バックナンバー室(1) No.1〜No.3
 

No.1
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                                                   high と tall の違い
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日本語ではどちらも「高い」ですが、違いを言えと言われれば結構困りますよね。
このポイントは、       ものの位置に注目すれば ― high
                        地上からの高さに注目すると ―  tall

ということではないでしょうか。

例えば、 a tall man (背の高い男) とはいいますが、a  high man と言いませんし、
同じように「高いビル」という時も tallを使います。
どちらも、”地上からの高さ”を問題にしていますね。

一方、ceiling (天井)、 cloud (雲)はもちろん high です。
この場合、どちらも下に「空間」があるのがわかります。

high は下には「空間」がある、このイメージを感じて下さい。

一方、 tall は「下から続いている」のがわかると思います。

また、building には tall ですが、もしこのビルの屋上に人がいた場合、この人自身はは high になります。
これは、その人の位置に注目しているからです。

例えば人が小さな子供をを抱っこしているとき、その人自身は tall になります。そして抱っこされている子供は high となります。

bookshelf(本棚)の上に a stuffed animal (ぬいぐるみ)があったらどうでしょう。

これもさっきの例と同じで、本棚だけに注目すれば tall でしょうし、
ぬいぐるみの方に注目すれば、high です。

※ shelf  [∫elf] n.(pl. shelves[∫elvz])たな(棚) stuffed [st∧ft]adj. 詰めた

なんとなく分かってきましたか?

では、mountain (山)や hill (丘) はどちらでしょうか?

hill は普通は tall hill とは言わないようです、high を使います。

丘はだいたい緩やかに隆起しているものです。横にひろく広がってますから、hill を見る時には高さではなく、その丘の頂上部分の位置を自然と注目するからなのではないでしょうか。

この時は確かに下に「空間」はありませんが、実際問題にしているのが丘の頂上部分だと考えると、感覚的、イメージとしては地面と頂上の間に空間があるかのような感じでとらえることができます。

mountain の場合はどちらも使えます。

the tall mountain ならば、高くそびえている山the high mountain ならば、なめらかな山、となります。

下から続いているものとして見るか、頂上に注目して見るかの違いでしょう。

では、tower (塔) ならばどうでしょう。
ある参考書を以前見た時に、 tower には high を用いると書いてありましたが、実際はどちらも使えるようです。

tower の下から上までを見たのなら、tall でしょうし、上の高さにだけ注目するのなら、high となります。もっとも最近はhigh を使う方が多いようです。そっちの方が語感の響きが良いからなのでしょうか?

では問題です。grass (草) はどちらが使えるのでしょう、また、どちらでも使えるのでしょうか。(END)
 

No.2
=====================================================================================                                                    「生(なま)」は生でも
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みなさんはステーキはどんな焼き加減が好みですか。基本的には3種類ありますよね。

rare [reεr]生焼き
medium [mi':di∂m]中焼き
well-done [we'ld∧n]良焼き、の3種類、さらに細かく分けると、

rare と medium の中間の medium rare、
medium と well-done の間の medium well(-done) があります。

私はおいしい肉なら medium rare あたりで食べたいものです。ほんのりと真ん中が赤いピンク色ですこし肉汁が出てくるような、ああ、お腹がすいてきます。

rare は辞書には、「生焼き」とありますが、これは生は生でも熱が加わっている、調理してある状態なんです。
火が通ってるけれど、ジューシーで中は赤い、これが「レア」の状態ですから、「生焼き」とはニュアンスが少し違うような気がしますね、あくまで火の通った生、なんです rare は。

一方、火が通ってない状態の生、いわゆる半生、半煮えなら、  uncooked なんてが使えます。文字どおり、「料理がなされていない」です。

また、rare、この言葉は肉料理に関してのみ使うんです。欧米では rare で食べるのは牛肉や鴨肉など、肉料理だけですから。

しかし、日本料理では魚なども英語で言うところの rare の状態で調理することがありますね。海鮮しゃぶしゃぶなど、生とは違った、またあたらしい味が楽しめて、これもなかなかいいものです、日本料理の技法のひとつですね。

将来、この技法もアメリカあたりでメジャーになれば英語の辞書にも rare は、肉のみでなく、魚料理にも・・・なんてなることも考えられます。
 

「生(なま)」という、意味を表す一般的な言葉は、raw[r⊃:]です。

ちなみに low (低い)は[lou]です。

raw は料理していない、ほんとに生(なま)の状態、何も手が加えられてない、状態なんですね。

生の魚、なら raw fish、生のニンジン、は a raw carrot

生の魚を食べる、は eat fish raw

そして、生のニンジンを食べる、は eat a carrot raw なんて言います。

刺し身、 はfresh slices of raw fish とも言いますが、
今や刺し身もメジャーになりましたから、sashimi で通用します。

でも、生野菜は fresh vegetables なんですね、これが。
 

そして raw は「生の」と言う意味から始まって

「生の」→「加工されてない」→「未完成の」→「洗練されていない」→「未熟の」なんて意味にも使われるんです。

また、何も手が加えられてない状態ですから、傷口などが開いた状態を言うときにも用いられます。

ところで、「生の」を表す言葉にはもうひとつありますが、なんでしょう?

次回はそのあたりから。

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おっと、忘れるところでした。

前回の答え。

grass (草) には high, tall どちらも使えるんですね。(インチキくさかったでしょうか)

                     ものの位置に注目すれば ― high
                     地上からの高さに注目すると ―  tall

ふつう、草を見るときはある程度、離れた状態で見ますから、単に「背の高い草」ということで、tall になりますよね。

これが、そうですね、例えば背の高い草むらの中にいるような時、映画「フィールド・オブ・ドリームス」のような、とうもろこし畑の中にいたとしましょう。

そうすると、こういう時、自分の目線が注目しているのは草の先っぽの方なんですね。草の先を基準にしてその高さを考えると、high といってもいい訳です。

もちろん、いや、そんな時でも、私は tall だ、と言う人がいてもいいんです。あくまで、何をまず基準として、高さに注目するかが、問題となるのですから・・・

前回のテーマについて、いくつか質問を受けましたので、近いうちに、もう一度、high と tall についてやりましょう。

なかなかするどい質問も受けたりして・・・ なるほど、なんて考えさせられたりします、ほんと。      (END)
 
No.3

前回の、raw で 生の魚、なら raw fish、生の魚を食べる、は eat fish raw

としたら、「なぜ、そうなんだ?eat raw fish じゃないのか」の大合唱。(そこまでじゃないけど)

少しうかつに書きすぎたかな、と反省しつつ、 指摘していただいてありがとうございます。

辞書には、eat fish raw と載ってるんですよね。
じゃあ、なんでこうなるのかと、考えました。

一般に、形容詞は名詞の前に用いられるんですが、

名詞+形容詞、 の語順になることもあるんです。

(私はあまり文法について深くやりすぎるのは、好きではないので詳しく知りたい方は参考書で確認してみて下さい。高校の文法の参考書のしっかりしたものなら、形容詞のところに出ていますから本屋で立ち読みでもして調べればわかるでしょう)

日本語でも一般的には、形容詞+名詞 の語順になります。

「生の魚、食べたよ。」なんて言う訳ですが、しかし、例えば、「魚、食べたよ、生の。」と、言っても十分通じるわけです。

これと、同じようなことが英語でも起こっていると、考えればいいんじゃないでしょうか。

I ate fish raw. 「魚を食べたよ、生の」なんて言って、

ニュアンス的には「おいおい生だぜ」とか「生なんか食べちゃったぜ」てことを強調したいから、raw が後に来てるんです。

なんでじゃあ、普通に言わないのかといえば、やはり食生活の習慣の違いなんでしょうね。普段から生で食べてるものには、いちいち「生」なんて付けないのは日本語もそうですから。それが、魚などの彼らにとっては普段生ではぜったいに食べることのないものを食べるんですから、「生」を強調するんですね。

辞書にこう載っているのは、おそらく、アメリカ人が初めは驚きを持ちながら食べてたので、その時の言葉がそのまま今も載ってるんだと思います。

だから、sushi や sashimi で通じるようになった現在では、生で 食べることも知られてますから、eat raw fish で十分いいわけなんですね。

また、「生」ってことを強調したいんなら会話では raw の部分を強く言えばいいんじゃないでしょうか。

もっともアメリカ人の中にも寿司や刺し身を食べたことのない人もいるんでしょうから、そういう人が食べると eat fish raw と言うのかも知れないですね。

ここでは、名詞の後に形容詞が来ることもあるんだ、くらいの楽な気持ちでもいいと思うんですが。
 

このように、形容詞が名詞の後にくる、というのは参考書に載ってる、つまり、こう使ってもいい、という例なんですが、
実際の会話では、少々文法が間違っていても、語順がおかしくてもじゅうぶん通用するんです。
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※ 注意

  eat に関しては、大修館のGenius English‐Japanese Dictionary で、他動詞の1.に SVO(C) <人・
動物が> O <食物など>を(…の状態で)食べる、という記載があるという情報を頂いています。
そうなると、まさに この用法のようですが…

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アメリカ人が話す言葉も、結構びしばし文法が間違ってますし、高校生のスペルミスなんてほんと多いらしいですから。

言語っていうのは学校で習っているより、実際にはかなり融通性があるんですね。少々語順を変えても、意味が通じればいいんですから。英語もこんなふうに融通性、柔軟性があるんだと思ったいた方が
楽しいんじゃないかと思うんですが、どうでしょう。

例えば
He have a orange. なんていっても通じるわけです、実際。 (文法的にはもちろん×ですが)

ところが、日本ではこれだと、ダメだというわけでしょ。絶対に、He has an orange. じゃないと点数をくれない。

本当に話せる英語を教えるつもりなら文法は、もっと大目に見てあげた方が中学生も英語も楽しいんじゃないかなんて思います。

もちろん He have a orange.なんてのは、仕事の際や、公の場面で使っていると、決して出世なんてできないんですが、それはずっと先のことなんですよね。ある程度話せるようになってから、少しずつこのような間違いは修正していけばいいんです。

おっと、今日は教育問題について語りすぎてますか。 今日は別の話題をしようと思ってたのに・・・

はやく、この「生」の話題を終わらせないと。

前回「生の」をあらわす言葉がもう一つあるといいましたね。

それは、crude [kru:d]    です。   あまり聞きなれない単語かも。

raw との違いはというと、

raw というのは、人の手が加わっていない、「生」なんです。

crude は、これから手を加えるべきものだけれども、まだの状態。
 
crude rubber [r∧'b∂r](ゴム)、これは 手が加わってないゴムだから、「生ゴム」なんです。

また、考えや原稿などに手が加わってない状態も crude ですね。

もっとも、手が加わってない(完成してない)原稿はdraft[draeft] とか rough[r∧f] なんて単語がありますが。

「ラフ」なんてのは、仕事上で結構つかってる方もいるのでは・・・

製品などに手が加わってないから「未完成の、不完全な」、

考えなどに手が加わっておらずまだまだの状態なので「未熟な、幼稚な」、

これが人格について述べられると「粗野な、無作法な、ぶっきらぼうな」という、意味になってくるんですね。

手が加わってない状態だと分かると、raw にしても crude にしても全部の意味を暗記しなくても文章中でもなんとなくわかるんじゃないでしょうか。                                                            (END)
 

●なお、本文中には私個人の主観的表現も含まれおります、ご了承ください。
 
 

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