60年代に作られたギターの中にはいわゆるローズウッドと呼ばれるものやハカランダと呼ばれるものがあります。 通常、60年代もので指板にローズウッドと記載されている場合は、それは「ブラジリアン・ローズウッド」を意味して います。これは、ワシントン条約に抵触するものでこのようなギターを輸入する場合、国の許可、すなわち「通商産 業省貿易局輸入課」より許可証を取得しなくてはなりません。これがないと通関できないのです。 私は、初めて このハカランダを使ったギターを輸入するときに、それは国際条約以前に作られたものなので関係ないだろうと思っ ていました。ところが、条約以前のものであろうが当然それ以後のものもとにかくワシントン条約に抵触する物を輸 入する場合、必ず取得しないといけないことを知りました。 さて、以下その方法をご紹介します。(普通のギターの輸入方法についてはこちらからどうぞ) |
さて、まずは、アメリカから今回はギターを輸入するということにしましょう。今回は、67年物のフェンダー・ジャガー とします。このギターは指板にローズウッド、すなわちブラジリアン・ローズウッド、別名ハカランダが使用されていま すので、アメリカ側からの輸出許可証をまず送ってもらい、これを今度は通産省に送って輸入許可書を取得します。 まず、アメリカの楽器店にこの67年製ジャガーを欲しい、購入したいというオーダーをかけます。オーダーの仕方 は別のページで紹介していますのでそちらを参考にして下さい。すると、楽器店からこの楽器はハカランダが使用さ れているので、特別な輸出許可証(別名これは「CITES」と呼ばれています)を取らなくてはならない。あなたは、こ の「CITES」を通産省に送って輸入の許可証を取る必要がある。通常これらの手続きは1ヶ月あまりを要する。とりあ えず、このジャガーはホールドしておくのでその手続きをしてもらいたい。なぁんて旨の手紙あるいはメールが送られ てきます。アメリカ側は輸出許可を取るのは簡単らしく、オーダーしておよそ1週間後には「CITES」を送ってきます。 この「送ってきます」ですが、ファックスがあればその旨相手に伝えてファックスで送ってもらいましょう。郵便ですと1 週間あまりかかってしまうので、できるだけ早く手続きをする為にもファックスが早くていいでしょう。ただし、相手は こちらの日本時間に関係なくファックスをおくってきますので、事前に真夜中には送らないように伝えておくことをお 薦めします。下手すると、真夜中にファックスの呼び出し音でたたき起こされてしまうおそれがあります。 さて、その時に一緒にインボイス、すなわち「見積書」も一緒に送ってもらいましょう。この見積書も通産省に申請 する時に必要になってきます。 それでは、「CITES」と「見積書」があなたの元に送られてきたと仮定します。 |
さあ、いよいよ通産省に輸入許可証を取るための申請にうつります。まず下記の4つの物が必要になってきます。 正式には輸入割当・承認申請手続きと呼ばれています。申請料は無料です。 (1) 輸入(承認・割当)申請書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原本2通 (2) 輸入割当申請説明書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原本1通 (3) 「CITES」 (輸出許可書、再輸出証明書)・・・・・・・写し2通 (4) 輸出入契約書又はこれに代わる書類(インボイス)・写し1通 (5) 自分の住所・氏名を書いて切手を貼った封筒・・・・・・・・・1通(これに入れられて許可書が送られてくる) 提出先 郵便番号100-8901 東京都千代田区霞ヶ関1丁目3番1号 通商産業省貿易局輸入課野生動物植物班 そして、無事に輸入が終わった場合、2週間以内に「輸入状況報告書」を提出しなくてはなりません。何と手続きの 複雑でめんどくさいことか!!!!! 申請して通常約3週間かかります。でも、ここでヘタってしまっては憧れのビ ンテージモデルはゲットできません。頑張りましょう。 |
(1) 輸入(承認・割当)申請書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原本2通について説明しましょう。 これについては法令様式が定められ販売されていますので購入しなくてはなりません。私は下記のところに注 文して取り寄せました。 政府刊行物サービスセンター 郵便番号100-0013 東京都千代田区霞ヶ関 電話03-3501-1511 そして、この申請書の書き方については下記のところに問い合わせをして詳しい書き方を紹介したファックスで 7枚つづりの「ブラジリアンローズウッドの輸入について」というパンフをもらって下さい。この中に詳しく書かれて います。 郵便番号100-8901 東京都千代田区霞ヶ関1丁目3番1号 通商産業省貿易局輸入課野生動物植物班 これを2枚書いて準備します。 (2) 輸入割当申請説明書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原本1通 これについては、「ブラジリアンローズウッドの輸入について」というパンフの中に示されていますので、ワープ ロ等でその通りに様式を書いて作り必要事項を書き入れて下さい。内容としては自分の住所、氏名、輸入しよう とする物を詳しく記述する欄、そして輸出者である相手の楽器店の住所や氏名等を記述するようになっています。 いったんワープロで様式を作ってしまっておけば、後で何回も使用できますので便利です。 (3) 「CITES」 (輸出許可書、再輸出証明書)・・・・・・・写し2通 これは、相手の楽器店が送ってくるものです。ようするに、このギターを日本に輸出してもいいですよという輸出許 可書のことで、ファックスで送ってきたものをコピーして2部準備します。ハカランダはDALBERGIA NIGRAというのが 正式の学名で、そのように申請書には書き込まなくてはなりません。 (4) 輸出入契約書又はこれに代わる書類(インボイス)・写し1通 これもファックスで送られてきたものをコピーして提出します。 (5) 自分の住所・氏名を書いて切手を貼った封筒・・・・・・・・・1通(これに入れられて許可書が送られてくる) 私は早く入手したいために切っては「速達」分を貼って準備していました。それでなくとも4週間近く待たされること もありましたので、できるだけ早く入手したいと思ったからです。 |
さて、(1) 輸入(承認・割当)申請書・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・原本2通を提出したうちの1部が許可書とし て送られてきます。これで晴れて輸入することができるのです。この許可書が届いたことを今度はアメリカの楽器店に 連絡します。すると、楽器店は「CITES」の原本と一緒にギターを日本に送り出してきます。つうじょうは成田か関西 空港に到着します。到着すると、その空港にある「輸入代行店」より連絡が入りますので、すでに輸入(承認・割当) 書を取得している旨を伝えます。輸入代行店はその輸入(承認・割当)書を送れ、という指示をしてきますのですぐ に送って下さい。「CITES」と輸入(承認・割当)書の2つが一緒に揃って晴れて通関可能となります。若干の手数 料を請求されますが、ここまでにいたる長い道のりを考えると安いものです。 |
もしあなたがこのような手続きが必要であるということを知らずに注文してしまったらどうすればよいのでしょうか。 そのような場合、これまで書いた通りの手続きを踏んでとにかく申請を行うことです。当然、その間は空港にギター がずっと通関を待っているわけですから、「保管料」を請求されることになります。もしそれを放っていたら、送り主に返 却されてしまいます。 |
とまあ、文書にすれば長くなってしまいますが、やってやれないことはありません。但し、少し英会話力が必要になっ
てくると思います。1回成功すれば後は楽です。ただし、それぞれの申請書は必ずコピーを取っておきましょう。これが
次の注文時に生きてきますし、それほど苦労しなくて済みます。私はこれまで5回やってきましたが、大変だったのは
第1回目の初めての時だけで、後はかかる時間は同じですが、機械的な作業だけでそれほど大変だとは思いませんで
した。さあ、あなたも挑戦してみてはいかが!
おっと、もう1つ忘れていました。きちんと通関できて手元にギターが届いたならば、最後に報告書を提出しなくては なりません。この「輸入状況報告書」の形式ですが、「ブラジリアンローズウッドの輸入について」というパンフの中に 示されていますので、これもワープロなどで書式を作成しておくと後々簡単になります。これを提出して初めてギター が完全に自分のものとなるのです。なんと、手続きが複雑ですが一つ一つクリアしていけば問題はないと思います。 |
ところでお捜しのビンテージ・ギターは何ですか?