ナチュラルダイエット

アメリカの健康コンサルタント・ハーヴィー・ダイアモンド氏が発表した、自然な食べ物を摂取することによる健康法で、これまで通説とされてきたダイエット論とは少し違います。

「FIT FOR LIFE」(日本語訳 ライフスタイル革命)は、1985年の刊行以来、ニューヨークタイムズ紙で40週連続で1位を獲得するベストセラーとなり、世界32か国で翻訳され、1200万部売れました。「FIT FOR LIFE」を新たに日本語で書き直して出版されたのが「ナチュラルダイエット」と名づけられたものです。

以下が主な骨子ですが、これまでの一般論とは食い違う面もある、ちょっと特殊な理論です。

ナチュラルダイエットの骨子

飽食病と呼ばれる病気があります。主なものは、肥満、心臓病、がん、糖尿病、骨粗しょう症の5つです。

これらは生活の豊かさが原因となって起こる病気と言われています。特に先進国アメリカではこれらの病気にかかっいる人が非常に多いとされています。

一方、中国にはアメリカと比べると、これらの人は極端に少ないのです。中国とアメリカとで、その食生活の違いを見てみると、

・中国人の動物性のタンパク質の摂取量は、全タンパク質の中で7%である。
・アメリカ人の動物性のタンパク質の摂取量は、全タンパク質の中で70%である。

アメリカ人は、中国人に比べて動物性タンパク質の摂取量が10倍にもなっています。その結果、多くが肥満となり、骨が折れやすいという状態となっています。それに対して中国ではこういう問題は起こっていません。

我々が中華料理として食べているものは、中国では主に裕福な人たちのみが頻繁(ひんぱん)に食べているのであって、一般の人たちはそうそう食べる機会はありません。

キャンベル博士は「タンパク質の80%から90%は植物性食品から摂るようにして、動物性食品からは10%から20%の量にとどめるべきだ。動物性食品は量を減らすことが望ましい。」と述べています。

カロリーと肥満は関係がない

ダイアモンド氏の理論によると、従来の「摂取カロリーが消費カロリーを上回っているから肥満になる」という説は誤りであって、カロリーと肥満とは何の関係もない、としています。

カロリーとは熱量の単位です。水の温度を1℃上げるのに必要な熱量が1カロリーです。人間は脂肪がつくから太るのであって、熱量で太るのではありません。

アメリカ・バンダービルト大学の研究者で「ローテーション・ダイエットの」著者でもあるマーティン・カターン博士も、これまでのカロリー学説は間違いであると認め、これまでの自分の考えを撤回しました。

カロリー学説による食品の栄養価を熱量の単位で見てみると、果物や野菜などの自然食品と、ハンバーガーやフライドチキンなどのジャンクフードが、分量次第で同等のものということになります。

生命力のある水

人体の70%は水分と言われます。水は人間にとって欠かすことの出来ないものであり、老廃物を体外に出してくれるのも水の働きがあってこそです。

水を飲むことは重要ですが、それも水道水では好ましくありません。ミネラルウオーターでも同様です。

ダイアモンド氏が推奨するのは、生の果物や野菜に含まれている水分です。これら大地から育ったものが含んでいる水こそ生命力のある水としています。

1日の水分の70%はこれら生命力のある水から摂るようにすることが望ましいことです。残りの30%については何を飲んでも構いません。

食べ物を2種類に分けて考える

食べ物の中でポイントとなるのは「タンパク質食品」と「でんぷん質食品」です。

・タンパク質食品・・肉・魚・卵・牛乳・乳製品
・でんぷん質食品・・パン・米・パスタ・イモ類

人間の身体は、タンパク質食品を食べた時には酸性の消化液が、でんぷん質食品を食べた時にはアルカリ性の消化液が主にその消化をします。

酸性とアルカリ性の消化液が同時に出されると中和され、その結果、消化されにくくなるという現象が発生します。そして疲労や眠気を感じやすくなるという弊害も起きます。

肉料理を食べるのであれば、米やパンは一緒に食べずに野菜を食べます。米やパンは次の食事にまわします。これら2つのグループのものを一緒に食べないということが効率のいい消化となり栄養補給となります。

果物の特性

果物は人間にとって唯一、消化する必要のない食べ物といえます。成分の90%が生命力のある水で構成され、身体に必要な五大栄養素(ブドウ糖、アミノ酸、脂肪酸、ビタミン、ミネラル)を含んでいます。

果物こそが人間にとっての完全栄養食品といえます。そして果物を食べる時には胃の中に何も入っていない状態で食べることが理想です。生ではない果物(煮たりジュースにしたり漬物にしたり)では、果物の健康効果は得られません。

果物はグループに分けられ、一緒に食べても良い組み合わせと悪い組み合わせがあり、以下のようになっています。

 酸っぱいグループ
イチゴ・キウイ・パイナップル・すもも・みかん・オレンジ・ネーブル・グレープフルーツ・はっさく・さくらんぼ

 やや酸っぱいグループ
リンゴ・桃・梨・洋梨・びわ・パパイヤ・マンゴー

 甘いグループ
バナナ・柿・いちじく・ブドウ・あけび

 脂肪が多い
アボガド

 ウリ科
スイカ・メロン

「酸っぱいグループ」と「やや酸っぱいグループ」は一緒に食べてもOKです。

「やや酸っぱいグループ」と「甘いグループ」は一緒に食べてもOKです。

「酸っぱいグループ」と「甘いグループ」は一緒に食べるのは好ましくありません。

また、
アボガドはどのグループとも相性が悪く、食べるのだったらアボガド単品だけです。

スイカ・メロンも、どのグループとも相性が悪く、食べるのだったらスイカとメロンの組み合わせだけです。

ダイエットへの応用

朝食は果物だけを食べるようにします。量の制限はありませんし、種類も自由です。途中でお腹がすけば再び果物を食べます。正午12時までは果物しか食べないようにします。

また、朝食を食べる習慣のない人は、昼食を果物だけにします。

また、寝る前3時間は何も食べないというのは健康やダイエットの基本でもありますが、この時、どうしてもお腹がすいたら、この時も果物を食べるような習慣をつけます。

この習慣で1週間も立てば体調の違いが体感出来ると思います。

肉に含まれているタンパク質は優秀なのか

我々は肉を食べないと何か物足りないような、力が出ないような感じがします。

しかし自然界に生息する動物たち、例えば象などは草ばかりを食べていますが、木を引っこ抜くほどの力があります。

また、ゴリラにしても体重100kgくらいの人間の両足を持って投げ飛ばすことが出来ると言われています。ゴリラは果物や笹を食べています。

動物で、人間よりも力が強い動物はまだまだいますが、それらが摂っているのはみんな植物性タンパク質です。

ダイアモンド氏は「バナナはステーキよりも良質のタンパク質である。」と言っています。


また、逆に勧めていない食べ物として牛乳や乳製品をあげています。

これらは食物繊維を含まず、高脂肪・高コレステロール食品なので、心臓病・脳卒中・大腸がん・乳がん・前立腺がんなどの、病気のもとになるというのです。

果物と野菜を中心とした食生活、そしてタンパク源は植物から、牛乳は控える、というのがダイアモンド氏の提唱する健康な食生活のメインと言えます。


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