No.42服装が人に与える印象


「人を外見で判断してはいけない。」とはよく言われます。ですが、頭では分かっていても人間の「見た目」というものは、少なからず相手の心理に影響を与えるようです。


以前、外国の方でこういった心理実験が行われました。
まだ携帯電話がなかったころ、公衆電話のお金の返却口にコインを一枚置いておいて、次の人が電話をかけようと電話機に近寄ったところを見計らって声をかけます。
「すいません、返却口にコインがあると思うのですが、それは私がさっき取り忘れたものでして、申し訳ありませんが、返してもらえないでしょうか?」

この言葉を信じてコインを返してくれる人がどれだけいるでしょうか。

「コインを忘れた」と声をかける男性は二人用意され、一人はスーツにネクタイで髪型もきちんとしたビジネスマン風の男、もう一人はジャンパーにジーンズで、ちょっとだらしない格好をした男です。

人の外見によって言葉の信頼性が変わってくるのかどうかを調べる実験でしたが、やはり想像通り、スーツにネクタイをした男の方がすんなり返してくれる人が圧倒的に多かったということです。


また別の実験で、「交差点で歩行者用の信号が赤になってから、一人の男が渡り始める。その人につられて同じように信号無視をして一緒に渡り始める人はどれくらいいるのか」という実験も行われました。

上と同じようにその「信号無視をする男」はビジネスマン風の男と、ちょっとだらしない格好をした男の二人が用意されました。それぞれが赤信号で渡ってみると、やはりビジネスマンと一緒に渡り始めた人の方がかなり多く、もう一人の私服の男が赤で渡り始めても、一緒につられる人はほとんどいなかったということです。


これらのことから、人間の心理の中には「きちんとした服装をしている人のやることには正当性がある」、「信用出来る」という意識が心の奥底の方にあるということが分かります。
逆に、身なりがだらしないとそれだけで自分の価値や信用を落とすことにもなりかねません。

別のパターンとして、例えば街中で女性が男に手をつかまれて「放して!」と叫んでいたとします。つかんでいる男がチンピラのような男だったら、周りの人々は「女性が襲われている」と判断するでしょう。

ですが、つかんでいる男がスーツ姿、あるいはどこかの店の制服を着ていれば「あの女が万引きか食い逃げでもして捕まったんだろう」と、逆に女性の方を悪者と判断する人が増えるでしょう。

服装が人に与える印象とは決して軽いものではなく、公の場ではある程度きちんとした身なりをしているということは、自分の行動の正当性を高め、言葉の信用性を高める結果になります。

いつも正装をしているのもちょっとおかしい人と思われますが、場合を考え、ある程度身だしなみに気を使うのも大切なことです。