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No.18 踏み切り事故の瞬間の恐怖

ある墓地で「幽霊を見た」という話を聞いて、その墓地のすぐ近くに住むAさんは、「それなら俺が写真を撮ってきてやろう。」と意気込んで夜中、一人でその墓地へと出かけた。

さすがに深夜ともなれば墓地には人っ子一人いない。Aさんはこういったことには興味津々で、墓地の中に入るとさっそく撮影の準備を始めた。また、写真だけではあき足らず、ちゃんとカセットも持ってきていた。写真が撮れるのだったら霊の声も録音できるのではないかと考えたのである。

ある新しい墓の前に到着したAさんは、そこでカセットのスイッチを入れ、録音状態にした。別にこの墓の前を選んだのは特に理由があったわけではない。ただ「何となく」だ。


シーンと静まり返っている墓地でしばらく録音状態にしながら、Aさんはあちこちで写真を撮ってみた。一通り撮影を終え、車に乗り込む。さっそく車のオーディオに今録音したばかりのカセットを入れて再生してみた。

ひゅうひゅうと風の音がやけに入っている。風はほとんどなかったはずだが、これも一種の霊現象か?などと考えながら車を走らせていると踏み切りにさしかかった。

すると突然スピーカーから大音響で「い、痛い!!助けて!!痛ぁい!!うぅぅぅ・・!!」という女性の叫び声が聞こえてきたのだ。腰を抜かすほどびっくりしたAさんはそのまま自宅に戻り、すぐに布団をかぶって寝てしまった。


カセットには異様な声が入っていた。では写真の方はどうだろう・・?次の日現像された写真を一通り見てみると、その中の一枚にぼんやりと女性が写っているのを発見した。しかも墓地で撮った写真であるにも関わらず、なぜか踏み切りが写っている。

その踏み切りの中で手も足もバラバラにちぎれ、それでも死にきれずにうごめいている女性の姿がそこには写されていた。一瞬恐怖で身震いがした。その時なぜか窓の方から視線を感じ、はっと振り向いてみると、そこには髪の真っ白な一人の女性が立っており、悲しそうな表情でAさんをじっと見つめていた。

その顔を見た瞬間、Aさんはとうとう気を失ってしまった。

正気にもどってからAさんは近所の人に色々と話を聞いてみた。するとあの踏み切りでは何ヶ月か前に事故があったばかりで、その時は一人の女性が急いでいたのか、遮断機をくぐって線路を渡ろうとして、誤って溝に足がはまり、抜けなくなってしまったらしい。

そこへ電車が突っ込んでくる。抜けない足で必死にもがきながら、恐怖で彼女の髪は一瞬で真っ白になった。そしてその直後電車に敷かれ身体はバラバラになって死んだ。

Aさんが録音した墓は、その彼女の墓だったのだ。後日Aさんは再びその墓を訪れ、丁重に供養を行った。


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