その1

桃カン襲来

「どうかしたか、瑞希?」
「ご・・・・・・ごめん」
「あ、あたし、ホントは・・・・・・」
「仮病するズルッコでした・・・・・・か?」
「し、知ってたの!?」
「あのな、んなのバレバレだっちゅうの。
あんなのにだまされる人間はいねえよ」
「じゃ、じゃあ、なんで・・・・・・」
「いくら、瑞希でも冗談にしちゃ手が込んでたと思ってな。
ま、なに考えてんだかって興味もあったし・・・・・・」
「モモ缶狙いっだったか、やっぱし」
「・・・・・・」
「もう、あんたにはかなわないな」
「バ、バカだね、あたし、ホントに・・・・・・。
ホント、モモ缶ほしくてダダこねてる子供と一緒だね」
って、瑞希ほんとに桃カンほしかったのか?


桃カン再来

「あの・・・・・・」
「なんだ?」
「本・・・・・・売れた?」
本? あ、ああ・・・・・・。
「まあ、ボチボチ・・・・・・かな」
「そう・・・・・・」
「・・・・・・」
「即売会・・・・・・おもしろい?」
「まあ、それなりに・・・・・・な」
「だよね」
「・・・・・・」
瑞希のやつ・・・・・・。
「まだ、怒ってる?」
「誰が?」
「あんたが」
「なにを?」
「桃カンのこと・・・」
へ?


実は瑞希は・・・・・・

「こんにちは〜」
「和樹……。あ、遠慮しないであっがてよ」
「そういや、いまさらだけど、瑞希はどんなマンガだったら、
いいと思うんだ?」
「う〜ん、そうね。とんかく、わかりにくいのはダメ。
不条理っていうか、そんなのはちょっとね」
「やっぱり、若い男の子がでてくる、やおいがいいな」
「瑞希、おまえそういう趣味が……」
「ちょっと! 冗談よ、冗談。本気にしないでよね!」
でもなんで、『やおい』って単語知ってるんだ?


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