Top Page  心霊現象の小部屋  No.09  No.07


No.08 モヤの向こうに見えたものは

ある、霊感の強い女性がいる。年齢は50代で、今では、両親も主人も亡くし、一人暮らしをしている。。彼女は幼い頃から不思議な経験が多く、予知夢もよく見ていたし、霊らしきものもしばしば体験していた。

例えば、葬式に出席した時・・。彼女は、これまでの人生の中で、何度か葬式に出席したことがあるが、必ずと言っていいほど、葬式の最中に後ろから髪を引っ張られる。もちろん、後ろにいる人が、いたずらして引っ張っているのではない。後ろに誰もいないのに、髪をつん、つんと何度も何度も引っ張られるのだ。

そしてやはり、葬式の最中に起こることであるが、故人の声が聞こえてくる。つまり今、葬式をあげてもらっている、その死んだ人の声が耳元で聞こえてくるのだ。「来てくれてありがとね。」とか「忘れないでね。」「元気で頑張って。」そんなささやきが耳のすぐ近くで聞こえてくる。


そんな経験の多い彼女だから、もちろん金縛りにもよくあう。ある日の夜、布団に中でウトウトしていた時、またいつものように金縛りが始まった。しかし彼女にとっては、それはさほど驚くほどの出来事ではなかった。

でも、今日の金縛りが始まった時には、身体は仰向けになっていたのだが、顔はたまたま横を向いていた。少し苦しい体勢で金縛りにあってしまった。そんなことを思いながら彼女はうっすらと目を開けてみた。

しかし目を開けた瞬間、部屋の中の異様な光景に驚くことになった。部屋の中に何かモヤが立ちこめている。そして彼女の寝ている布団のすぐ横に、何か祭壇らしきものが出来ている。高さ30pくらいの台で、全体に白い布がかかっている。そしてなんとその台の上に、誰か立っている!

足は素足のままで、真っ白い着物を着ている。台の上にいるのは女性のようだ。さすがの彼女も少し怖くなってきた。「あなたは誰?」と、心の中で呼びかけながら、その「台の上の女性」の顔を見ようと、ゆっくりと視線を上の方へと移してみた。

その瞬間、彼女は更に驚くことになる。その「台の上の女性」は、胸の前で大きな骨壺を抱えている!! そしてその女性の顔はというと・・・顔がない!! 首から上が何もない!! 顔のない女性が真っ白な着物を着て骨壺を抱きかかえ、自分の横に立っているのだ。誰だって驚く。


だが、彼女は恐怖を感じるのと同時に気づいたことがあった。この体型、どこかで見たことがある。私の知っている人だ・・。誰だろう・・。そうだ! 「トシコ」さんだ! 親戚のトシコさんだ。

「トシコさん!! あんた、九州のトシコさんじゃないの!?」と、彼女は心の中で絶叫した。その瞬間、その女性も祭壇もスーッと消え、部屋の中のモヤも晴れた。

部屋の中には何事もなかったかのような静寂が戻ってきた。彼女がほっと一息ついていると、突然「プルルルル!」と電話のベルが鳴った。あわてて電話に出てみると、九州の親戚からである。

「もしもし、○○さん!? 私、九州の○○だけど! 今ね、トシコさんが死んじゃったんよ!! ずっと入院してたんだけどね、さっき急に容態が悪くなって・・・。」

親戚からの知らせを聞きながら、彼女は青ざめていった。さっきのはやっぱりトシコさんだった。でも、首から上がなかったのと、骨壺を抱いていたのは・・、あれはいったいどういう意味だったんだろう。