陰陽師(1988) |
『玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること』『梔子の女』『黒川主』『蟇』『鬼のみちゆき』『白比丘尼』 |
物語りはたいてい、博雅が晴明の屋敷を訪れ、ほとんど自然のままに草や樹を生い茂らせた庭を眺めながら酒を酌み交わし、相談事を持ちかけるという展開で始まります。晴明の屋敷には人の気配はしませんが、晴明のあやつる「式神」「識神」(しきしん、しきがみ)という精霊がいて、酒の用意などしてくれます。呪(しゅ)のはなしなどをひとくさり。そして博雅が不思議な出来事の相談事をして、ふたりはたいてい「ゆこう」「ゆこう」といい、出かけてゆくのです。
『玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること』・・・帝が大事にしていた玄象という琵琶が鬼に盗まれた話し。天竺から来て死んだ楽士が遠い祖国を思うあまり成仏できずに鬼になったのでした。悲しい話ではあるが、女官を人身御供に出そうとするところが気に入らない(T_T)『梔子の女』・・・親の供養に般若経の写経をする僧のもとに女のあやかしが出る話し。ちょっと洒落たはなしです。『黒川主』・・・鵜匠の孫娘が奇怪なふるまいをする話し。黒川主の正体とは〜?こ、怖い(T_T)しかも子供が?きゃ〜(@_@)『蟇』・・・雨漏りのする応天門を修理したら、今度はあやかしが出るという話し。この話しは博雅の性格がよく描かれていて何となく楽しい。あやかしの正体は哀れです。『鬼のみちゆき』・・・牛車にのった女と、博雅が文をもらった話し。竜胆の花が悲しい。きっと深い深い紫色だったことでしょう。『白比丘尼』・・・博雅が晴明に人を斬ったことのある太刀を持ってきてくれ、と頼まれる話し。時を止められる、ということは幸せなことなのか、それとも・・・? |
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陰陽師−飛天ノ巻−(1995) |
『天邪鬼』『下衆法師』『陀羅尼仙』『露と答へて』『鬼小町』『桃園の柱の穴より児の手の人を招くこと』『源博雅堀川橋にて妖しの女と出逢うこと』 |
『天邪鬼』・・・童子のあやかしと仏師が檜から四天王像を彫る話し。邪鬼ってそういうものだったんだ。『下衆法師』・・・絵師が外術を覚えようとして妖物にとりつかれそうになる話し。「欲望をかけらも持たぬ人は、もはや、人ではないような気がするよ。・・・」博雅の言葉に何となくほっとする私でした。『陀羅尼仙』・・・尊勝陀羅尼を唱える僧の夢の中に現れる、仏にも仙にもなれなかった男の話し。人間としての幸せを追い求めることはそんなに罪なことではないですよね、凡人にとっては(^_^;)『露と答へて』・・・百鬼夜行にあった男と、在原業平の話し。うま〜い(^^)しかし博雅は本当に「よい漢(おとこ)」です♪『鬼小町』・・・法師の寺に毎日花や枝や木の実を届ける老婆の話し。美しかった女の執念も恐ろしいが、通小町の怨念も〜(T_T)『桃園の柱の穴より児の手の人を招くこと』・・・屋敷の柱の節穴から子供の手がひらひらと人を招くという話し。原因はともかく、子供の手が人を招く、というのはなにやら怖いではないですか^_^;『源博雅堀川橋にて妖しの女と出逢うこと』・・・三条東堀川橋で博雅が立ち往生する話し。往生といっても別に死ぬわけではありませんよ(^^)博雅のもつ不思議な力が発揮された一篇です。 |
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陰陽師−付喪神ノ巻−(1997) |
『瓜仙人』『鉄輪』『這う鬼』『迷神』『ものや思ふと……』『打臥の巫女』『血吸い女房』 |
『瓜仙人』・・・瓜の翁と、帝が手に入れた屋敷に妖物が出る話し。いま私がみているものは、夢なのかそれとも現(うつつ)なのか?『鉄輪』・・・牛の刻参りをしていた女が、本当に鬼になってしまった話し。全てのものに善と悪の両面があるということなのですね。博雅の笛、聞いてみたいものです。『這う鬼』・・・女の髪に込められた怨念が人を殺そうとした話し。髪の毛って確かにね・・・(^_^;)しかしやっぱり、相手の女を恨むものなんですねぇ。『迷神』・・・死した夫に会いたいと願った女の話し。人の心が望むからこそ、呪がかかる。そして人は詮無いこと、と分かっていても、願うものなのです。『ものや思うと……』・・・詠み人知らずとなった歌に心を残して鬼になった男と、ある歌人父子の話し。そういえば、いまの世に残っている和歌にも詠み人知らずというのは多いですが、その言葉に盛られた呪はいまもそこらへんをさまよっているのかもしれませんね。『打臥の巫女』・・・打臥の巫女と呼ばれる占い師と、瓜にかけられた呪の話し。いやに正直になった晴明がちょっと可愛い(*^^*)蘆屋道満という陰陽師もみょうに面白い。『血吸い女房』・・・夜に、女房たちの血を吸いにくるものの話し。雨が降ってよかったです。はてさて、これは・・・? |
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陰陽師−鳳凰ノ巻−(2000) |
『泰山府君祭』『青鬼の背に乗りたる男の譚』『月見草』『漢神道士』『手をひく人』『髑髏譚』『晴明、道満と覆物の中身を占うこと』 |
『泰山府君祭』・・・道満の退屈しのぎのために眠らされた僧の話し。鬱積した煩悩をちょっと突つけば、でてくるでてくる・・・(^_^;)『青鬼の背に乗りたる男の譚』・・・夫に捨てられて鬼になった妻が、「涅槃経」を唱える話し。鬼か神か?人の見る目によって違って見えるものなのでしょうか。見草』・・・遺された歌の謎かけを尋ねる女の話し。歌の解釈って難しいですね。いま私たちがこういう意味だろう、とおもっている歌も、実は別の意味があったりするんでしょうね。『漢神道士』・・・恐ろしい悪夢に苦しむ男の話し。とりあえず人には親切にしましょう(^_^;)ラストシーン、いいです♪『手をひく人』・・・喧嘩を見られたために、「こもんの橋」につれていかれる夫婦の話し。三十年前のエピソードが超こわいではないですか(@_@)実直っていうのも…過ぎたるは、ですよ^_^;『髑髏譚』・・・死して後、おそろしい罰を受けていた僧たちが助けを求める話し。う〜うなされそう(T_T)しかし、極楽往生を願って修行に励むというのも、執心に他ならないというのは…確かに。『晴明、道満と覆物の中身を占うこと』・・・晴明と道満が方術くらべをする話し。人間ってなんておバカで可愛いものなんでしょ^_^;「おもしろかったろう、博雅・・・」 |
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