その5

左右非対称の笑みの向こう側に

「お前は一体何なんだ!? いつから栞に取り憑いているんだ!」
「取り憑く、ってね、そういう言い方はやめてくれないか。
ぼくだって好きで出てきているんじゃないだ」
「じゃあ、何でだ!」
「危機が迫っているからだ。ぼくは自動的なんだよ。
周囲に異変を察したときに、美坂栞から浮かび上がってくるんだ。
だから、名をブギーポップという」
「異変って……なんだよ」
「この学校には魔物が巣食っている。しかも周囲に溶けこんでいる大変危険なヤツだ。
今はまだそれほどの活動を開始していないが、本格的に動き出されたら世界はおしまいだ」
「なんなんだよ、そいつは?」
「知らない方がいい」
「どうして?」
「危険だからだ。感づかれたら君の身も危ない。
美坂栞の恋人を危険な目にあわせたくないんだ」
「そんなにヤバいんなら、なおさら教えてくれよ。
その身体はおまえだけのものじゃないんだぜ」
「しかたないな。だが絶対に他人に言ってはいけないぜ」
「ああ」
「いるのは“魔物を食うもの”だ」
まさか、川澄(かわずみ)舞!!!

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