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No.83 墓の中で起こっている現象とは・・?開けるたびに動いている柩(ひつぎ)



カリブ海に浮かぶバルバドス島。その中のオイスティンの町に、チェイス家という名家の墓がある。この墓はかなり立派なもので、大きさは3メートル60 × 1メートル80センチ。下半分は地下に埋まっており、サンゴ石とコンクリートで出来ている。墓というよりは、部屋のような感じだ。墓の中へは扉を開けて入るようになっている。

中には骨壷ではなく、柩(ひつぎ)が納められている。遺体は火葬せずにそのまま納められているのだ。1807年7月、この墓に最初に遺体として納められたのはトマシナ・ゴッダルト夫人だった。そして翌年の2月には2歳の子供がこの墓に入った。


そして1812年6月。今度は自殺した10歳の少女の遺体が納められることになった。二人の男が柩を運んできて墓の扉を開ける。だが墓の中に入ってみると、先に納められていた2つの柩は置いてあった位置から大きくずれ、まるで投げ出されたかのように壁の方に動いていた。

こんないたずらをした者は黒人だろうと、墓の所有者であるトマス・チェイスはピンときた。トマス・チェイスは町の権力者で、黒人とのトラブルが絶えなかったからだ。3つの柩をちゃんとした位置に置き直し、二度とこんないやがらせが出来ないように墓の扉をコンクリートで固めた。

そして二ヵ月後、今度はそのトマス・チェイス自身が発狂死して再び墓は開けられたが、その時には別に変わったことはなかった。
そしてその4年後の1816年9月。今度は11ヶ月の子供の遺体を納めることになった。墓の中に入ってみて、人々はびっくりした。

またしても墓の中が荒らされているのだ。4つの柩は好き勝手な方向に投げ出されている。
「黒人の奴らめ!またやりやがった!」と、誰かが叫んだ。


だが、よく考えてみると、彼らが墓の扉を開ける時、扉を固めていたコンクリートに異常はなかった。それに4つの柩のうち、トマス・チェイスの柩は鉛で出来ているのでとても重い。それに彼自身、体重が100kg以上あったのだから、これを大きく動かすというのは一人や二人では出来ない。

釈然としなかったが、柩はそれぞれの場所にきちんと置かれ、再び扉はコンクリートで固められた。
そしてその一ヶ月半後、またしても墓には別の遺体を入れることとなった。またコンクリートを砕いて墓の扉を開ける。すると今度は全ての柩があちこちに散乱していたのである。

その中の一つ、ゴッダルト夫人の柩は壁に激しく衝突したかのように木製の柩が砕けており、中から遺体の手足がはみ出していた。だがまたもや扉がこじ開けられたような痕跡はなかった。

この時はさすがに政府の人間に頼み、徹底した調査が行われた。だが扉以外には、人が入るどころか水さえ入らないような、全く隙間のない構造であることが確認された。


だんだんとこの話は人々の噂にのぼるようになり、次の埋葬を心待ちにする者さえいた。そして3年後の1819年7月。次の埋葬者が出た。今度は噂を聞いて何百人という野次馬が詰めかけていた。その中には、バルバドス島の管理者であるコンベルメレ総督もいた。総督も、この不可思議な墓をその目で確かめる必要があったのだ。

多くの人の見守る中、扉は開けられようとしていた。だが、今度はなぜか扉が開かない。奥の方へ押して開くタイプの扉だったが、中から何かがつっかえているのだ。やっとの思いで扉を開くと、中からつっかえていたのはあの、重い、トマス・チェイスの鉛の柩だった。

トマス・チェイスの柩が2メートル以上も動き、ドアを開かなくしていたのだ。そして他の柩もてんでバラバラに散乱している。予測通りの光景となっていた。この時もまた徹底して調査が行われたが、なんら異常な個所は見つからなかった。

墓の中をきちんとした後、今度はコンクリートで扉を固めるだけではなく、墓の中に砂を敷き詰めてみようということになった。こうしておけば、誰かが侵入してきたら足跡が残るはずだ。そしてコンクリートで固める部分はコンベルメレ総督みずからが行い、間違いのないことを確認した。


それから9ヶ月後の1820年。コンベルメレ総督の官邸でパーティが行われていたが、その中であの墓の話が出た。コンベルメレ総督は、酔った勢いからか、中がどうなっているのか見に行ってみようと言い出した。人々も興味本位から賛同し、あの墓を開けてみよう、ということになった。

墓に行ったのは全部で9人。またもや扉のコンクリートには異常はない。中を開けて見るとやはり・・! 柩は全てバラバラの方向に投げ出されており、その中のいくつかは完全にひっくり返っていた。そして砂の上には足跡など全くついていない。

この状況を見たコンベルメレ総督は、もはや理解不能との判断を下し、中の柩を全て別の墓に移すように命じた。現在では、このチェイス家の墓はカラのまま放置されているそうである。



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