
「大丈夫? なんか、ムリに引き留めて……」
「そ、そんなこと、あ、え、あの」
やっぱり大丈夫にはあんまり見えないが。
ほんとに大丈夫かな?
「じゃ、ちょっと待っててね」
奮発して、いつもの安物じゃなくて、ダージリンにしておこう。
パックだけど……。
カップもおそろいがない。しょうがない。
瑞希が自分用にとか言って、置いていったやつ、無断借用するか。
あとは……いかん。俺の家にはクッキーみたいな気のきいたもんはないのか?
……。
あ! あった!
けど……。
Piaクッキーこけもも味かあ。
出していいのか?


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